審議会等の設立基準等に関する件

昭和26年2月16日 閣議決定

収載資料:行政機構年報 第2巻 行政管理庁管理部 1951 pp.31-32 当館請求記号:317.2-G98g

1 審議会等の設置
(1)審議会、審査会、協議会、顧問、参与その他これに類似するもの(以下「審議会等」と称する。)は、それが附置される行政機関の所掌事務に関し、一般的政策、方針、法律、政令その他の規則の草案その他一般的に適用される事項について、当該行政機関の職員のみからは得られない参考的乃至勧告的な意見を聴取するために設置されるものとする。但し、左に掲げるような場合には、個々の特定事項について審議する審議会等を設置することができる。
(イ)職業的資格の試験検定を行う場合
(ロ)懲戒、職業的資格の制限又は剥奪を行う場合
(ハ)官吏のみで組織され、又は委員が他の営利的職業と兼職できない旨の法律上の制限がある場合
(2)右のほか、商業、工業、運輸業、金融業その他の企業と関係のないものについては、左に掲げるような場合にも、個々の特定事項について審議する審議会等を設置することができる。
(イ)行政処分に対する異議の申立、紛争等を裁定する場合
(ロ)損害額、補償額等を判定する場合
(ハ)特定の行政行為について広く部外の公平な意見を聞く必要がある場合
(3)審議会等を設置する場合は法律によらなければならない。もし、法律によらないで審議会等を設置した場合には、事後なるべく速かに、立法的措置を講じなければならない。
2 審議会等の委員
(1)審議会等の委員は、その審議会等が助言することとなつている分野を公平に代表するように選定されなければならない。
産業界の役職員を任命する場合には、でき得る限り、大中小各企業、地理的位置及び当該産業を構成する企業の諸形態を公平に代表するように、選出しなくてはならない。又同一の会社又は商企業の経営に直接若しくは間接に関与するものが2人以上委員に任命されてはならない。
(2)左に該当する者を審議会等の委員に任命してはならない。
(イ)過去5年以内に刑事上の罪により禁錮以上の刑に処せられた者又は過去1年以内に刑事上の罪により有罪の判決を受けた会社の役員である者
(ロ)公正取引委員会の最終決定により、個人として又は会社の役員として、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律又は事業者団体法の違反に責任ありと認められた者
商業、工業、運輸業、金融業その他の企業に関係ある審議会等(以下「経済関係審議会等」と称する。)であつて今後設置されるものについては、事業者団体の役職員を委員に任命してはならず、又、既存のものであつて事業者団体の役職員が委員となつているものについては、次項によつて算定された当該委員の任期(本閣議決定に基く審議会等改組の措置がとられた日から起算するものとし、更新の場合を含む。)終了後は、新に事業者団体の役職員を委員に任命してはならない。
(3)経済関係審議会等の任期は、6カ月を越えない期間とし、必要によつて、更に1回を限つて、更新され得るものとする。但し、その任命に当り国会の議決を経るもの及び前掲1、(1)(ハ)の審議会等については、別段の定めをすることができる。
(4)審議会等の委員を任命する場合及びその任期を更新する場合には、内閣総理大臣の承認を経なければならない。
(5)各行政機関はその所管に属する審議会等の委員の履歴書を、常時備えて、部外者から要求のあつた場合には、これを閲覧せしめなければならない。
3 審議会等の運営
(1)経済関係審議会等の助言、意見又は勧告は、政府を公的に拘束する効果を有するものではない。
(2)経済関係審議会等(前掲1,(1)(ハ)の場合を除く。)は、個々の特定事項について審議してはならない。
(3)審議会等は、そのなすべき助言、勧告又は意見に関係があり、又はそれらによつて影響を受ける個人又は団体から、場所又は施設の提供を受けてはならない。
(4)審議会等は、その業務の実施を他の個人又は団体に委託したり、又は、政府以外の者から、業務の経費支弁若くは補償として、金銭を受けてはならない。
4 現存審議会等の措置
(1)現存の各種審議会等については、行政簡素化及び経費節減の見地から、別途閣議決定するところによつて大幅にこれを縮減するとともに、本基準に基く所要の改組を行うものとする。
(2)右の廃止又は改組に必要な法律改正等の措置は、各府省において立案し、今期通常国会に提案するものとする。
(3)法令により地方公共団体に置かれた審議会等についても本閣議決定の趣旨により簡素化を行うとともに、地方公共団体自体の設置する審議会等についても中央の措置にならつてこれを再検討するよう勧奨するものとする。
(備考)昭和24年11月4日付閣議決定「審議会等整理方針」はこれを廃止する。