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<朝鮮語>『原子力損害賠償制度の法経済的分析』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2021年5月公開)

장정욱 지음(張貞旭 著)『원자력 손해배상제도의 법경제적 분석(原子力損害賠償制度の法経済的分析)』(松山大学硏究叢書 ; 第100卷)ソウル : 경향신문(京郷新聞), 2020.1 310 p【A411-K44

【キーワード】

韓国、原子力発電所、損害賠償制度

【著者情報】

張貞旭氏は、日本の松山大学経済学部教授であり、専門は、環境経済学、地方財政論、法経済学である。京都大学で経済学博士を取得[1]。日本環境会議[2]の理事でもある。

【出版の背景・目的】

韓国では、2021月4月20日に原子力損害賠償法が改正され、法の目的が「原子力事業の健全な発展」から「原子力事業の安全かつ健全な発展」(第1条)とされるとともに、1事故あたりの賠償責任限度が、3億SDR[3]から9億SDRに引き上げられた(第3条の2)[4]

本書は韓国の原子力損害賠償制度について、実際に被害が発生した際の実効性を高めるための改善を図るべきであるという立場で記述された研究書である。

【本書のポイント】

本書は、原子力損害賠償制度について、韓国及び日本を含む外国の制度を概観するとともに、その課題を指摘するものとなっている。日本では、2018年12月12日に原子力損害の賠償に関する法律が改正され、損害賠償の円滑な実施のための措置の規定が新たに設けられるなどしている。原子力損害賠償制度の現状と課題を把握するのに有用な資料だといえる。

【目次】

序章 研究の背景と目的
1. 研究対象
2. 研究目的
3. 研究の方法と構成
第1章 巨大原発事故と賠償責任ルール(Rule)の効率性
1. 事故法の新たな目的
2. 法と経済学の相互関係
3. 事故法の目標と賠償責任論ルールの経済的分析
4. 原子力損害賠償制度の責任ルールと限界
5. 結論
第2章 韓国の原子力損害賠償制度の法経済的分析
1. 原子力推進のための制度的装置
2. 韓国の原子力損害賠償制度の構成と性格
3. 現行制度の経済的分析
4 現行の原子力損害賠償制度の問題点
5. 結論
第3章 原子力保険の現況と問題点
1. 原子力損害賠償制度の分析の当為性
2. 原子力保険の確立と特徴
3. 原子力保険の種類-賠償責任保険と原子力財産保険
4. 原子力保険の限界-事故抑止機能の不在と相互扶助の確立
5. 結論
第4章 外国の原子力損害賠償制度
1. 米国のPA法
2. ドイツ
3. スイス
4. 中国
5. 台湾
6. カナダ
第5章 日本の原子力損害賠償制度と福島第一原発事故
1. 福島事故と原陪法の限界
2. 基本原則と改正
3. 日本の原子力事故
4. 福島事故後の原陪法
5. 今後の課題
第6章 原子力損害賠償に関する国際・地域の賠償責任協約
1. 東北アジアの原発事故リスクの増大
2. 国際·地域の賠償責任協約-チェルノブイリ事故以前
3. チェルノブイリ事故以後の賠償責任協約
4. 補充基金協約と韓国の締結-整合性の確保
5. 東北アジアの原子力損害賠償責任協約の創設
第7章 越境汚染の賠償責任に対する国家専属責任の確立
1. 国際私法の限界
2. 国家の法的責任
3. 原子力損害賠償責任協約と責任の主体
4. 国家専属責任の効率性
5.結論
第8章 現行の原子力損害賠償制度の実効性確保
1. 構造的問題
2. 法制度的な改善の方策
3. 原子力損害賠償責任基金の導入-賠償措置額の増額案
4. おわりに
資料「原子力損害賠償法」の比較
索引

【関連する国立国会図書館刊行物収載の文献】

渡邉太郎「東京電力への公的支援の現状と課題」『調査と情報―ISSUE BRIEF―』No.1031(2018. 12. 25)
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11205289_po_IB1031.pdf?contentNo=1
寺倉憲一「東日本大震災後の原子力損害賠償制度をめぐる経緯と課題」『東日本大震災への政策対応と諸課題』(2012.3)
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3487579_po_20110407.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

(アジア情報課 田中 福太郎)



[1] 「原子力と制度の経済的分析」【UT51-99-D187

[2] 学際的研究グループである「公害研究委員会」(1963年7月発足)のメンバーが中心となり、1979年6月に設立。国内外の公害被害や環境問題の実情に関する調査・研究等を行っている。「日本環境会議とは」日本環境会議ウェブサイトhttp://www.einap.org/jec/about

[3] SDR(特別引出権)とは、加盟国の準備資産を補完する手段として、IMF(国際通貨基金)が1969年に創設した国際準備資産。
国際通貨基金「ファクトシート 特別引出権(SDR)」2021.5
https://www.imf.org/ja/About/Factsheets/Sheets/2016/08/01/14/51/Special-Drawing-Right-SDR

[4] 「원자력 손해배상법」국가법령정보센터ウェブサイト
https://www.law.go.kr/법령/원자력손해배상법/(18143,20210420)

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