自作農創設特別措置法中未墾地関係部分改正要綱

昭和22年8月11日 閣議決定

収載資料:農地改革資料集成 第3巻 農地改革資料編纂委員会編 農政調査会 1975 pp.271-272 当館請求記号:DM125-17

先般関係各省の了解を得た開拓法案は、その一部に関し連合国総司令部の承認を得るに至らなかつたが、同法案中開拓用土地物件の買収、管理及び処分に関する部分は、最も急を要し、且つ同司令部の要求もあるのでとりあえず自作農創設特別措置法の改正としてこれに関する規定を設けることとする。その要旨は、次の通りである。
一 第三十条の規定による買収又は使用の対象を拡張し、土地改良事業及び干拓事業のため必要な土地等を含めること
(理由)現行法では、右のような土地等(例えば用排水路敷地)の買収はできないため、これらの事業の迅速な施行上支障がある。
二 買収又は使用予定地域を指定して当該地域内の一定の行為を制限する制度を設けること
(理由)買収又は使用のため適地調査その他の手続が開始されると、その地域内の立木伐採、土地転売等が行われ、到底円滑適確な買収又は使用ができない。
三 買収又は使用に関し必要な簿書の無料閲覧又は謄写の制度を設けること。
(理由)この法律による買収等は政府がこれを行うのであるから、かような簿書の閲覧又は謄写はこれを無料とする。
四 国有財産法の改正に伴い、自作農創設特別措置法施行令中に規定する開拓用地の管理、無償貸付等を同法中に規定すること
(理由)国有財産法の改正の結果、雑種財産の管理を大蔵大臣以外の大臣が行うこと、国有財産を無償で貸付すること等は法律において規定するを要することとなつたから、従来施行令中にあつた規定を法律に入れることとする。
五 土地台帳法上の手続についての特例を規定すること
(理由)買収及び売渡を円滑ならしめるため、分筆手続等について、土地所有者に代つて政府がこれらの手続をなし得る等の特例を設ける必要がある。
(備考)
この改正は、八月十一日閣議で決定をみた自作農創設特別措置法中一部を改正する法律案に特別の事情によつて、これを追加訂正しようとするものである。