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『「九二共識」文集』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(5):アジア情報室通報 13巻2号

1.8 許世銓, 楊開煌 主編『「九二共識」文集(「92年コンセンサス」文集)』台北 : 海峽學術出版社, 2013.7. XVI, 380p. 【A76-C112】

「九二共識」(「92年コンセンサス」)は、中国大陸と台湾が同じ「中国」に属するとする「一つの中国」に関して、1992年に両者が形成したとされる「合意」であり、その後の中台交渉の土台の役割を果たした。しかし、中国側が「一つの中国」の原則を確認した点を強調するのに対し[1]、台湾側は「一つの中国」の定義は双方で異なると確認した点を強調している[2]。また、台湾では、その存在自体を否定する見解もある[3]。

本書は、「92年コンセンサス」に関して2012年11月までの間に中台双方の政府指導者、学者等により発表された論文、談話、新聞記事等を収録した資料集である。編者は中国と台湾の研究者で、許世銓は中国社会科学院台湾研究所元所長、楊開煌は台湾の銘伝大学公共事務学系教授、中国大陸研究学会理事長である。

本書は、以下の4部分からなる。
一、「92年コンセンサス」実現についての回想及び研究
二、「92年コンセンサス」実現の重要文書、メ ディア報道
三、「92年コンセンサス」の重要性に関する主な論述
四、学者、専門家とメディアの「92年コンセン サス」についての評論
付録:「92年コンセンサス」重要年表(1990-2012年)

一は、1992年11月16日に海峡両岸関係協会[4](中国側窓口機関。以下「海協会」とする。)が海峡両岸交流基金会[5](台湾側窓口機関。以下「海基会」とする。)に対して、「一つの中国」の解釈を以後の中台交渉で取り上げない方針を文書回答するまでの両者の交渉過程に関する唐樹備(1992年当時の海協会副会長)の回想録のほか、「92年コンセンサス」の交渉経過や妥結内容等に関する学者や交渉当事者による論文や記事を収録する。

二は、交渉経過や妥結内容等に関して中国大陸、香港、台湾の新聞に掲載された1992年当時の記事や、台湾で馬英九が総統に就任した2008年5月に、海基会が「92年コンセンサス」に基づく交渉再開を海協会に申し入れた際の往復書簡等を収録する。

三は、胡錦濤(前中国共産党総書記)が2004年から2012年9月までの間に、連戦(元国民党主席)や宋楚瑜(親民党主席)等に対して、中台協議の基礎として「92年コンセンサス」に言及した諸発言のほか、陳雲林(前海協会会長)や辜振甫(元海基会理事長)等の談話内容を収録する。

四は、楊開煌の論文「一つの中国の原則、『92年コンセンサス』から一つの中国の枠組みへ」のほか、中国大陸、香港、台湾で発行された雑誌等からの再録記事及び米国、日本の学者による解説等を収録する。

(アジア情報課 湯野 基生 )

[1] 例えば、海峡两岸关系协会研究部「"九二共识"的历史真相」2002.4.30を参照。
http://www.arats.com.cn/bjzl/200806/t20080626_682362.htm
(ウェブサイトの最終確認日は2015年5月15日である。以下同じ。)

[2] 例えば、海峡両岸交流基金会「92年コンセンサス -史実と効果・利益-」を参照。 
http://jp.sef.org.tw/public/Data/210301622671.pdf

[3] 民主進步黨「十年政綱『國家安全、兩岸經貿篇』媒體座談 蔡英文:尋求戰略互利,和世界一起走向中國」2011.8.23.
http://www.dpp.org.tw/news_content.php?sn=5261

[4] 海峽兩岸關係協會
http://www.arats.com.cn/

[5] 財團法人海峽兩岸交流基金會(日本語版)
http://jp.sef.org.tw/mp.asp?mp=70
「92年コンセンサス」に関する日本語の年表も公開されている。
「『92年コンセンサス』主な出来事」
http://jp.sef.org.tw/public/Data/2121717104471.pdf

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