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第8回CO-EXIST-SEA(東南アジア科学技術情報流通プログラム)ワークショップ参加報告 : アジア情報室通報第5巻第1号

アジア情報室通報 第5巻第1号(2007年3月)
東川梓

1.はじめに

今回のワークショップは2006年12月6-7日の2日間ベトナムのハノイで開催され、全体テーマは「科学技術情報提供サービス、活動及び戦略(STI services, activities, and strategies at CO-EXIST-SEA countries)」であった。ここでは、東南アジアの参加国の報告内容の概要を紹介したい。なお当館からも、日本の科学技術情報整備における当館の役割について、提供コンテンツを中心にした報告を行なった。

2.第8回CO-EXIST-SEA Workshopの参加国の現況

①インドネシア

インドネシアからは2000年から行っている国家施策である「Warintek(科学技術情報キオスク)」や「IGOS(Indonesia, Go Open Source!)」などの活動が紹介された。同国は違法ソフトウェアの流通量が世界第4位になり、大問題になっているが、科学技術情報コンテンツの開発のための費用は限られており、違法ソフトを使用せずに開発するためにはオープンソースを利用せざるを得ない。導入するにあたって国内で統一したオープンソースの基準を設ける必要があり、具体的な対策が急がれる。同国のIGOS のHPでは既にオープンソースを提供するサービスを行っており、一般に公開している。またICT関連の教育にも力を入れており、高校からJAVAやLinuxを授業で取り入れていると報告された。

②マレーシア

マレーシアからはMOSTI portal、MAESTIC portal、KRSTE.my(Knowledge Resource for Science and Technology Excellence, Malaysia)などの科学技術情報関連のポータルサイトを中心に、同国の科学技術政策についての説明があった。各ポータルではインターネットを通して国内の科学技術情報へのシングルポイントアクセスとなることを目的としている。特にKRSTE.myではメンバー登録をすれば、システム上で多数のデータベースや研究情報をコミュニティ間で共有し、リポジトリーに自らの研究情報を保存できる。このような科学技術情報振興活動の成果を確認するため、2年ごとに世論調査を行い、新たな科学技術情報整備計画を策定する材料として利用していると報告された。

③フィリピン

フィリピンからは科学技術情報研究所(STII)での科学技術情報の普及に関する活動が紹介された。この研究所はScience and Technology Information Network of the Philippines(ScINET-PHIL)という19の図書館が参加しているコンソーシアムの事務局になっている。

ScINET-PHILを通してDOST Union Catalogue(総合目録)の公開が行われ、Philippine eLib Project(電子図書館プロジェクト)や科学技術資料の電子化も実施されている。他にもICTの研修・指導・助言を行い、TechnoVideo(学生の情報通信技術トレーニング用ビデオ)が80タイトル以上作成されている。また科学技術情報の普及のため、農業や栄養など生活に密着した情報を提供するサービスも行っていると報告された。

④タイ

タイからは各機関が行っている科学技術情報活動が紹介された。タイでは農業分野への偏りが大きく、全研究者数の3分の1を占め、研究事業数も4万件と国内の全事業の半分近くになる。その一方で2004年以降の科学技術基本計画ではICT、バイオテクノロジー、マテリアルテクノロジー、ナノテクノロジーの4分野に今後は力を注いでいく方針を決定した。タイ国立研究評議会(NRCT)を始め、科学技術省・教育省・工業省・農業協同組合省傘下の研究所や大学で、それぞれ科学技術情報普及のための事業が実施され、最近は科学技術省傘下の科学供給部(DSS)のように国全体の科学技術全般の振興を行う権限を持つようになった機関もあると報告された。

⑤ベトナム

ベトナムからは同国における科学技術情報の現状と将来性について報告された。ドイモイ政策が開始されてから20年以上の月日がたち、年間のGDP成長率も8.5%まで上昇し、WTOにも加盟した。ベトナムでは1970年代から国主導による科学技術情報システムの開発を始め、現在では国内の500以上の研究機関のネットワークを形成している。国が収集した科学技術文献は6,000タイトルの雑誌、2,500万件の特許、20万件の規格、13,000タイトルのテクニカルリポートと多岐に亘る。研究機関では300タイトルもの逐次刊行物を発行、5,000人以上のスタッフが300以上のデータベースを作成しており、科学技術情報の発信に積極的に動いている。だが、各データベースは数千件のレコードしかないものが多く、より規模の大きいシステムを形成しようと試みていると報告された。

3.おわりに

ワークショップに参加して、東南アジア内での科学技術情報整備状況に大きな隔たりがあることに驚いた。明確に目標を掲げ発展し続けているマレーシア・フィリピンと将来像を模索中のインドネシア・タイ・ベトナムの差は著しく、域内の全体の発展のためには日本と各国の協力が必要不可欠であると感じた。

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