昭和25年度見返資金公共事業運営計画策定方針

昭和25年6月13日 閣議決定

収載資料:昭和財政史 終戦から講和まで 第18巻 大蔵省財政史室編 東洋経済新報社 1982 p.373 当館請求記号:DG15-19

方針
昭和二五年度における見返資金の公共事業に対する運営については、総合経済施策の観点から国土保全上重要なもの、産業開発、生産増加等経済効果の顕著なもの、その他公共の福祉増進のために特に緊要なものに重点を置き併せて失業対策をも考慮し概ね左の要領によって、これを行うものとする。

要領
一、事業主体は原則として国の直轄事業に限定し、その選定については左によるものとする。
(一)河川、砂防
災害防止並に利水の見地から特に効果的であり且つ一般公共事業費予算のみを以てしては、処理することが困難であるものの中から重点的に選定する。
(二)農業水利
農業経済の基盤確立の見地から特に重要であり本資金の投入によって急速な完成が期待されるものの中から選定する。
(三)道路
経済総合施策の見地から特に効果的な道路の整備、架橋等の事業を選定する。
道路改修については、国際観光施策を考慮し、関門国道隧道については、これが国家的事業であるのに鑑み特に採択する。
(四)航路標識、保安通信施設
海上保安並に経済効果の見地から特に緊急なものを選定する。
(五)結核病院
結核対策の重要性に鑑み、立地条件、利用状況その他を勘案して重点的に選定する。
なお事業費中には施設費を含ましめるものとする。
二、現行法令により分坦金を徴収することに定められている事業に見返資金を使用する場合は、その徴収の時期、方法等につき別途特例を設ける。
三、公共事業費予算との調整を図るため見返資金を使用する事業については、経済安定本部の認証を要するものとし、当該認証を経たものにつき大蔵省は各省各庁に対し支出の委任をなすものとする。
四、事業執行に必要な職員の定数については、本年度においては現在定員の範囲内で配置転換をなし、増員を行わないものとする。