行政の改革に関する件

昭和26年8月28日 閣議決定

収載資料:行政管理庁二十五年史 行政管理庁行政管理二十五年史編集委員会編 行政管理庁 1973 p.710 当館請求記号:AZ-333-8

1 講和条約の締結を機とし、戦時から戦後に引続き複雑厖大化した現行政機構及び行政事務に根本的検討を加え、行政上の煩鎖な諸制約を除去すると共に、併せて国民負担の軽減に資するため、行政の組織及び内容を改革して、講和後の自立民主日本に適わしい新行政体制を樹立することとする。
2 新行政機構は、わが国現在の国力に適合すると共に近代文化国家の運営に必要な最簡素なものとし、その具体案は、今般政令改正諮問のための委員会から提出された「行政制度の改革に関する答申」を参考とし、閣僚小委員会で検討の上、立案し、閣議に提出することとする。
3 行政事務の整理及び官庁職員の縮減については、前記答申を参考とし、関係各省と協議の上立案し、閣僚小委員会で検討の上,閣議に提出することとする。
4 右立案のため、行政簡素化本部を設置するものとする。行政簡素化本部は、橋本国務大臣を本部長とし、内閣官房、行政管理庁、大蔵省主計局、法務府法制意見局、地方自治庁及び労働省の主任官を部員として構成される非公式の連絡機関とする。
5 行政機構の簡素化及び官庁職員の縮減については、講和条約調印後の臨時国会において所要の立法措置を取ることを目途とする。
6 退職手当については、左記の如く措置することとする。
(1)定員法改正法案施行後6ヵ月間定員外の期間を設け、最初の3ヵ月間に退職する者に対しては現行退職手当(国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律附則第5項に基くもの)の8割増の退職手当を、次の3ヵ月間に退職する者に対しては同じく4割増の退職手当を、それぞれ支給すること。
(2)右退職手当に対する課税の軽減については別途措置すること。
7 離職者に対する失業対策については万全を期するものとし、転職を容易ならしめるため、職業補導の拡充その他の臨時応急の措置を講ずることとする。
(備考)
(1)行政事務の整理に伴い、平衡交付金及び補助金により置かれている地方公務員及び各種委員会委員等もこれを大巾に縮減することとし、地方費のみによる地方職員についても、国の措置に倣ってこれを縮減するよう勧奨すること。
(2)国会、裁判所,会計検査院、各種公共企業体その他政府関係機関の職員についても、国の行政機関に倣ってこれを縮減するよう考慮すること。
(3)本件に関連し、病気のため長期欠勤中の者を定員外として適当な給与を支給しうるよう別途考慮すること。