昭和22年度予算編成に関する手続等に関する件

昭和21年9月17日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第17巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1981 pp.968-969 当館請求記号:DG15-19

昭和二十二年度予算編成方針については別途決定せられる予定であるが、事務進捗上の都合等をも考慮し各省は差当り左記により概算又は概計の編成に着手するものとする。

一、昭和二十二年度予算は新憲法及び之に基き制定又は改正せられる財政法等の趣旨を体して編成すること。
二、昭和二十二年度予算編成に当っては従来よりの既定費又は既定計画等の考へ方は一切排除し総ての経費を新規事項として要求すること。
三、公共事業については急速に生産的効果を発揮し且民生安定上欠くべからざるものに限り実施するものとし、資材労力等の事情をも考慮し一定の順位を附して経費を要求すること。
四、補助費については当該事業の効果、生産性、採算、収支等を再検討し、其の徹底的整理を断行すること。
五、地方行政制度の政正に伴ひ国費、地方費の負担区分等につき所要の調整を行ふこと。
尚北海道拓殖費についても時局に即応し所要の改編を行ふこと。
六、政府職員給与制度の改正等に伴ひ人件費に関する予算単価を改正すると共に予算定員と実員との適合を図ること。
七、近く改訂せらるべき新物価水準に基き事業費、その他物件費の予算単価を合理的に改訂すること。
八、歳入についても新物価水準に即応した見積を行ふと共にその積極的増徴を図ること。
九、追加予算に対する従来の惰性を一擲し、その編成は厳に抑制することとし、以て財政の合理化と計画化に資すること。
十、予算制度の民主化及び合理化の趣旨に即応し予算の形式、積算方法、附属書類等の根本的改正を為す外、特別会計の徹底的整理を行ふこと。
十一、各省は公共事業費その他大蔵省の指定する経費について別に定める様式により物資需要調書、労務需要調書その他の参考書類を提出すること。
十二、各省概算書、概計書又はその参考書類の提出期限は左の通りとし必ず之を厳守すること、遅延したる場合においては大蔵省は各省の意見を徴せずして編成を行ひ得ること。
概算書     十月三十一日
概計書     十月三十一日
物資需要調書  十一月十日
労務需要調書  十一月十日
十三、概算又は概計は遅くも十二月二十日迄に閣議決定を為すことを目途とすること。

編注 本文第十二項の提出期限は、昭和二一年一〇月二四日閣議決定により「昭和二十二年度予算編成方針の決定遅延せる事情に鑑み各十日間を延期すること」となった。