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インドの出版事情と図書館―出張報告: アジア情報室通報 第8巻第2号

アジア情報室通報 第8巻第2号(2010年6月)
西願博之(国立国会図書館関西館アジア情報課)

1. はじめに

2010年2月上旬から中旬にかけて、インドのニューデリーとコルカタに滞在し、出版関係機関、図書館等を訪れる機会を得た。本稿では、これまで紹介が少なかった、インドの出版事情、図書館サービスについて概説する1

2. 出版事情

インドは、28州、7連邦直轄領2からなる連邦制国家であり、330万km2の国土に11億人以上の人口を擁する。国民は、民族、宗教、使用言語の点で多様であり、特に言語に関しては、イギリスの支配を受けた経緯から、政治、科学技術、マスコミ等の分野で英語が多く用いられるほか、連邦公用語のヒンディー語、タミル語等の地域語も使われている。このような多言語状況を反映して、出版物の使用言語も多岐に渡っている。公式の出版統計は存在しないが、インド出版者連盟(Federation of Indian Publishers: FIP)の調査によると、国内で年間80,000タイトル余り(2004年)の図書が刊行されており、言語別では、ヒンディー語、英語のものが最も多くなっている(表1)。世界的に見てインドは、年間刊行タイトル数で第7位、このうち英語図書に限れば、アメリカ、イギリスに次いで第3位を占める出版大国である。

国内の出版者数は16,000といわれ、英語出版物を扱う者は首都ニューデリーに集まっている。さらに、タミル語出版の中心地チェンナイ、ベンガリー語出版におけるコルカタ等、各地に代表的出版地が存在する。1970年代以降、外国出版社とインドの企業・企業家との提携も進み、著名な例として、1985年にはPenguin Books Indiaが設立された。1999年の外国為替管理法3制定により、出版業においても外資規制が緩和されると、Hachette、Random House等の外国出版社も進出してきた。このことに加えて、国民の識字率の上昇、可処分所得を持つ中産階級の増加、大学教科書の買い手である学生数の急増等を背景に、インドの出版産業は急速な成長を続けている。

表1 言語別の図書刊行タイトル数(2004年)
表1 言語別の図書刊行タイトル数(2004年)

出典:D.N.Malhotra ed., 60 years of book publishing in India, 1947-2007. New Delhi: The Federation of Indian Publishers, 2006, p.12.を基に筆者作成。言語名の表記は、辛島昇『南アジアの文化を学ぶ』放送大学教育振興会, 2000, p.24. に拠る。

2.1 19th New Delhi World Book Fair4(第19回ニューデリー国際ブックフェア)【ニューデリー】

アジア・アフリカ地域で最大のブックフェア(写真1)であり、後述のナショナル・ブック・トラストによって、1972年以来、隔年で開催されてきた。今回は、南アジア諸国、中東諸国、ドイツ、日本等からの参加者を含む、国内外1,200の出版社、取次業者等がブースを構えた。42,000m2の広さをもつ会場では、英語出版物、インド諸言語の出版物、児童書といった区分ごとに建物が割り当てられ、いずれも目当ての出版物を探し求めるインド人の熱気で溢れていた(写真2)。その中でも、諸言語出版物を扱う建物では、ウルドゥー語の宗教書、サンスクリット語の古典文学をはじめ、ブース毎に特色ある書籍が並んでいた。また、児童書を求める家族連れも多く、会場では、読み聞かせ、物語創作等のイベントが行われていた。

写真1 ニューデリー国際ブックフェア会場入口

写真1 ニューデリー国際ブックフェア会場入口

写真2 Penguin Books Indiaのブース

写真2 Penguin Books Indiaのブース

2.2 National Book Trust, India(NBT)5(ナショナル・ブック・トラスト)【ニューデリー】

1957年設立。出版振興を所管している人的資源開発省傘下の独立機関であり、政府から予算交付を受けつつも、意思決定上の自律性を備えている。その設立目的は、出版活動の振興と読書習慣の普及にあり、自ら出版者として、自然科学の入門書から児童雑誌まで、幅広い出版物を計28言語で刊行している。これまでの刊行図書は14,000タイトルにも上る。また、国内の各種ブックフェアを主催するとともに、海外のブックフェアにも参加して、インドの出版物の輸出促進に努めてきた。このほか、毎年11月に行われる「全国読書週間」のための取り組み、児童文学関係機関との連絡・調整等に当たる「全国児童文学センター」の運営も行ってきた。

2.3 Publications Division(PD), Ministry of Information & Broadcasting6(情報・放送省出版物部門)【ニューデリー】

政府系出版者7の中で最も古く、インド独立前の1941年に設立された。政府の一部門として、国家的に重要なテーマ、インドの文化的遺産に関する出版物を国内主要言語で刊行しており、これまでの刊行図書は8,000タイトルを数える。この中には、歴代大統領・首相の演説集、地域振興に関する雑誌、ヒンディー語の児童雑誌等が含まれ、特にウェブサイトでも公開されている India: A reference Annual 8は、最新の政治・経済・社会事情を知る上で有用な情報源である。

同じく政府系出版者であるナショナル・ブック・トラスト(NBT)と比べた場合、独立機関であるNBTが小説、自伝も刊行するのに対し、PDはこれら分野を扱っていない。もっとも、NBT、PDのいずれも児童雑誌を発行しているように、事業展開過程で生じた共通点も見られる。

2.4 The Federation of Publishers'and Booksellers'Associations in India(FPBAI)(インド出版者・書籍販売業者組合連盟)【ニューデリー】

1955年設立。国内4,000の出版社、取次業者等が加盟しており、一部州・都市の出版者・書籍販売業者組合連盟とも提携関係にある。出版業を取り巻く課題検討のため、年次総会、専門委員会を開くとともに、政府、出版関係機関との会合を通じて9、加盟会員の利益を追求してきた。近年では、書籍制作コストの6~7割を占める紙価格の高騰が問題となっており、書籍の価格抑制を図るため、FPBAIは政府に対し、輸入紙の関税撤廃を求めてきた。しかし、国内の製紙業者が課税を支持する中、この要求は未だ実現されていない。また、違法複製物による経済損失の広がりを受けて、FPBAIは著作権に関する専門委員会を新設するとともに、著作権行政を所管する人的資源開発省の支援も得て、違法行為防止のためのセミナーを大都市部で行ってきた。

2.5 Library of Congress Office, New Delhi(LOC-Delhi)10(米国議会図書館ニューデリー事務所)【ニューデリー】

1962年設立。全世界に6つある米国議会図書館(LOC)海外事務所のうち最大規模を誇り、インド、バングラデシュ、ブータン、モルディブ、ネパール、スリランカの計6カ国を所管している。収集、逐次刊行物、整理、マイクロ化、マネジメントサービス、ITの各部門からなり、LOCの収集方針に則って、米国連邦議会の審議、及びLOCの蔵書構築に資する資料を収集している。これと並んで、北米の大学図書館等が参加する「南アジア共同収集プログラム(SACAP)」11の運営にも当たってきた。

出版流通網が未整備のインドにあって、LOC-Delhiは全国28のベンダーと契約を結び、資料見本の送付を受けている。こうして、国内各地の市販出版物が入手可能となっている。LOC-Delhiに届いた見本は、一定基準に従って職員が選書した後、初めて受け入れられている。また、NGOが発行した人権分野のパンフレットをはじめ、商業ルートに乗らない出版物についても、LOC-Delhiの職員が自ら収集している。続いて整理部門では、ALA-LC翻字表12に拠りながら、インド諸言語の各種文字をローマ字アルファベットに変換の上、目録データを作成している。以上の過程を経て、LOC-DelhiからアメリカのLOC本部へ送られたインドの出版物は、図書14,000点、逐次刊行物45,500点ほか、合計60,000点に上る(2009年会計年度)。

一方、SACAPの参加機関は、出版国別に入手希望分野13、選書水準、使用言語を指定の上、LOC-Delhiから送付を受けた資料を購入している。インドの出版物の送付総数は、図書58,000点、逐次刊行物60,000点ほか、合計133,000点に及ぶ(同上)。

3. 図書館事情

インドでは、「図書及び新聞の納本(公共図書館)に関する1954年法」(D.B. Act)14に基づく法定納本制度が行われており、国内の印刷出版物に関して、出版者は、インド国立図書館及びチェンナイ、ムンバイ、デリーの各公共図書館に対し、1部ずつ納本することと定められている。しかし、実際にはNLIへの納本率は30~40%といわれ、その要因として、納本制度自体の周知不足のほか、D.B. Actが定める出版者側の送料負担、納本義務違反時の罰金の少なさ等が指摘されてきた。現行制度をめぐっては、このほか、電子出版物を納本対象に含めるべきとの意見15もある。

公共図書館は、憲法上、州の所管事項に含まれ、州立中央図書館を頂点とするヒエラルキーの下、全国に52,000館(2003年)16が存在する。これまでに18州17で図書館法が制定され、行政権限の所在、予算の財源等が確立しているものの、州の施策に占める図書館の位置付けは、総じて低くなっている。こうした中、連邦政府は、後述のラージャ・ラームモーハン・ローイ図書館財団を経由して、公共図書館への書籍配布をはじめとする各種支援を行ってきた。

公共図書館をめぐっては、首相の諮問機関である国家知識委員会(National Knowledge Commission: NKC)の図書館ワーキンググループが、2006年8月の報告書18において、公共図書館を連邦・州の共管事項に移行させることにより、大学図書館・学校図書館、専門図書館等と調整を図りながら、図書館セクター全体の発展につなげる必要があると指摘した。これに合わせて、図書館政策に関する国家レベルの検討機関についても設置が提言され、同年12月には、NKCからマンモハン・シン首相に対して同趣旨の勧告19がなされたが、その実現には至っていない。

3.1 National Library of India (NLI)20(インド国立図書館)【コルカタ】

歴史的起源は、1836年設立のカルカッタ公共図書館まで遡り、1903年一般公開の帝国図書館、1948年のインド国立図書館への改称を経て、1953年に一般利用が始まった。現在、文化省の下部機関としての地位にある。

所蔵図書240万冊のうち、法定納本制度による入手分が100万冊を占める一方、外国出版物に関しては、購入又は交換・寄贈によって主に英語出版物を収集している。このほか、カレントの逐次刊行物18,000タイトル、地図88,000点、手稿3,200点、貴重書等も所蔵している(2006年)21。筆者訪問時には、幸運にも、豪華装丁本等86,000点からなるAsutosh Collection22の閲覧機会を得た。

利用資格は、基本的に18歳以上の者に限られており、筆者が新館(写真3)を訪れた際、利用者の多くは、学生と見受けられる若者達であった。閲覧スペースには、600人分の閲覧席、OPAC端末、インターネット端末、参考図書、開架雑誌等が備えられていた。また、国立図書館としては珍しく、カルカッタ公共図書館以来の伝統から、貸出サービスのための登録利用者に対し、図書の貸出を行っている。

写真3 インド国立図書館新館

写真3 インド国立図書館新館

目下、図書館機能の電子化が進められており、目録のデジタル化に関しては、所蔵図書のレコード14万件がMARC21フォーマット23に置き換えられ、OPAC上での公開が始まった24。また、貴重書のデジタル化についても、図書9,000冊余り、320万ページ分の作業が完了している。NLIのウェブサイトには、貴重書専用のOPACが設けられており、今後、一般からのリクエストに基づいて、デジタル画像が順次アップロードされる予定である。

3.2 Central Reference Library(CRL)25(中央参考図書館)【コルカタ】

1955年設立。NLIと同一敷地内に位置する文化省の下部機関であり、国内出版物についての網羅的リストである「インド全国書誌」(Indian National Bibliography: INB)を作成している(写真4)。その編纂過程は、まず、NLIから一旦借り受けた法定納本資料を基に、MARC21フォーマットに従って、所定用紙にタイトル等の書誌事項を記入する。次に、パソコン画面上のキーボードから、インド諸言語の独自文字で書誌情報を入力した上、ローマ字アルファベットへの変換処理を施す。こうして、英語を含む14言語の出版物について、デューイ十進分類法の下、著者名のアルファベット順にタイトルを排列できるようになる。

ただし、INBをめぐっては、そもそもNLIへの納本率が低く、全国書誌が備えるべき網羅性が損なわれている事情がある26。さらに、発行形態が冊子体の月刊版、年間累積版に限られる上、刊行部数も少なく、図書館関係者の間でも十分な認知を得られていない。この点に関してCRLは、ウェブ上でのINB公開を前向きに検討しているところである。

写真4 インド全国書誌の作成風景

写真4 インド全国書誌の作成風景

3.3 National Institute of Science Communication and Information Resources(NISCAIR)27(国立科学コミュニケーション情報資源研究所)、National Science Library(NSL)28(国立科学図書館)【ニューデリー】

国立科学コミュニケーション研究所(NISCOM)と国立科学ドキュメンテーションセンター(INSDOC)の統合に伴い、2002年にNISCAIRが誕生した。元来の起源は1950年代まで遡り、現在、科学技術省科学産業研究局(DSIR)傘下の科学産業研究評議会(CSIR)が統括している37研究機関の一角を占める。

活動内容は幅広く、まず、科学研究者向けの情報提供活動として、抄録誌 Indian Science Abstract を含む19の専門誌を刊行しており、その大半はウェブ上29でも公開されている。さらに、学生を主対象とする一般向け科学雑誌の発行、後述する国立科学図書館の蔵書を用いた複写物提供サービス、国内外の科学技術雑誌についての総合目録30の作成・提供にも当たっている。このほか、ユニークな取り組みの一つに、科学技術文献の翻訳サービスがあり、過去、日本で出された原子力分野の報告書が英訳された例もある。

国立科学図書館(NSL)は、INSDOCの一部門として1964年に設立され、現在、NISCAIRによって運営されている。一般公開もされており、国内の科学技術雑誌をほぼ網羅的に所蔵するほか(写真5)、電子ジャーナルの外国雑誌も提供している。職員によるレファレンスサービスも、利用者の高い評価を得ている31。また、インドにおけるISSNセンターとして、ISSNの登録・維持にも当たっている32。なお、同じフロアには、南アジア地域協力連合(SAARC)33域内における科学技術情報の交換を目的として、SAARCドキュメンテーション・センター34が設置されている。

写真5 国立科学図書館

写真5 国立科学図書館

3.4 Raja Rammohun Roy Library Foundation(RRRLF)35(ラージャ・ラームモーハン・ローイ図書館財団)【コルカタ】

社会運動家ラージャ・ラームモーハン・ローイ(1772-1833)の生誕200年に当たる1972年、文化省傘下の独立機関として設立された。州・連邦直轄領との協力関係を基礎に、公共図書館サービスの普及に取り組んでおり、とりわけ農村部での図書館整備が重視されてきた。しかし、近年の調査結果においても、村レベルでの公共図書館の普及率は、依然として1割弱にとどまっている36

予算の多くは、連邦政府からの補助金で賄われており、使途のうち、公共図書館への書籍配布に係る費用が大きな割合を占める。この取り組みでは、州・連邦直轄領も1~5割の財源を負担しており、購入タイトル及びその配布対象館については、各地方政府の下に置かれた図書館計画委員会が決定している。また、同様の財源負担方式により、図書館の本棚、閲覧用机等も現物で支給されている。他方、RRRLFの全額負担により、図書館サービスを実施するNGO、公共図書館の児童書部門等に補助金が交付されている。以上のほか、啓蒙的活動として、優れた公共図書館・図書館員に対する表彰制度、公共図書館への認知向上を目的とした講演会等も行っている。

3.5 Delhi Public Library(DPL)37(デリー公共図書館)【ニューデリー】

1951年設立。独立後インドの識字率が18.3%(1951年)という水準にある中、読み書きを習得したばかりの人々に基礎教育を普及させる取り組みの一環で、UNESCOとインド政府による共同のパイロット・プロジェクトとして建設された。現在は、文化省傘下の独立機関としての地位にある。

1,500km2の面積に1,380万人(2001年)が居住するデリー連邦直轄領にあって、DPLの施設は、中央館、地域館、3つの分館、27の分館支部等に分かれている。主要施設間では機能分担がなされており、例えば、中央館の業務に、映画上映会等の社会教育活動が含まれる一方、地域館には資料収集部門が置かれている。これらの施設に加え、大型バスによる移動図書館サービスを通じて、周縁部の住民の情報ニーズにも応えている。

蔵書は、図書180万冊をはじめ、逐次刊行物、音楽レコード・カセット、CD・DVD等からなる。収集方法として、法定納本制度による受け入れのほか、資料収集方針を基に、選書助言委員会の判断を経て、英語、ヒンディー語、ウルドゥー語、パンジャービー語の図書を購入するなどしている。

利用資格を持つのは、デリー連邦直轄地の居住者、労働者に限られるが、登録利用者数は6万人弱と必ずしも多くはない。近年の取り組みとして、OPACの一般公開、CD・DVDの貸出サービス、主要3館におけるインターネット端末の導入が始まったところである。また、主要館の児童書コーナーも刷新され、筆者訪問時には、色鮮やかな室内で、子ども達がコンピュータゲームに興じていた。

3.6 The Japan Foundation, New Delhi38(独立行政法人国際交流基金ニューデリー日本文化センター)【ニューデリー】

日本関係資料をめぐる事情についても調べるため、標記センターの附属図書館39を訪れた。

ニューデリー日本文化センターは、独立行政法人国際交流基金の海外拠点の一つであり、1994年に開設された国際交流基金ニューデリー事務所を起源とする。その後、2005年の「日印グローバル・パートナーシップ強化のための8項目の取組」を受けて、翌2006年に上記センターが開設された。筆者訪問時には、日印の研究機関による共催イベントとして、日本文学に関するセミナーが開かれており、日本人研究者の発表を熱心に聴講するインド人の姿から、日本文化への関心の高さをうかがうことができた。

附属図書館が所蔵する日本関係資料は、日本語資料6,300冊、外国語資料3,500冊、CD・DVD・ビデオ等からなり、主にインド人の日本語学習者が利用している。彼らの学習動機には、日本語能力試験の3級40に相当する、基本的な日本語能力を身に付ければ、日系企業への就職が有利になるとの意識があるといわれる。図書館資料の収集は、利用者からのリクエストに基づいており、日本の国際交流基金本部から送付を受ける、オンライン書店で購入する、在印日本人の帰国時に寄贈を受ける等の方法が採られている。

4. おわりに

今回の出張では、関係者へのインタビューを通じて、インドの出版・図書館界をめぐる歴史、最新動向を踏まえた、明快な説明を受けることができた。その際、こちらの想定を超えて、日本文化についての質問を受けることもあり、有意義な国際文化交流の機会を持つことができた。訪問先で丁寧な対応を頂いた関係各位には、この場を借りて感謝申し上げる。

国立国会図書館関西館アジア情報室では、インドの英語出版物にとどまらず、ヒンディー語図書900冊、ウルドゥー語図書100冊等、諸言語の資料も所蔵している。今回の出張成果も活用して、当室では引き続き、利用者ニーズに沿った蔵書構築を進める予定である。合わせて、インドの図書館事情に関する情報提供、調べ方案内41の充実にも鋭意取り組むつもりである。


1. インドの出版史、図書館史について、齋藤まや「平成21年度アジア情報研修『現代インド情報の調べ方』概要報告」『アジア情報室通報』 7(4), 2009.12, pp.12-13.(https://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/bulletin7-4-3.php)を参照。

2. 連邦直轄領は、連邦政府の直接支配下にあり、大統領が任命した行政官又は連邦直轄領知事を通じて統治されている。このうち、デリー及びポンディシェリーでは、一定分野について立法権限を備えた公選議会も置かれている。自治体国際化協会編『インドの地方自治: 日印自治体間交流のための基礎知識』自治体国際化協会, 2007, pp.17,31.(http://www.clair.or.jp/j/forum/series/pdf/j27_new.pdf

3. "The Foreign Exchange Management Act, 1999(Act No. 42 of 1999)"

4. http://www.nbtindia.org.in/world_book_fair.aspx

5. http://www.nbtindia.org.in/

6. http://www.publicationsdivision.nic.in/

7. 主な政府系出版者として、ナショナル・ブック・トラスト(NBT)のほか、文化省傘下の独立機関として文学作品を刊行する「国立文学アカデミー」(Sahitya Akademi)、人的資源開発省傘下の独立機関として学校用教科書を発行する「全国教育・訓練評議会」(National Council of Education Research and Training: NCERT)が挙げられる。

8. http://www.publicationsdivision.nic.in/others/India_2010.pdf

9. 人的資源開発省は2008年、出版振興に関する意見交換の場として、国家出版振興協議会(National Book Promotion Council: NBPC)を設置した。2009年9月の第一回会議に際し、FPBAIは、事前送付のあった議題について書面で見解を提出した。その後、「出版振興に関する国家政策」(National Book Promotion Policy)の草案作成のため、NBPC内に12名のメンバーからなるタスクフォースも設置されたが、この中にFPBAIは含まれていない。

10. http://www.loc.gov/acq/ovop/delhi/
合わせて、H.W.リー「米国議会図書館におけるアジア関係資料の構築」『アジアへの知的探求と図書館サービスの新展開:シンポジウム記録集』国立国会図書館関西館編, 2004, pp.62-64. (http://www.ndl.go.jp/jp/publication/proceedings/asia2003/asia_sympo_j.pdf)も参照。

11. Library of Congress Office, New Delhi, "General Information About the Cooperative Acquisitions Programs"(http://www.loc.gov/acq/ovop/delhi/ginf_d.html

12. アメリカ図書館協会(American Library Association: ALA)と米国議会図書館(Library of Congress: LC)が定めた、非ローマ字系言語をローマ字に置き換えるための対応表(http://www.loc.gov/catdir/cpso/roman.html)。

13. ただし、インドの出版物のうち、アッサミー語、カシュミーリー語等、比較的マイナーな言語のものについては、希望分野を指定できない。

14. "The Delivery of Books and Newspapers(public Libraries)Act, 1954"(http://www.dpl.gov.in/dbact.html)なお、類似の連邦法として、イギリス支配下での報道統制を目的に定められた「出版物印刷機及び図書登録に関する1867年法」(Press and Registration of Books Act, 1867: P.R.B. Act)(https://rni.nic.in/prbact.asp)がある。この法律では、出版物の印刷者から各州政府の定める機関宛てに、図書1~3部、逐次刊行物2部を納めることと定めている。その実施状況は州毎に異なるが、一般に不十分な水準にある。A.A.N.Raju, Legal Deposit and Bibliographical Control in India. New Delhi: Ess Ess Publications, 2009, pp.xvi, 69-97.

15. A.A.N.Raju, ibid., p.134.

16. 連邦議会下院P.T. Thomas議員の質問に対する政府回答(2010年3月10日)の附表(http://164.100.47.132/Annexture/lsq15/4/as193.htm)。このデータは、ラージャ・ラームモーハン・ローイ図書館財団の委託に基づき、A.C.Nielson ORG MARG pvt. Ltd.社が行った調査結果に拠る。

17. 連邦議会下院Hansraj Gangaram Ahir議員の質問に対する政府回答(2009年12月9日)(http://164.100.47.132/LssNew/psearch/QResult15.aspx?qref=77825)。各州における図書館法の制定年は、以下のとおり。タミル・ナードゥ(1948)、アーンドラ・プラデーシュ(1960)、カルナータカ(1965)、マハーラーシュトラ(1967)、西ベンガル(1979)、マニプル(1988)、ケーララ(1989)、ハリヤナ(1989)、ミゾラム(1993)、ゴア(1993)、グジャラート(2000)、オリッサ(2001)、ウッタラカンド(2005)、ラジャスターン(2006)、ウッタル・プラデーシュ(2006)、チャッティスガル(2007)、ビハール(2008)、アルナーチャル・プラデーシュ(2009)。州名表記は、自治体国際化協会編 前掲注2 に拠る。

18. Working Group on Libraries, National Knowledge Commission, "Report of the Working Group on Libraries", 2006.8.28, p.3. (http://www.knowledgecommission.gov.in/downloads/documents/wg_lib.pdf

19. National Knowledge Commission, "Recommendations on Libraries", 2006.12.7.(http://www.knowledgecommission.gov.in/downloads/recommendations/Libraries
LetterPM.pdf

20. http://www.nationallibrary.gov.in/

21. National Library,India,"Information Brochure", 2007, p.49.(http://www.nationallibrary.gov.in/nat_lib_stat/pdfs/info_book_rti_nl2007.pdf

22. カルカッタ高等裁判所首席裁判官、カルカッタ大学副総長等を歴任したAsutosh Mukherjee(1864-1924)卿によるコレクション。このうち最も古い資料は、1553年に刊行されたラテン語図書である。National Library, India, "Asutosh Collection Division"(http://www.nationallibrary.gov.in/nat_lib_stat/asutosh.html

23. 米国議会図書館が維持している、書誌情報交換用の標準フォーマット。

24. 西願博之「インド国立図書館、OPACを公開」カレントアウェアネス-E, 171号, E1049, 2010.5.19. (http://current.ndl.go.jp/e1049)

25. http://crlindia.gov.in/

26. Maitrayee Ghosh,"50 years of Indian National Bibliography(1958-2008): A Critical Study" (Paper for 2009 IFLA Conference, Milan, Meeting on Bibliography), 2009, p.11. (http://www.ifla.org/files/hq/papers/ifla75/77-ghosh-en.pdf

27. http://www.niscair.res.in/

28. http://nsl.niscair.res.in/index.jsp

29. NISCAIR, "NISCAIR Online Periodicals Repository"(http://nopr.niscair.res.in/

30. NISCAIR, "National Union Catalogue of Scientific Serials in India(NUCSSI)" (http://124.124.221.23/

31. Devendra Kumar and Rajkumar Singh, "Information resources and services of national science library India, New Delhi: A user study", International Journal of Library and Information Science, 1(2), 2009.7, p.20.(http://www.academicjournals.org/ijlis/PDF/pdf2009/July/Kumar%20and%20Singh.pdf

32. 国立国会図書館「ISSNネットワークについて」(http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/issn.html#network

33. 加盟国は、インド、アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカの8カ国。

34. http://www.sdc.gov.in/

35. http://rrrlf.nic.in/

36. M. Sankara Reddy, "Access to information by the rural communities in Indian villages: the role of Raja Rammohun Roy Library Foundation (RRRLF)"(Paper for 2008 IFLA Conference, Québec, Agricultural Libraries Discussion Group), 2008, p.3.(http://archive.ifla.org/IV/ifla74/papers/141-Reddy-en.pdf

37. http://dpl.gov.in/

38. http://www.jfindia.org.in/index.php

39. http://www.jfindia.org.in/library/index.php

40. 独立行政法人国際交流基金・財団法人日本国際教育支援協会「新しい『日本語能力試験』ガイドブック」2009.7, pp.4,8.(http://www.jlpt.jp/j/about/pdf/guidebook1.pdf

41. 国立国会図書館関西館アジア情報課が実施した平成21年度アジア情報研修「現代インド情報の調べ方」のうち、筆者が担当した「インド関連情報の調べ方(講義)」の配布資料(https://rnavi.ndl.go.jp/asia/tmp/ndl_text.pdf)を参照。合わせて、同課作成「アジア情報の調べ方案内」(https://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/research-guide-asia.php)も参照のこと。

(URLの最終アクセスは全て2010年6月3日)

(さいがん ひろゆき)


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