電力再編成に関する件

昭和25年7月7日 閣議了解

収載資料:電気事業再編成史 電気事業再編成史刊行会 1952 pp.810-811 当館請求記号:540.921-D53d

電力再編成に関するマーカット少将メッセージ
電力会社はこれを再編成するために集排指定会社として指定されていたが、通常指定会社が適用せらるべき制限がこの電力会社については緩和されて適用せられていた。
その理由は電力再編成が進んでおり、その法案が既に国会に提出されていたからである。
然るに再編成が進捗しないことになれば電気会社としても制限会社としてのハンディキャップのもとで仕事をせねばならぬのみならず、今後は見返資の融資も受けられず持株会社整理委員会の協力も得られなくなるであろう。
本電気事業再編成の問題は審議の時間が少なかつたと云われるが、審議の時間は充分にあつたからこれは口実にはならない。本職より通産大臣に諒解を求めたいことは電気事業再編成は非常に重要な問題であり、出来る限りの能力をもつてこれを促進させることについて凡ゆる努力を払つて貰いたいということである。

電力再編成関係法案の取扱について
政府としては七月中に是非とも地方税法案を成立せしめる必要があり、これがため全力を傾注しているが、電力再編成関係法案を併せ提出するときは、地方税法案の審議が遅延し地方財政に重大な影響を及ぼすおそれがあるので来るベき臨時国会は地方税法案を中心として審議するに必要な最短期間の会期を予定するので、電力再編成関係法案の提出は次の臨時国会まで延期したい。
なお、次の臨時国会においては、電力再編関係法案を成立せしめるのに充分な会期をあて、政府としてはこの機会に必ず法案を成立せしめる決意である。総司令部側においては、政府の立場を諒とせられ、見返資金の運用についても、電源開発の継続工事が中絶することのないよう特別に同情ある御配慮を願いたい。