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中国の資料デジタル化プロジェクト・CADALの利用と参加について: アジア情報室通報 第12巻第1号

アジア情報室通報 第12巻1号(2014年3月)
湯野 基生(国立国会図書館関西館アジア情報課)

1.CADALについて

国立国会図書館は、2013年12月にCADALプロジェクト管理センター副センター長の黄晨氏(浙江大学図書館副館長)を招へいし、CADALプロジェクトの現状と今後の展望についての講演会を開催した[1]。

CADALとは、China Academic Digital Associative Libraryの略称であり、中国語名は「中国数字图书馆国际合作计划(中国デジタル図書館国際協力計画)」という。中国の大学図書館が中心となり、所蔵機関がデジタル化資料を提供することで協力し、各機関のデジタル化資料を参加機関全体で共有する国際的な資料デジタル化プロジェクトである。

2014年1月現在、中国の70の主要な大学図書館が参加している。中国国外では、米国のInternet Archive、コロンビア大学図書館[2]等9機関、インド16機関[3]のほか、ドイツのベルリン国立図書館等が参加している[4]。

元々CADALは、中国と米国、インドの機関を中心に進められた国際プロジェクトであるMBP(Million Book Project)の中国における名称である[5]。第1期(2001~2006年)では、中国国内16の機関が参加し、米国の機関と中国政府の資金を得て、100万点を越える資料をデジタル化した。第2期(2009~2012年)では、中国政府から1.5億元の資金を得て、さらに150万点をデジタル化した。2014年以降、第3期を始動する予定である。

2013年末までにデジタル化した資料総数は約275万点で、世界最大級の規模に達する。主な資料群は、表1のとおりである。

表1 CADALデジタル化資料数[6]
資料類型 点数
 古典籍 236,581
 中華民国時期の図書 171,367
 中華民国時期の雑誌 156,433
 現代の中国語図書 692,514
 学位論文 166,925
 外国語図書 763,925
 新聞 198,909
 図形画像 107,059

2014年1月現在、CADALに参加する日本の機関は無い。しかし、CADAL未参加の機関や個人でも、一部のデジタル資料を閲覧できる(後述)ため、日本からの利用も多く、2013年1~9月の間でも、61の日本の機関が利用しており、中国国外では米国に次ぐ[7]。利用者の関心が高いにも拘らず、参加機関が無いためCADALを十全に利用できていない日本の現状において、当館がCADALに関する講演会を開催し、その内容を紹介することは、日本における中国情報のインフラ整備の面で、有益と思われる。

以下、CADALデジタル化資料の利用方法及びCADAL参加のための条件について、黄晨氏による講演内容、同氏から聴取した内容及び後日提供された情報に基づいて、紹介したい。

2.CADALポータルの利用方法

CADALのデジタル化資料は、CADALポータル[8](図1)から閲覧することができる。以下では、2014年1月現在公開中のインタフェースにより、利用登録から資料閲覧までの流れを概観する。

図1 CADALポータルのトップページ

2.1.利用権限

ポータルの利用権限は表2のとおりである。

表2 CADALポータルの主な機能の利用権限
ユーザ 登録 検索 閲覧 貸出し
 参加館
 非参加館 一部可 不可

参加機関に属さない個人でも、デジタル化資料を閲覧することはできる。しかし、閲覧できるのは、著作権上の問題が無い古典籍と一部の外国語図書のみである。

その他の大部分の資料は、貸出し(2.7後述)をしないと閲覧できない。そして、この貸出し機能を利用できるのは、CADAL参加機関に所属するユーザに限られている。

2.2.登録方法

デジタル化資料を閲覧するには、個人単位での登録が必要である。トップページ上部の「注册(Register)」から、登録画面に遷移する(図2)。

ユーザ名(用户名Username)、メールアドレス(邮箱Email)、パスワード(登录密码password。确认密码confirm passwordにも入力)、所属機関(所在单位From)、居住地(常居地Residence)、関心(兴趣Interest)が必須項目である。このほか専攻(专业Major)、性別(性别Gender)、生年月日(生日Birthday)が任意項目である。必須項目を入力の上、画面下部の「注册」をクリックすると登録完了である。

図2 CADALポータルの登録画面

2.3.ユーザ情報管理

ユーザ登録をすでに完了している場合は、トップページ上部の「登录(Login)」をクリックして、ユーザ名とパスワードを入力してログインする。ログインをすると、画面右部にユーザ情報が表示される(図3)。「设置(Setting)」でユーザ登録情報の変更、「历史(History)」で貸出し履歴の確認、「退出(Logout)」でログアウトができる。

なお、CADALポータルには、他のユーザをフォローできるSNS的機能がある。自分がフォローするユーザや自分をフォローするユーザについても、ここから一覧できる。また、貸出し履歴の傾向から、ユーザの関心に合う資料や同じ志向を持つユーザが推薦される。

ログイン中は、画面上部に「(ユーザ名)的CADAL」という文字が表示され、これをクリックすると、ユーザ情報の画面に遷移することができる。

図3 ログイン後のユーザ情報画面

2.4.検索

検索は、トップページ上部の検索窓に検索語を入力する。大部分の書誌は簡体字で記述されているが、繁体字や日本の漢字で記述される書誌もある。

また、トップページ上に表示されるタグにより検索することもできる。例えば、古典籍には「府志」「实录」といった多数のタグがあり、クリックすると、検索窓にタグの字句が入力される。検索結果から他のタグを選択して、さらに絞り込むこともできる。

2.5.閲覧

資料のサムネイルまたは書誌情報の下にある「阅读(Read)」をクリックすると、ビューワ(図4)が開き、資料の内容を閲覧することができる。「详情(Detail)」をクリックすると、より詳細な書誌情報を確認できる。なお、CADALでは、著作権保護の理由から、ビューワにプリント機能を設けていない。

図4 CADALデジタル資料のビューワ(Flash)

2.6.タグ付け

閲覧した資料には、タグを付けることができる。タグを付けた資料は、CADALトップページやユーザ情報のページ上の「标签(Tag)」から一覧できる(図5)。資料の種類や関心によって、自由にタグを設定し、分類することができる。

図5 タグを付けた資料の一覧画面

2.7.貸出し

フリーアクセス可能なものを除く大部分の資料を閲覧するには、まず借りる必要がある。これは参加機関に属するユーザのみ可能だが、資料を借りて閲覧できるのは、CADALが指定するIPアドレスの範囲内に限られる。

資料を借りるには、「借阅(Borrow)」をクリックする。章や節のように細分化された部分ごとに貸出し可能のため、アクセス数の制限内で、一度に多くのユーザが借りることができる。資料は最大2週間借りることができ、延長も可能だが、別のユーザがリクエストしている場合は、そのユーザが資料を返却しないと借りることができない。

このほか、資料の一部分を指定して、コメントをつける(评注 Comment)機能等も備えられている。

3.CADALへの参加

以上のように、全てのCADALデジタル化資料を利用するには、機関としてCADALに参加する必要がある。最後に、主に国外機関向けの参加申請規則と申込書[9]に基づき、参加条件を紹介する。

3.1.参加条件

CADALに参加するには、3,000点以上のデジタル化資料またはデジタル化用の紙資料をCADALに提供することが必要である。中国語資料及び中国に関係する内容の外国語資料が優先される。ただし、CADAL収録済の資料と重複するものは除く。

参加申請に必要な提供資料点数は、デジタル化済資料だけではなく、デジタル化可能な紙資料との合算でもよい。CADALでは、参加機関が自らデジタル化するための設備や規格を定めている。参加申請機関が冊子体資料を提供して、CADALと共同でデジタル化するという選択肢もあり得る。

また、必ずしも単館で参加条件を満たす必要は無い。CADALの規則によれば、デジタル資源の共同構築・共同利用のためのコンソーシアムを結成し、その中の1館が代表となり、規定数の資料をCADALに提供すれば、加盟する全ての機関が参加できる。

さらに、この3,000点以上という基準にも例外規定がある。貴重なコレクション資料があれば、CADALのデジタル資源評価委員会の了承の上で、参加条件を緩和できる。

また、参加方式についても、上記の方式に限らず、より良い共同構築・共同利用の方式を提案することもできる。

3.2.参加までの流れ

参加申請する機関は、所定の申請書様式に、(1)機関概況、(2)CADALに提供可能なデジタル及び冊子体資料の種類・冊数、(3)参加方式(デジタル化資料のみ提供か、冊子体資料も合わせての提供か、コンソーシアム形式での参加か)といった情報を記入する。コンソーシアム形式での参加を希望する場合は、主な参加館の連絡先、担当者の情報も記入する。

CADALの専門家委員会は、申請機関の提示した提供資料リストについて審査を行い、希望する資料を選定し、CADAL登録済資料との重複調査の結果とともに、申請機関に通知する。その後、申請機関は資料をCADALに提供し、CADAL側での品質チェックを経て、最終的にCADALポータルにおいて、デジタル化資料が公開される[10]。なお、参加費やシステム維持費の負担は発生しない。

また、正式な参加申請に先立ち、最長半年間のトライアルを申請することができる。その場合は、トライアルを申請した機関との間で協定を結び、トライアル終了後にあらためて参加申請するかを決定することができる。

以上、CADALポータルサイトの機能及びCADAL参加のための条件について、現時点で知り得た情報を紹介した。中国情報を提供する日本国内の機関にとって、CADALの現状を把握し、参加を検討する一助になれば幸いである。

(ゆの もとお)



[1] 概要は『国立国会図書館月報』637号(2014年4月号)で紹介する予定である。

[2] コロンビア大学では、中華民国期の雑誌『玲瓏』のようなデジタル化コレクションを提供するほか、所蔵資料を共同でデジタル化する計画である。

China Academic Digital Associative Library Opens Its 1.75 Million E-book Collection to Columbia University, January 6, 2014.

http://library.columbia.edu/news/libraries/2014/2014-1-6_CADAL_Opens_To_Columbia_University.html (ウェブサイトの最終アクセス日は、2014年2月20日である。以下全て同じ。)

[3]「中国の資料デジタル化プロジェクト―国際連携を進めるCADAL」(2013年12月11日国立国会図書館関西館での講演資料)による。

[4] “Staatsbibliothek zu Berlin unterzeichnet Abkommen mit ZhejiangUniversitat”CrossAsia Newsletter Nr.5, 2013.2, S.1-2.

http://crossasia.org/fileadmin/user_upload/Newsletter_PDF/CrossAsia_Newsletter_005.pdf

[5] 第1期のCADALは、China-America Digital Academic Library(中美百万册数字图书馆)の略称。篠田麻美「中国におけるMillion Book Project―中国の大学図書館の資料電子化戦略―」『カレントアウェアネス』298号, 2008.12, pp.13-16.

http://current.ndl.go.jp/ca1678

[6] 「CADAL项目统计表(13年12月)」から10万点以上の資料種別を抽出して作成。

http://www.cadal.cn/zydt/index1312.htm

[7] 前掲注(3)講演資料。

[8] http://www.cadal.zju.edu.cn/index

なお、CADALでは、中国文学や書法、漢方等の主題別データベースを公開しているが、ここでの説明は割愛する。

[9] 「海外机构数字资源共建共享申报办法」と「海外机构数字资源共建共享申报表」。CADALプロジェクト管理センター黄晨氏から提供を受けたものである。これらは2014年1月現在の条件であり、随時更新される可能性があることをお断りしておく。

[10] 「加入我们」 http://www.cadal.cn/jrwm/

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