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『식민주의 기억과 역사화해 : 11개국 역사교과서 분석』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(6):アジア情報室通報 13巻3号

2.7.  한도현(ハン・ドヒョン), 신주백(シン・ジュベク)編著『식민주의 기억과 역사화해 : 11개국 역사교과서 분석(植民主義の記憶と歴史和解 : 11か国歴史教科書分析)』ソウル, 선인(先人), 2009.11, 399p.【FC49-K30】

本書は、11か国の歴史教科書を2年にわたって分析した国際共同研究の成果である。韓国・中国と日本、マレーシアと英国、ベトナムとフランス、フィリピンと米国、インドネシアとオランダの現行の歴史教科書を取り上げ、植民地期の歴史や、独立後の過去の歴史の清算と和解に関する動向について、旧植民地国と旧宗主国の現行の歴史教科書がそれぞれどのように扱っているか、旧植民地の側である韓国、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシアの研究者が比較分析を行っている。

植民地期の歴史に関する叙述の比較分析(第1年度の研究課題)の論文が5本、過去の歴史の清算と和解に関する動向についての叙述の比較分析(第2年度の研究課題)の論文が5本、掲載されている。

分析の結果、植民地支配の叙述について、全般的には、旧宗主国の教科書は近代化をもたらした側面を、旧植民地国の教科書は収奪された側面を重視する傾向が見られるが、国によって記述内容が相当異なることも明らかとなった。例えば、韓国と中国の教科書では、自国の抗日運動[4]や、戦時中の人的・物的動員について詳細に扱われる反面、日本の教科書では具体的な記述が乏しい。一方、フィリピンで主流の教科書では、米国のフィリピン支配の実情についてあまり扱われず、米国の教科書の叙述と相当類似している[5]。

総括すると、韓国、中国、ベトナム、インドネシアでは、歴史教科書の叙述に民族主義が強い影響を及ぼしている反面、マレーシア、フィリピンではその影響が弱い傾向があるという。編著者は、民族主義的な議論が歴史認識の対立をより悪化させることもあるとまとめている。

編著者によれば、旧植民地国の学者が問題意識を共有して共同研究を行った事例はほとんどない。複数の植民地支配―被支配の関係にある国家の歴史教科書を比較分析している点で、意義ある研究であると思われる。

編著者のハン・ドヒョンは、韓国学中央研究院社会学専攻教授で、コミュニティ(地域共同体)、環境、歴史社会学などを研究する。シン・ジュベクは、延世大学校国学研究院HK(Humanities Korea(人文韓国学))研究教授で、東アジア5か国の歴史教科書と歴史教育の歴史などを研究している。

(前 アジア情報課 阿部 健太郎)

[4] 一方で、韓国と中国の教科書は、互いの民族運動に対しては特段関心を示していないという。

[5] 近年は、米国のフィリピン支配を批判的に叙述する教科書も出版されているという。書誌事項は次のとおり。Monina Olavides-Correa et. al., Lupang hinirang : kasaysayan at pamahalaan(選択された地 : 歴史と政治), Pasig: Anvil, 2001 ; Reynaldo Oliveros et.al., Ang kasaysayan at pamahalaan ng Pilipinas(フィリピンの歴史と政治), Manila: Ibon, 2004.

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