戦災復興都市計画の再検討に関する基本方針

昭和24年6月24日 閣議決定

収載資料:戦災復興誌 第1巻 建設省編 都市計画協会 1959.3 pp.61-62 当館請求記号:318.2-Ke119s

戦災地復興都市計画の基本方針については、昭和20年12月30日閣議の決定を見たのであるが、現下の国情に鑑み、経済9原則の線に即応してその一部を次の各

項により措置し、都市復興の速かなる完遂を期するものである。

1 計画
復興計画については、交通、防災、保健上必要なる限度に既定計画を改変して、建築物等の計画制限を緩和するものとする。
(1)街路
幅員のはなはだ大なる街路(概ね30メートル以上)は、その実現性並びに緊要度を勘案して適当に変更する。
(2)公園緑地
公園緑地は、児童公園、運動場に重点をおき、既定計画を適当に変更する。
帯状の緑地は、がけ地、荒蕪地等で建築敷地として不適当な地域、河川、水路等の沿岸地で、公衆保健、消防水利上空地を必要とする地域並びに密集市街

地内で特に防火帯を必要とする地域等に選定する。
2 戦災都市における建築制限の緩和
昭和21年8月15日勅令第389号の一部を改め、その適用を土地(国立国会図書館注)区画整理事業区域に限るものとする。
3 事業
復興事業は、次の各号により措置し、事業の速かなる収束をはかるものとする。
(1)土地(国立国会図書館注)区画整理は、罹災区域中交通、消防、防火上特に憂慮せらるる区域に限り施行する。
(2)戦災の比較的軽少な都市又は事業実施の困難な都市については、事業実施の方法を別途に考慮し、復興事業の範囲を圧縮する。特に事業が進捗している

都市に対しては、特別な財源措置を考慮して復興事業の促進に資する。
(3)土地の現況に従い、極力物件移転をさけ、地下埋設物等の既存物件は、これを利用し得るよう設計を改め、工法を工夫する。
(4)復興都市計画上下水道事業については、既存のものの活用に重点をおき、産業、保健、防災上必要最小限度の整備にとどめるよう措置する。
(5)長期計画に属する鉄道、軌道、運河等の計画に対しては、土地区画整理による用地の留保等の措置は考慮しない。
4 土地区画整理施行区域内において換地予定地の指定を了したもの、又は工事施行中のものについては、原則として既定方針により施行するものとする。
5 この方針に基き検討を加えた復興事業は、これを5箇年以内に完了し得るよう予算措置を講ずるものとする。
6 この方針に基く事項を速かに調査審議するため、建設省に戦災復興対策協議会(仮称)を置くものとする。


(国立国会図書館注)収載資料には「土域」とあるが、国立公文書館所蔵の原本では「土地」とある。