繊維産業生産完遂に関する件

昭和21年8月23日 閣議決定

収載資料:商工政策史 第16巻 通商産業省編 1972 pp.257-258 当館請求記号:509.1-Tu783s

繊維産業はわが国経済再建の中核体であって、その再建を推進することは刻下最大の緊急事であるが、特に連合軍司令部の強い要請に応え輸出製品を中心にして一定の生産目標を完遂する重責を有するのである。このためには関係業者および従業員はその使命の重大なることを深く自覚し、全力をあげて生産に邁進しなければならないことはもとよりであるが、現下の困難なる経済情勢の下においては差当り左記各項目の実施を確保しなければならない。

一 食糧
(一)基本配給を確保するとともに既定の加配分については米麦(小麦粉を含む)による配給を確保すること。
(二)前項の配給を確保するため必要に応じ、輸入食糧の特別放出許可を連合軍に要請すること。
主食以外の副食物の配給確保につき、関係各府県をして優先的取扱いをなさしめること。
(三)略
二 金融
(一)復興資金の調達を円滑迅速ならしめるため予め総括的な概定計画を樹立し、差当りその半額を年内所要額として連合軍司令部および政府の承認を受け、各社は右計画の枠内において簡単な手続により所要資金の融通を受け得るごとくすること。
(二)繊維産業再建のため必要なる資金にして、通常の方法により融資を受け得ざる場合は特別融資の方途を講ずること。
(三)最近の経済情勢に鑑み右の所要資金中相当程度は新円をもって融通を受け得るごとくすること。
三 燃料および電力
(一)石炭の割当および現物確保につき優先的取扱いをなすこと。
(二)電力供給につき渇水期においても必要量を確保するごとく特別の措置を採ること。
四 資材
(一)資材(運転資材および建設資材)の割当および現物確保につき優先的取扱いをなし、各社の所要量は右の割当によって充足し得るごとくすること。
(二)糊料・染料・機械油等国内資材をもって充足すること困難なものについては、これが輪入につき特別の配慮をなすこと。