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中国の出版関係機関と図書館-出張報告: アジア情報室通報第3巻第1号

アジア情報室通報 第3巻第1号(2005年3月)
鴇田 潤(国立国会図書館アジア情報課)

2004年11月16、17日に南京で開催された第四次中文文献資源共建共享合作会議に参加した後(『国立国会図書館月報』No.528 2005年3月号参照)、中国の出版関係機関および図書館を訪問する機会を得たので、各機関の概要を紹介する。

Ⅰ 出版関係

1 新聞出版総署(国家版権局)

北京の東四南大街に位置する新聞出版総署(著作権管理に関わる場合は国家版権局の名義を使用する)は、辧公庁、政策法規司、図書出版管理司、報紙期刊出版管理司、音像電子和網絡出版管理司、印刷複製管理司、出版物発行管理司、出版物市場監管局、版権管理司、人事教育司、対外交流与合作司からなり、国内の出版関連業務の管理・監督および著作権の保護・管理を行っている。具体的には、出版・発行に関する企画・実施、出版社および出版市場の管理・監督、出版・著作権保護関係の法案作成、国内の著作権管理と出版・著作権関係の国際交流などがその主な業務である。

①出版社のグループ化

現在、推進している計画に出版社、印刷業、発行業のグループ化がある。試験的な出版グループ化は1998 年に始まり2002 年に正式に成立した。印刷グループ、発行グループについてもすでに成立している。グループ化の目的は企業経営方式により市場競争力を増強して出版業を発展させることにある。

現状ではグループ化による規模の拡大が必ずしも収益増大にはつながっていない。今後、グループ内の体制整理、調整がなお必要とされる。

②音楽映像資料、電子出版およびネットワーク出版

音像電子和網絡出版管理司が所掌しており、音楽映像資料班、電子出版班、ネットワーク出版班と媒体ごとに担当が分かれている。出版量が急激に増えている分野である。出版社から提出された計画の審査・許可、年度出版計画や重点出版物の計画策定、またこうした出版物の管理・監督などを行っている。インターネットによる情報発信サービスもその管理・監督対象となる。海賊版駆逐も業務のひとつであるが、実際の著作権処理は著作権保護センターが主管する。

③著作権管理

版権管理司が、関係法規の起草、その実施状況の監視、著作権侵害事件の処理等を担当している。現在、文学作品の著作権団体の設立が急務であるという。

データベース化、デジタル化にあたって著作権処理に問題があって、著作権者が図書館を訴えるケースが増えている。そのため、全国文化信息資源共享工程(後述)やデジタル図書館プロジェクト関係者から、著作権処理について相談を受けることも多いという。

④古籍の整理出版

図書出版管理司(古籍整理出版規画辧公室)が担当し、例えば国家プロジェクトとして古籍のCD-ROM 化を企画する。

1999 年に全国古籍整理出版規画領導小組が設けられ、2000 年12 月に≪国家古籍整理出版“十五”(20012005 年)重点規画≫が制定された。すでに『全元文』『林則徐全集』などが出版されている。

同小組は古籍整理業務のレベル向上のために2001 年~2003 年に「全国古籍出版社編輯培訓班」を開催した。その内容はそれぞれ『古籍整理出版十講』(岳麓書社、2002)、『古籍編輯工作漫談』(斉魯書社、2003)、『古籍整理出版漫談』(上海古籍出版社、2004)にまとめられている。

2 精華同方光盤股份有限公司中国学術期刊(光盤版)電子雑誌社

清華同方光盤股份有限公司は清華大学構内に位置する。電子出版については、新聞出版総署と文化部の指導のもと事業化に着手した最初の企業である。

清華同方が構築したCNKI(China National Knowledge Infrastructure)は世界でも最大規模のデジタル図書館で、中国語情報資源の共同構築・共同利用を目的とする国の情報化重点プロジェクトとして開始された。そのうちCAJFD ( China Academic Journals Full-text Database)は中国最大の電子ジャーナルで、すでに日本国内でも複数の大学が導入している。1994 年以降発行の人文・社会・自然科学分野の6,600 タイトル、990 万件以上の本文を収録しており、毎年約80 万件が追加される予定である。現在中国の雑誌刊行数は約8,400タイトルであり、文学・文芸分野などを除き、学術雑誌の99%が収録されているといえる。

新規発行雑誌の収録については、出版から3~6 ヶ月購読・審査の後、収録が決定される。

著作権処理は、清華同方社が出版社に対して著作権料を支払い、著作者個人には出版社から支払われる。

印刷媒体と電子版についても国家版権局の指導のもと著作権を処理している。

収録論文については9分野ごとに専門家による査読を行っており、誤植の訂正も行う。

今回、西三旗にあるデータ加工センターを見学したが、校正、分類、件名付与などフロアごとになされる厳密な作業は圧巻であった。

新聞の全文データベースとしてCCND(ChinaCore Newspapers Database)があるほか、10数タイトルの全文データベースを開発している。

3 中国国際図書貿易総公司

現在日本国内に流通している中国書の大部分を取り扱っている。1949 年に国際書店として創立され、1983 年に今の名称になった。香港支社(和平公司)のほか、深圳、広州、上海、西安、米国、英国、ベルギー、ドイツ、そして日本に支社を置く。

日本の大学の独立行政法人化による資料購入の減少を危惧していたが杞憂であったとのことである。

Ⅱ 図書館

1 南京図書館

1907年設立の江南図書館を前身とする南京図書館は、740万冊を所蔵する国家一級図書館で、中国国家図書館、上海図書館に次ぐ中国第三の図書館である。また江蘇文化事業発展の拠点として「江蘇文化網」を運営している(http://www.jscnt.gov.cn/)。2005年10月には長江路に新館が開館する予定である。

虎踞路にある歴史文献部は、同館所蔵の古籍を収録し、150万冊のうち善本約10万冊である。古籍の修復・保護を重視しており、『中文善本保存保護国際研討会論文集』(北京図書館出版社、2002)に同館の報告が収録されている。

また、民国時期文献70 万冊も貴重なコレクションである。

2 上海図書館

1952 年の設立で、1995 年に上海科学技術情報研究所と合併し、1996 年に淮海中路に開館した新館が現在の上海図書館である。

所蔵する家譜12 万冊は世界一の量であり、全328 姓氏の家譜について『上海図書館館蔵家譜提要』(上海古籍出版社、2000)がある。

古籍は善本17 万冊を所蔵し、文献の修復と保護についても研究を進めている。古籍閲覧エリアのほか古籍修復展示室が置かれている。

日本語資料8万冊を所蔵し、目録に『上海圖書館館藏舊版日文文獻總目』(上海科學技術文獻出版社,2001)がある。また、日本の古いレコードを多く所蔵する。

『全国報刊索引』は上海図書館で編さんされている。香港、台湾を含む雑誌・新聞約8,000 タイトルの論文・記事を収録する。1993 年に開発に着手し1995 年に完成した『全国報刊索引数据庫』は200年以降、毎年社科版、科技版とも26 万件が追加されている。社科版については1857-1919 年、1950-1999 年の464 万件について遡及データが入力済みで、1920-1949 年の70 万件については今年中に入力完了の予定である。

3 徐家匯蔵書楼

フランスのイエズス会が上海に創立した最初の近代図書館で、1956 年に上海図書館に併合された。上海漕渓北路に位置し、2002 年に修繕されて現在の外観になった。

主に1949年以前に出版された外国語文献56万冊を所蔵し、毎週土曜日に一般に公開している。閲覧室では主に中国早期の新聞雑誌を閲覧提供している。

外国語文献の補修作業現場では、製本された日本語の極秘資料パンフレットを目にした。

4 中国国家図書館

1912 年開館の京師図書館を前身とし、国立北平図書館、北京図書館を経て、1987 年紫竹院公園北側に新館が建てられ、1998 年に中国国家図書館と改称した。善本27万冊、古籍164万冊を所蔵する。

①全国文化信息資源共享工程国家中心

2002 年文化部と財政部が共同で組織した、一般大衆を対象に、中国文化に関する情報をデジタル化し提供することを目的とする機関である。同館内に事務所を置くが中国国家図書館と同じレベルの別組織である。

このプロジェクトは、最終的には1つの国家センター、30 の省級センター、5000 以上の県、郷、街道、社区の基層センターからなるネットワーク(135 計画)形成を目指している。

②北京北図図新書店

当館が中国国家図書館の協力を得て2001 年から行っている中国書の購入は、北京北図図新書店がサービス拠点となっている。電子的に提供された書誌データの中からアジア情報課で選書したものを送付してもらう方式である。現在は、大陸の出版データのみの送付を受けているが、香港、マカオ、台湾の出版データについても送付可能とのことであった。

5 大連図書館

大連市西崗区長白街に位置する国家一級図書館である。1907 年の南滿洲鉄道株式会社資料室、1919 年の満鉄大連図書館を前身とし、1951 年の旅大市図書館を経て、1981 年に大連図書館と改称、現在の大連図書館は1986 年に建設された。満鉄大連図書館旧址に補修されたのが魯迅路分館(日本文献資料館)である。

満鉄旧蔵書44 万冊には地方志、地図、明清小説などが含まれる。貴重な明清通俗小説150 余タイトルを含む大谷文庫は1925 年に満鉄大連図書館に寄贈されたものである。明清小説のうち55 タイトルが『大連図書館孤稀本明清小説叢刊』として影印出版されている。大量に所蔵する戦前期の日本語新聞も貴重なコレクションといえる。

おわりに

出版界、図書館界のいずれにおいても、文献とそれを取り扱う専門職員、および受容者・利用者の文化的・知的水準を高めようという国家の意志、中国文化発揚への情熱が見られ、そのための各種プロジェクト推進力の強さに、発展する中国の力を感じた。

最後に、訪問を承諾し案内をいただいたすべての機関と関係者に心から感謝する。

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