「リサーチ・ナビ」に関するアンケートを実施しています。皆さまのご意見をお聞かせください。アンケートに答える

トップアジア諸国の情報をさがす刊行物>『文献为证 : 钓鱼岛图籍录』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(8):アジア情報室通報 14巻1号

『文献为证 : 钓鱼岛图籍录』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(8):アジア情報室通報 14巻1号

1.13. 国家图书馆中国边疆文献研究中心 編著『文献为证 : 钓鱼岛图籍录(文献が証明する:釣魚島図籍録)』北京 : 國家圖書館出版社, 2015.4, 6, 292p. 【A171-C90】

本書は、中国国家図書館の「中国辺境文献研究センター」が、「釣魚島」(尖閣諸島の中国名)が中国固有の領土であることを文献によって証明するために編集・刊行した資料集である。同センターは、「国家主権の維持と領土保全をめぐる情勢が厳しさを増している状況」において、「国防建設及び外交政策策定のために文献情報の裏付けを提供する」ことを目的として、2012年8月15日に、同館の立法・政策決定サービス部(立法决策服务部)に設けられた[1]。

上記の問題意識に基づき、同センターは、中国国家図書館のほか、中国国内の主要図書館、日本の国立国会図書館、国立公文書館、米国議会図書館、英国図書館等の所蔵資料を調査し、尖閣諸島に関する資料130点余りをとりあげ、簡単な解説とともにその本文画像(一部)を掲載している。各資料は3つに分類して紹介されているが、それぞれ、おおむね下記の点を「文献によって語らせ」ようとしている。

第2章 古代の文献に記された釣魚島

  • 中国が最初に釣魚島を発見、命名、利用した。
  • 琉球の領域は久米島までであり、それ以西は中国領である。
  • 明朝初期から釣魚島を含む海域を海防区域に設定していた。

第3章 内外の地図に記された釣魚島

  • 欧米各国で近代に作成された地図には、釣魚島が中国語方言(閩南語)で記されている。
  • 1895年以前作成の日本地図には、日本の領域に釣魚島が含められていない。

第4章 近代以降の文献に記された釣魚島

  • 1895年、日本は秘密裏に釣魚島を窃取した。
  • 第2次世界大戦後、釣魚島は中国に復帰した。
  • 1951年以降、米国と日本は、中国を排除した状態で釣魚島をひそかに授受した。

本書は、国益維持・増進への貢献を明確に意識した中国国家図書館の一部門による資料であり、上記内容も中国政府の主張に沿ったものである。そのため、個々の資料の解釈の妥当性については、日本政府の立場や日本の主要な研究成果と対照しながら吟味する必要があろう[2]。

なお、中国辺境文献研究センターからは、『南海(南シナ海)図籍録』等の刊行も予定されている。今後、同センターが発信する情報が注目される。

(アジア情報課 冨田 圭一郎)

[1] 国家图书馆 编『国家图书馆年鉴 2013』 国家图书馆出版社, 2013, p.23.  
張潔「中国国家図書館の直近3 年(2011 年から2013 年)における立法・政策決定サービスの進展状況(第32 回日中業務交流)」2013.10.23, pp.3-4.  
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/cooperation/pdf/2013theme1_nlc.pdf

[2] さしあたり下記を参照。
外務省「日本の領土をめぐる情勢 尖閣諸島」 
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/
濱川今日子「尖閣諸島の領有をめぐる論点 ―日中両国の見解を中心に―」『調査と情報-ISSUE BRIEF-』565号, 2007.2.28(2014.11.28補訂).
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/issue/0565.pdf

  • 国立国会図書館
  • 国立国会図書館オンライン
  • 国立国会図書館サーチ
  • 国立国会図書館デジタルコレクション
  • ひなぎく
  • レファレンス協同データベース
  • 本の万華鏡
  • 参考書誌研究