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『日中戦争の歴史問題に関する国際法研究』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(22):アジア情報室通報 17巻3号

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1.29. 管建强 著『中日战争历史遗留问题的国际法研究(日中戦争の歴史問題に関する国際法研究)』北京 : 法律出版社, 2016.10. 2, 5, 9, 491p. 【A99-C9Z-C76】

【キーワード】

日中戦争、国際法、歴史問題、戦争賠償の個人請求権

【著者情報】

管建強は、華東政法大学国際法学院教授、軍事法学科筆頭講師、同大学東方毅軍事法研究センター主任を務めている。管は国家社会科学基金における最も権威のある「重大項目」[1] 『构建中国特色军事法治体系的核心问题研究(中国の特色ある軍事法治体系を構築する中核課題研究)』の筆頭専門家を担当し、中国国際法学会常務理事も務めている。また、中国社会科学院発行の学術誌『中国社会科学』の外部審査員も担当している。

【出版の背景・目的】

著者は、近年の日本の保守化を認識し、その原因の一端は「右翼」学者の主張に対してきちんとした反論を国際社会がこれまでしなかったことと考え、国際法分野の諸争点を検証すべく、2010年度の中国国家社会科学基金研究項目として書き上げられた論文『国际法视角下的中日战后历史遗留问题研究(国際法視点における日中戦後歴史問題の研究)』をベースに、日中両国の学者等の助力を得て、加筆して本書の形にした。

【本書のポイント】

著者は国際法専門の学者であり、中国国際法学会常務理事も務めている。このため、著者は、中国の国際法研究分野では一定の権威を有すると推測できる。出版にあたって、中国社会科学院をはじめとする各方面から支援を受けている。また、本書は公文書等の証拠に基づく詳細な論証が行われたと謳っており、中国国際法学会2016年度「中国国際法学優秀科研成果奨」を受賞している[2] 。ゆえに、本書を通して、これまで議論されてきた論点を整理するとともに、中国国内の専門家による議論の状況を窺い知ることができると思われる。

【目次】

まえがき
第一章 日中戦争の性質と敗戦国である日本の地位の位置づけ
 第一節 極東国際軍事法廷の管轄権
 第二節 日本の主権制限
 第三節 日本の政治家による靖国神社参拝問題及び教科書における歴史の改変問題に関する研究
 第四節 日本の平和憲法の存廃問題
 本章のまとめ
第二章 『サンフランシスコ平和条約』、戦後日中間の協定及び中国国民の請求権
 第一節 日本の最高裁判所は中国の民間人戦争被害者の訴権が既に剥奪されたと不当に主張する
 第二節 『サンフランシスコ平和条約』における条約締結国の国民の請求権の放棄の性質に関する研究
 第三節 『サンフランシスコ平和条約』と『日華平和条約[3]』 の効力は中国には及ばない
 第四節 中国政府が対日戦争の賠償の放棄を宣言した意味
 本章のまとめ
第三章 戦後の民間の戦争被害者による損害賠償請求の運動が国際人道法の発展に貢献
 第一節 民間による対日賠償請求運動の現状、発生原因及び条件
 第二節 国際人道法における文民保護の根拠及び主な内容
 第三節 国際人道法違反における国家責任の負担の変遷と発展
 第四節 『サンフランシスコ平和条約』の「戦後処理」は国際人道法の基準からかい離する
 第五節 民間の戦争被害者の利益の救済の権利と義務の主体-韓国での国内救済手段の導入の視点から-
 本章のまとめ
第四章 国際法の視点における日中による「釣魚島」の領有権の紛争
 第一節 「釣魚島」は中国の固有の領土である
 第二節 日本が中国から「釣魚島」を奪い取った行為の性質
 第三節 戦後日本の主権を制限する条約の効力とその限界
 第四節 東シナ海における日中共同開発の構想と不備
 第五節 「釣魚島」の主権「棚上げ」に対する国際法の分析
 第六節 平和的な手段で「釣魚島」をめぐる国際紛争を解決する
 本章のまとめ
第五章 戦後の台湾主権帰属に関する研究
 第一節 台湾は神聖なる中国領土の不可分の一部
 第二節 「台湾地位未定論」及びその発展理論に対する批判
 第三節 台湾の法的地位に対する国民党当局の立場及びその批判
 本章のまとめ
あとがき

(アジア情報課 中山 正義)



[1] 「重大項目」は、現段階において国家社会科学基金における最もレベルが高く、支援度合いが大きく、権威性の強い項目である。 (「国家社科基金重大项目简介」、
http://www.npopss-cn.gov.cn/GB/219471/219479/220861/14585551.html

[2] 「2016年度"中国国际法学优秀科研成果奖(航天科工奖)" 公示」
http://csil.cn/News/Detail.aspx?AId=224

[3] 「日本国と中華民国との間の平和条約」(昭和27年条約第10号)。日本と中華民国(台湾国民政府)との間で両国間における第二次世界大戦の戦争状態を終了させるために締結された条約である。

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