昭和23年度予算の編成に関する手続等について

昭和22年8月19日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第17巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1981 pp.1025-1026 当館請求記号:DG15-19

昭和二十三年度予算の編成方針については、別途決定せられる予定であるが事務進捗上の都合をも考慮し、各省各庁は差し当り左記により、その所掌に係る歳入歳出及び国庫債務負担行為の見積に関する書類の作製に着手するものとする。

一、昭和二十三年度予算は、財政法第二十七条に基き十二月中に国会に提出する目途の下に編成事務の進行に遺憾なきを期すること。
二、昭和二十三年度予算の見積に当っては、既定費又は既定計画に類する観念を排し、総ての経費について再検討の上新規事項として積算要求すること。
三、予算の編成に当っては、できるだけ年間の推移を見通し、全体計画に基いて行うものとし、もって追加予算を極力抑制し、財政の合理化と計画化とを図ること。
四、歳入については、本年七月改訂を見た物価の水準に基いて見積を行うと共に、其の積極的増収を計ること。
五、歳出については、昭和二十一年度及び二十二年度の支出実績を基礎として、経費の効果、資金使用の効率性等を念査の上、経費要求の合理的調整を図ること。
特に補助費については従来の実績を徴するは固より、新なものについてもその要否、程度等について徹底的検討を行うこと。
六、行政機構は極力簡素化すること。已むを得ない定員の増加についても既存定員の配置転換等により処理すること。
七、最近の給与水準に基き、人件費について予算単価の改正を行うこと。なお実在人員については、現給(凹凸整理の結果により調整せられたものによる)を基礎として積算すること。
八、事業費その他物件費の予算単価についても、本年七月改訂を見た物価の水準に基き合理的に改正すること。
九、各種公団の昭和二十三年度予算についても、右各号に準じ各所管省において取りまとめ大蔵省に提出すること。
十、予算制度の民主化及び合理化の趣旨を徹底させるために予算の形式、積算方法、附属書類等につき、更に一段の改善を行うこと。
十一、各省は公共事業費その他大蔵省の指定する経費について、別に定める様式により物費需要調書、労務需要調書その他の参考書類を拠出すること。
十二、予算、決算及び会計令第八条による書類の提出期限は左のとおりとし、これがため要すれば法令上の措置をとること。
右の期限に遅延した場合には、大蔵省は各省の意見を徴しないで編成を行い得ること。
歳入、歳出及び国庫債務負担行為の見積に関する書類   九月三十日
物資需要調書及び労務需要調書             十月十日
十三、財政法第二十八条に規定する参考書類の作製は、予算の作製と併行してその事務を進行させること。
十四、特別会計予算の編成も本手続によることとし、その事務は一般会計と併行して進行すること。
十五、概算の閣議決定は、遅くも十一月二十日までに、これを行うことを目途とすること。