木炭統制廃止に関する閣議決定

昭和25年3月14日 閣議決定

収載資料:農林行政史 第8巻 農林省大臣官房総務課編 1972.3 p.460 当館請求記号:611.1-N955n4

木炭の統制は昭和十五年以降実施してきたのであるが、別記の理由により昭和二十五年三月十五日をもって、価格ならびに配給に関するいっさいの統制を廃止するものとする。
 なお木炭は依然として家庭燃料の大宗であり、最近の生産事情は必ずしも良好でないから、統制廃止後においてはその最低需要量を確保するための生産者金融その他の措置を講ずるものとする。
 統制廃止の理由
 (一)家庭用ガス、煉豆炭、家庭用石炭、その他燃料の供給事情がよくなったので、かりに木炭の統制廃止によりその供給が多少減退し、あるいは偏在するとしても総合的家庭燃料の熱源に不足はないものと認める。
 (二)家庭燃料以外の木炭の需要量も石炭、コークス、薪の統制廃止による需給の緩和と液体燃料の供給増加見込により現在以上にその要求度を高めることはないであろう。
 (三)木炭の最盛需要期である一月のC・P・S(消費者価格調査報告)調査による配給、非配給価格は全国平均としてはむしろ非配給価格が配給価格よりも安く、六大都府県においてわずかに非配給価格が配給価格を上回っているに過ぎない。六大都府県におけるこの差額は三月中旬以降においてはほとんど解消するはずであるし、かりに解消しないとしても消費者には木炭以外の燃料を容易に入手し得られるし、またこの木炭を購入するとしても生計費に与える影響は少ない。
 (四)薪炭特別会計による政府買上停止以降におけるいわば自主的配給統制の実態は最近において特に混乱的様相を呈しており、所期の効果をあげていない。
 (五)統制廃止の時期を不需要期に選ぶことは生産者にとって不利であって、二十五年度の生産意欲にも影響があるから、ある程度の有効需要がありしかも消費者にも大した不利をもたらさない時期が統制廃止に適当である。