石炭非常時対策

昭和21年6月7日 閣議決定

収載資料:内閣制度百年史 下 内閣制度百年史編纂委員会 内閣官房 1985.12 p.296 当館請求記号:AZ-332-17

あらゆる産業の基礎である石炭の供給を確保するためには、戦後種々の対策を講じて来たのであるが、最近特に需要面においては、進駐軍用、食糧増産用、輸出用、石炭生産用その他国民生活用など益々増加してゐるにも拘らず、供給面においては、貯炭の激減と共に労働争議の頻発その他の原因によつて出炭も三月を項上として頭打ちの状況になり、このままで行けば食糧輸入の見返りとなる輸出産業、国民生活安定のための一般産業が停止するは勿論、国鉄一般旅客列車の運行は大幅に削減せられ、瓦斯会社、製鉄所の火も方々に消ゆるといふやうな由々しい大事を惹きおこすやうな事態になつてきてゐるので、この破局を切り抜けるためには、所謂生産管理に対する政府の方針決定、経営協議会の設置、労働争議調停方法の確立など労働争議に対する政府のとるべき方針を至急決定すると共に炭鉱労務者の食糧、賃金、炭価、炭鉱金融、貯炭の払出などについて、次のやうな思ひ切つた施策を講じて石炭の増産を図らねばならぬ。
措置事項(省略)