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韓国の化粧品産業 (レファレンス事例・ツール紹介(13)):アジア情報室通報 17巻1号

田中 福太郎(国立国会図書館関西館アジア情報課)

近年、韓国へ旅行に行き化粧品を購入するという方もいらっしゃるのではないでしょうか。その際、どんなメーカーのものが多いのか、市場規模はどのくらいなのだろうかということが気になる方もいらっしゃるかもしれません。

本稿では「韓国の化粧品産業の市場規模、代表的な化粧品メーカーを知りたい」というお問合せを例に、韓国の産業について調べる際に参考となるツールをご紹介します。

*【 】内は当館請求記号、ウェブサイトの最終アクセス日は2019年2月1日です。

1.リサーチ・ナビの活用

国立国会図書館の調べもの支援サイト「リサーチ・ナビ」内にある「アジア情報の調べ方案内」の「経済・産業」の項では、アジアの地域ごとに経済について調べるためのツールをご紹介しています。

韓国の場合、「韓国の経済・産業について調べる」[1]や「統計の調べ方(韓国・北朝鮮)」[2]といったページを公開しており、以下のような資料を紹介しています。

  • ①『韓国の産業と市場』(ビスタピー・エス 年刊)【Z3-B684
    日本語資料です。産業別・製品別の統計集です。解説はありませんが、データ量は多く、その出所が明記されています。特定の産業や製品に関する別冊が不定期に発行されます。
  • ②『製品別•業體別市場規模總覽』(데이코D&S 年刊) Z41-AK546
    上記①の元となっている資料で、デイコ産業研究所による統計集です。本文は朝鮮語です。産業別に生産量、市場規模、貿易額等の統計を掲載しています。
  • ③『2015 기준 경제총조사보고서 = Report on the economic census2015年基準経済総調査報告書)』(통계청 2017)【DT331-K18
    韓国・統計庁の調査報告書で、朝鮮語・英語併記です。農林水産業、鉱業、製造業、電気・ガス・水道事業、建設業、運送業、商業・サービス業などの全産業について、企業数・従事者数・売上高などの統計を掲載しています。後述する国家統計ポータルでも閲覧できます。
  • ④『2017 업계지도 = The maps of business investment : 한발 앞서 시장을 내다보는 2017業界地図 : 一歩先に市場を眺める目)』(어바웃어북 2017)【DC147-K246
    韓国の業界地図で、本文は朝鮮語です。通信、半導体、銀行、証券、建設、化学、流通、エンターテイメントなど48業種について、代表的企業の経営実績、事業領域、業界のトピックと展望などを、カラー図版で収録しています。

まず、①の2017年版によると、韓国の化粧品産業の2015年の市場規模は、7兆6241億8100万ウォンで、数値の出所は「韓国保健産業振興院」とのことです。また、この数値は生産額-輸出額+輸入額で算出しているとのことです。 ②の2018年版を確認すると、2016年の数値が掲載されており、市場規模は9兆8783億1100万ウォンとのことです。

また、これらとは数値の項目が異なりますが、③の「化粧品製造業」の項を見ると、売上額は10兆8448億5400万ウォンとなっています。

さらに、④の「化粧品・生活用品業界」の項を見ると、主な会社として、アモーレパシフィック、LG生活健康、CJオリーブネットワークスなどの企業があることもわかります。

次にウェブ情報源からアプローチしてみます。先にご紹介した「韓国の経済・産業について調べる」や「統計の調べ方(韓国・北朝鮮)」では、以下のような情報源をご紹介しています。

  • ⑤海外ビジネス情報「韓国」(日本貿易振興機構(ジェトロ))
    http://www.jetro.go.jp/world/asia/kr/
    日本語情報が充実しています。最新情報のほか、主要経済統計、各種報告書も閲覧可能です。
  • 국가통계포털(国家統計ポータル
    http://www.kosis.kr/
    韓国・統計庁が提供する統計の統合検索サイトです。英語版ページも公開されていますが、朝鮮語版と比べて、統計項目がやや少ないほか、刊行物の原文は閲覧できません。国家承認統計を16の分野に分類して提供しており、項目、分野、作成機関、統計名などから検索できます。また、「온라인간행물(オンライン刊行物)」で、統計庁が発行している『한국통계연감(韓国統計年鑑)』などの刊行物の原文も閲覧可能です。

例えば、⑤のサイト内検索で「韓国 化粧品」として検索すると、化粧品輸出が大幅に伸びているという記事(【韓国】化粧品が輸出モデルに(2015年11月))[3]や、「化粧品の現地輸入規則および留意点:韓国向け輸出」[4]が閲覧できます。前者では「アモーレパシフィック、LG 生活健康の二大企業を中心に輸出が好調」とあり、代表的な会社名が分かります。

後者では「化粧品の輸入制度(韓国)」が閲覧できるほか、関係機関へのリンクが張られています。ただ、両者からは化粧品市場の市場規模は確認できませんでした。

また、⑥では、上記③がウェブ上で閲覧できます。온라인간행물(オンライン刊行物)>명칭별(名称別)>경제총조사(経済総調査)>2015年基準 とたどると、PDFファイルがダウンロードできます。

なお、⑤の「化粧品の現地輸入規則および留意点:韓国向け輸出」に、関連機関として「韓国食品医薬品安全庁」や「韓国化粧品協会」が挙げられています。同協会ウェブサイト[5]には、事業紹介>化粧品市場情報の項があり、マーケティング調査報告書や輸出入実績などが閲覧できます。その中で、韓国保健産業振興院による2017年の韓国の化粧品市場の分析レポート「2017 화장품산업 분석 보고서(2017化粧品産業分析報告書)」もダウンロードできます。同協会のウェブサイトは日本語表示も可能ですが、レポート自体は朝鮮語です。

2. 国立国会図書館オンラインを活用する

上記①②で、数値の出所が「韓国保健産業振興院」とあり、⑤のリンク先である韓国化粧品協会にも、同院の調査レポートが公開されていましたので、その出版物を所蔵していないか確認します。ハングル形「한국보건산업진흥원」で検索すると、以下の資料がヒットします。

  • ⑦『보건산업백서(保健産業白書)』(한국보건산업진흥원 年刊)Z41-AK311
    朝鮮語資料です。医薬品、医療機器、化粧品、食品、医療サービス、バイオ保健、韓医薬の各産業について、現況、市場動向、研究開発動向、政策動向等を収録しています。

当館の最新の所蔵が2013年版までですので、最近の動向を把握するのには適していませんが、同院のウェブサイト[6]を参照すると、「2016 KHIDI 보건산업통계집(2016KHIDI保健産業統計集)」が公開されており、上記②と同様の数値が得られます。

次に、同白書の分類[7]「EG225」(医療・公衆衛生-その他の諸国)が付与されている他の年鑑類を調べてみます。国立国会図書館オンラインの詳細検索で、図1のように、「雑誌」タブを選択し、分類に「EG225」、言語に「kor」(朝鮮語)と入力し検索すると、以下の資料がヒットします。

図1 国立国会図書館オンラインの詳細検索画面

  • ⑧『식품의약품통계연보食品医薬品統計年報)』(식품의약품안전처 年刊)Z43-AK39
    韓国・食品医薬品安全処が発行する年鑑で、統計部分は朝鮮語・英語併記です。食品、農畜水産物、医薬品、バイオ生薬、医療機器などについて、産業の現況、輸出入、監視状況、承認・許可などの統計が収録されています。

⑧の2016年版を参照してみます。すると、5章「バイオ生薬等」の項に「生産額上位10社の化粧品現況2015」や「国内化粧品産業生産・輸出・輸入額、貿易収支、市場規模-年度別:2006-2015」が掲載されています。後者によると、2015年の市場規模は9兆2327億4900万ウォンで、数値は食品医薬品安全処化粧品政策課によるとあります。

また、⑧は食品医薬品安全処ウェブサイト[8]で公開されています。2018年版が公開されていましたので、それを参照すると、「生産額上位10社の化粧品現況 2017」には、上位から(株)アモーレパシフィック、LG生活健康、エギョン(愛敬)産業(株)、イニスフリー、(株)コリアナ化粧品などとなっており、代表的な会社名が分かります。次に、「国内化粧品産業生産・輸出・輸入額、貿易収支、市場規模-年度別:2008-2017」によると2017年の市場規模は9兆6527億8100万ウォンとのことです。

なお、食品医薬品安全処は、⑤で「食品医薬品安全庁」として掲載されていた政府機関です。2013年に保健福祉部傘下から国務総理所属に変更されました。同処ウェブサイトには、「化粧品政策」のページもあり、政府の方針を確認することもできます。英語版のページもありますが、朝鮮語版の方が内容が豊富です。

まとめ

市場規模、代表的な会社とも、最終的には化粧品を所管する食品医薬品安全処の統計資料(⑧)から得ることができました。また、民間の調査会社による資料(①及び②)でも市場規模を把握することができました。

ここまでの調査のポイントは次のとおりです。

  • リサーチ・ナビで紹介されている資料やウェブ情報源を用いて調べてみる。
  • 国立国会図書館オンラインで、出版者や分類で検索してみる。

海外の産業の市場規模について調べる際、国立国会図書館にご来館の上、当館が契約している英文によるデータベースを用いて調査するという方法もあります。リサーチ・ナビ「経済・社会・教育分野の館内提供契約データベース」の「海外の市場動向」[9]でデータベースをご紹介していますので、これらもご活用ください。

(たなか ふくたろう)



[3] 韓国>「調査レポート」とたどることもできます。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/596e84277f3b392d/20150100.pdf

[4] 韓国>「貿易・投資相談Q&A:日本から輸出」とたどることもできます。
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-030121.html

[5] 「化粧品の現地輸入規則および留意点:韓国向け輸出」のページから同協会ホームページへはリンク切れになっていますが、URLは以下です。
https://kcia.or.kr/

[7] 国立国会図書館分類表による分類で、同表は当館ウェブサイトで公開しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/catstandards/classification_subject/ndlc.html

 

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