「リサーチ・ナビ」に関するアンケートを実施しています。皆さまのご意見をお聞かせください。アンケートに答える

トップアジア諸国の情報をさがす刊行物>アジア情報室ホームページの現状と課題: アジア情報室通報第3巻第3号

アジア情報室ホームページの現状と課題: アジア情報室通報第3巻第3号

アジア情報室通報 第3巻第3号(2005年9月)
国立国会図書館アジア情報課ホームページ班

 

1. はじめに

2005年10月でアジア情報室ホームページを公開して三年になる。その間に継続的にコンテンツの追加や更新を行うとともに、大きなリニューアルを行った。アジア情報室ホームページのこれまでの経緯と内容、今後の課題について述べていきたい。

2. アジア情報室ホームページの沿革

○アジア情報室ホームページ公開

2002年10月にアジア情報室開室(関西館開館)にあわせてアジア情報室ホームページを公開した。同時にアジア言語OPACも公開され、これまでカード目録や冊子目録でしか検索できなかった当館所蔵の中国語資料、朝鮮語資料の書誌や所蔵状況がオンラインで検索できるようになった。ホームページには利用案内、資料の検索方法、テーマ別調べ方案内、リンク集を掲載した。リンク集はこの時点で1,500以上のリンクを掲載していた。

アジア言語を扱う上でどうしても避けられない問題が文字コードの問題である。国立国会図書館のホームページは日本語EUCというUNIX系の文字コードを採用しているため、中国語、ハングルなどアジア言語を日本語と混在させて表示することができない。2002年10月公開時、アジア情報室ホームページもそれにあわせて日本語EUCを文字コードとして採用していたため、多言語表記はできなかった。中国語やハングルを使用する部分は、日本語漢字に置き換えたり、画像を埋め込むなどして対応していた。その他のアジア言語についても、アルファベットに翻字するか、または英語名などを使用していた。多言語表記が可能になったのは、アジア情報室ホームページをリニューアルした2004年1月である。

○アジア情報室ホームページリニューアル

2004年1月に行ったリニューアルでは簡体字やハングルなどのアジア言語の多言語表記を可能とするために文字コードにUTF-8を採用した。UTF-8で記述するためには、HTMLファイルを一から作り直すことが必要であったので、同時にホームページのデザインと構成も変更することになった。開架雑誌・新聞一覧や刊行物などの新しいコンテンツを追加し、リンク集も大幅に拡充した上でリニューアル公開を行った。

その後も各コンテンツの拡充、新しいコンテンツの追加を継続的に行っている。詳細についてはホームページの更新履歴欄の「お知らせ & 更新状況」を参照していただきたい。

3. ホームページの維持管理

アジア情報課では中国、コリア、諸地域の各地域担当からそれぞれ1名と管理者1名を合わせて合計4名からなるホームページ班を組織しホームページの維持管理を行っている。インターネット情報資源(リンク集)については、各地域担当がそれぞれの地域のリンク集を維持管理している。

作成にあたっては、以前はWordで作成した原稿をもとに業者にHTML作成を依頼していたが、現在はテキストエディタを使用して、タグを組むところからホームページ班が担当している。HTMLについてより専門的な知識が要求されることになったが、行やスペースの追加、文言の変更といった微細な修正から、デザインの変更、新しいコンテンツの追加のような大きな修正まで、意図した通りにページが作成できるようになり、より柔軟で早い更新が可能になった。更新は一ヵ月に一度のペースで行っている。

4. ホームページの構成

現在のアジア情報室ホームページの構成は以下のようになっている。説明すべき項目についてのみ紹介する。

図1.アジア情報室ホームページサイトアップ

(1)利用案内

利用案内のみは国立国会図書館のホームページの「サービスポイント 関西館」の一部として構成されている。開館時間、交通案内等を掲載している。2004年1月のリニューアル以前は、ここにアジア情報室ホームページのトップページを置いていた。ホームページのリニューアルに際し、ここにリンクを張る形でトップページを独立させたが、利用案内だけは関西館の他の案内とともに一覧できるようにするために、当館ホームページの中に残す形になった。

2)開架雑誌・新聞一覧

言語別、資料種別(雑誌、年鑑、新聞)に参照することができる。また、プリントアウトして使用できるように言語ごとにPDF版のタイトルリストも公開している。

(3)アジア関係資料の検索

東京本館を含め国立国会図書館で所蔵するアジア関係資料の検索方法について紹介している。

(4)海外複写サービス

中国国家図書館と韓国国立中央図書館で行っている海外の個人の利用者を対象とした文献複写サービスの案内を掲載している。ただし、アジア情報室では、データベース検索や申し込みの代行は行っていない。

(5)刊行物

アジア情報課で編集・発行している「アジア情報室通報」などの刊行物を紹介するページである。2巻1号以降については全文をPDF形式で公開している。また、「アジア情報室通報」の前誌にあたる「アジア資料通報」等の総索引も公開している。

現在は目次のみの公開となっている「アジア情報室通報」1巻1号から1巻4号のバックナンバーの公開も予定している。

(6)テーマ別調べ方案内

国立国会図書館ホームページで公開している「テーマ別調べ方案内」の一部である「アジア関係資料」のページを共有する形で公開している。カウンターやレファレンス等で問い合わせの多いテーマについて、検索方法や参考資料、関連サイトなどを紹介している。以前は資料の検索方法や参考資料の紹介が主であったが、情報収集にインターネットが重要な位置をしめるようになってきており、また、遠方ゆえに国会図書館に直接来館して利用できない利用者の便に資するためにも、最近では有用なサイトの紹介にも力を入れるようにしている。新聞や地図などの問い合わせの多いものについては、所蔵資料のリストも公開している。

現在、各コンテンツを「政治・法律・行政」、「経済・産業」などに大別し、計49のコンテンツを掲載している。

主題を軸に資料やサイトを選択・配置することで、OPACなどのデータベースによる検索や書架のブラウジング等では見つけにくい資料やサイトを有機的に結びつけて紹介できるようになった。

今後も問い合わせの多いテーマについて、コンテンツの追加を行い、すでに公開しているものについても拡充を図っていきたい。

(7)アジア情報機関ダイレクトリー

アジア情報機関ダイレクトリーは、アジア関係資料やアジア言語資料を所蔵する国内機関を収録対象とするダイレクトリーである。

アジア言語資料は、日本語資料、欧米言語資料に比べ、国内の諸機関で所蔵される冊数は全体的に少なく、また所蔵する機関も限られており、アジア言語資料へのアクセスは日本語、欧米言語資料に比べて不利な立場にある。本ダイレクトリーは、国内のアジア関係資料やアジア言語資料の所蔵状況を明らかにすることで、関係各機関の蔵書構築に資するとともに、アジアの情報を求める利用者の資料へのアクセスを容易にすることを目的としている。

作成に当たって、2004年7月に国内の83機関に調査票を送り、72機関から回答を得た(当館分含む)。回答を元にHTML化を行い、さらに数度にわたり各機関に記載事項を確認したうえで、2005年3月11日に公開した。なお、ダイレクトリーの文字コードには日本語EUCを使用した。これは国立国会図書館ホームページで採用されているホームページ内検索エンジンを活用し、ダイレクトリーを全文検索できるようにするためである。

項目は住所、沿革などの基本情報以外に、実際に利用する際に必要となる利用条件、所蔵資料の概要、統計、コレクション、検索ツールなどの情報から成っている。

ダイレクトリーは、外部の人間がその機関を利用する際に参照することを前提としているため、学外の教員や学生、一般市民が利用する際の利用条件を記載し、検索ツールも外部の人間にもわかりやすいよう可能な限り詳細に記載した。

統計(所蔵資料統計)については、アジア言語というくくりで統計をとっていない機関も少なくなかったが、各機関のアジア言語の所蔵を示す一つの重要な目安となるため、可能な限り詳細に記述するよう依頼した。

索引としてトップページには機関名五十音索引、所在地別索引、対象地域別索引、言語別所蔵資料索引を作成し、その補助としてダイレクトリー本文の全文検索機能を設けた。チベット語、中国語、朝鮮語など、言語別に所蔵機関検索できる言語別所蔵資料索引の利用が多いようだ。

また、国内の関係機関の動向を把握する一つの試みとして、ダイレクトリーのトップページに協力機関の最新情報を掲載する欄(関係機関ニュース&更新情報)を設けた。新しいデータベースの公開、新しいサービスの開始、ある資料群が利用可能になったなどのアジア関係資料を求める利用者に役立ちそうな情報を、ホームページ班が各機関のホームページから情報を収集し、各機関に確認を取った上で掲載している。2005年以降のものを蓄積している。このニュースについては、更新情報の取得に便利なRSSの配信を行っている。ニュース欄が各機関のサービスを広報する場所として認知され、今後、アジア関係機関の最新情報が集積されていけばよいと考えている。

どこまで実際に実行できるか不明であるが、以下の4点が今後の課題である。

① 収録対象機関の拡大

国内でアジア関係資料やアジア言語資料を所蔵する機関を網羅的に収録したい。

② 記載事項の統一

各機関に送付した調査票を元に作成しているために、どうしても記述に精粗の差や統計の採取時期、基準のばらつきが生じてしまった。今後は現在のダイレクトリーを元に、各機関と協議を進めて記述の標準化を進めていく必要がある。

③ 検索機能の強化

地域、所蔵言語資料など複数の条件を掛け合わせて機関を検索する複合検索機能の導入など。

④ 各種情報の集約

ダイレクトリー作成で各機関の情報を収集した成果を集約して、国内のアジア関係資料の状況を理解する一助としたい。アジア関係コレクションの一覧、アジア関係データベースの一覧、アジア関係資料の総合統計などをが考えられる。

(8)インターネット情報資源(国・地域別リンク集)

アジアの各国・各地域のカテゴリー型リンク集である。国、地域別に作成された62ページのリンク集と「国内類縁機関」、「他機関オンライン蔵書目録(OPAC)リンク集」、「中国語圏主題別データベース」、見出しのページあわせて計66ページで構成されており、現在、6,000弱のリンクを掲載している。一部を除き、アジアの各国・各地域別に1ページをあてて構成しており、さらにその中でカテゴリー別に配列したリンクを、ページ内リンクという形で結んでいる。中国、韓国、インドのように多い地域では400を超えるリンクを掲載している。リンクしているサイトは政府機関、研究機関、図書館、マスコミ、書店、団体、ポータルサイトなど各国各地域の主要サイトである。

このリンク集はアジア情報室ホームページの中でも特に利用の多いコンテンツで、他のサイトを見ると、アジア情報室ホームページのトップページよりもインターネット情報資源の方にリンクを貼っているサイトのほうが多いようだ。

リンクの維持管理等はホームページ班を中心に当課の職員全員で行っている。新たにリンクを掲載する際は、実際に担当職員がそのサイトを見て、リンクを掲載する必要があるかどうかを判断して掲載している。ページ数やリンク数も膨大になるため、すべてのサイトのリンク切れ等を確認するだけでも大変な作業になるが、少なくとも一年に一回は、すべてページについて確認を行い、新しく見つかったサイトについてリンクを掲載するか否かについて検討を行っている。また、通常の確認作業以外でも、リンク切れが見つかった場合や有用なサイトが見つかった場合は、早急に対応している。

検索エンジンは無尽蔵ともいえるサイトを調べるきわめて有力なツールであるが、「こういうテーマでああいった内容のものがほしい」という漠然としたところから情報を求める場合には、キーワードの選択に一定の経験とコツが要求される。カテゴリー型のリンク集では、その分類が利用者の思考経路に沿ったものであれば、漠然としたところからでも、利用者は直感的に目的のサイトを見つけることができる。

人間が利用するものである以上、カテゴリーは人間の思考経路に沿って配列される必要があると考える。しかし、当然様々な人々の利用を想定しているので、あまり一方的かつ恣意的な配列も望ましくなく、配列には全体として統一された基準が必要であろう。インターネット情報資源はある程度その点に留意しながらリンクの配列を行っているつもりだが、完全に統一された基準を作成するには至っていない。今後の課題となるだろう。

上の分類の問題に加え、ページ構成についても以下のような検討すべき課題がある。

まず、中国や韓国など国や地域によってページが長くなりすぎてしまっている。1ページが長くなれば当然、ファイルの容量も重くなり、1ページを開くまでの時間がかかってしまう。また、必要なリンクにたどるまでのルートが1つしか用意できていないという問題もある。現在はページ構成上、「国・地域⇒カテゴリー」の順にリンクをたどることを利用者にやむなく強制している。しかし、利用者がより直感的にサイトを見つけられるようにするためには別のルートを用意して同じリンクをたどるにしても複数の選択肢を用意したほうがよい。たとえば、「ニュースサイト⇒中国」や「サーチエンジン⇒ベトナム」のようにカテゴリーから国・地域へと範囲を絞っていくルートが考えられる。

質の維持が大前提であるが、今後も拡充されていくことを考えると分類やページの構成を一から考えなければならない時期にきている。

5. 今後の課題

国立国会図書館で所蔵するアジア言語資料は、現在、東京本館と関西館アジア情報室に分散して配置されている。しかし、アジア情報室ホームページでは所蔵資料の概要などについてアジア情報室のものだけしか紹介しておらず、東京本館を含めた国立国会図書館のアジア言語資料について知りたい、利用したいという利用者の要求に応えていない。また、説明文や利用案内なども、統計や簡単な概要などを掲載するにとどまっており、アジア情報室がどのような資料を持っているのかという利用者の関心に必ずしも応えていないと思われる。どの資料が東京にあり、関西にあるか、そして、どのような資料を収集しているのかなど、国会図書館のアジア資料を利用しようと考えている利用者に対して包括的でさらに具体的な情報をホームページで発信していく必要があるのではないかと考えている。

2004年1月のリニューアル後、インターネット情報資源もふくめ、さまざまなコンテンツを追加してきた。しかし、空いているスペースに追加するような形でコンテンツを追加してきたために、コンテンツが増加していくにつれ、下層に埋もれてしまうコンテンツや同じ種類の情報が各ページに分散してしまうなど、利用者にとって何処にどの情報があるか非常に分かりづらい状況になりつつある。利用者の目から見て分かりやすいように動線を整理し、必要な情報にスムーズにたどり着けるようにページを再構成する必要が生じている。

6. おわりに

以上、アジア情報室ホームページのこれまでの経緯と今後の展望について紹介してきた。今後、検討すべき課題も多い。検討する上で基本的だが大事なことは、利用者が求める情報をどうすればスムーズに提供できるかという点を意識してホームページづくりをすることである。そのためには、容易なことではないが利用者が今何を求めているかといった情報を独り善がりにならないように集めるとともに、これまで図書館員が培ってきた経験をもとに情報検索の筋道を自信をもって示すことだと考える。

求める情報がインターネットで入手できるものならば、インターネット情報資源に誘導し、入手できないものならばアジア情報機関ダイレクトリーや当館の利用案内によって、アジア情報室を含めた国内のアジア関係機関を利用するという選択肢を利用者に用意する。

アジア情報室に来館して利用する人にだけではなく、アジアに関する情報を求める全ての利用者にとって使いやすいホームページを目指していきたいと考えている。

楽観的だが、当課のホームページの利用頻度をあげることは、国立国会図書館関西館アジア情報室の認知度を高め、国立国会図書館に対する理解を深めることにもつながると考えたい。今後も利用者にとってわかりやすいホームページつくりを目指していきたい。

  • 国立国会図書館
  • 国立国会図書館オンライン
  • 国立国会図書館サーチ
  • 国立国会図書館デジタルコレクション
  • ひなぎく
  • レファレンス協同データベース
  • 本の万華鏡
  • 参考書誌研究