労働関係調整法等の一部を改正する法律案要綱

昭和27年5月7日 閣議決定

収載資料:資料戦後二十年史 3 法律 末川博編 日本評論社 1966 p.458 当館請求記号:210.76-Si569

第一 左に掲げる公共企業体及び現業の国家公務員については、公共企業体労働関係法を改正して、同法を適用することとし、国鉄、専売の職員と同様の取扱とすること。
1 日本電信電話公社
2 郵便事業(郵政省)
3 印刷事業(印刷庁)
4 造幣事業(造幣庁)
5 国有林野の営林事業(林野庁)
6 アルコール専売事業(通産省)
第二 争議行為に関しては、労働関係調整法を改正して、左に掲げる措置を講ずること。
1 公益事業に関する事件又は大規模若しくは特別の性質の事業に関するものであるため公益に著しい障害を及ぼす事件については、労働大臣は、これを放置すれば国民生活に重大な損害を与えると認めるときは、緊急調整の決定をすることを得るものとする。
中央労働委員会は、緊急調整の決定があったときは、当該事件の斡旋、調停、任意仲裁、実情調査及び勧告を行うものとすること。
緊急調整の決定があったときは,関係当事者は、50日間争議行為を禁止されるものとすること。
2 1の外、公益事業に関する争議行為については、現行の30日の冷却期間を15日に短縮すると共に、当事者間の事前の自主的交渉不充分のときは、労働委員会は、調停申請を却下することができるものとすること。
第三 以上の外、労働組合法、労働関係調整法、公共企業体労働関係法及び同法の施行に関する法律につき、細部の事項に関して、労働関係法令審議委員会の答申に基き左の如く一部改正を行うこと。
1 労働組合法関係
(イ) 労働組合の資格審査は、労働争議の調整の場合には行わないものとすること
(ロ) 労働争議の調整中の発言(現行労調法第40条)及び不当労働行為の審査中の発言を理由とする不利益取扱を不当労働行為とすること。
(ハ) 労働協約の両当事者の「署名」は、「記名、押印」をもって代え得るものとすること。
(ニ) 労働協約は、3年を越える有効期間を定めることはできないものとすること。
(ホ) 有効期間のない労働協約は、3ヵ月の告知期間をもって、何れの一方からもこれを解約し得るものとすること。
(ヘ) 労働委員会の委員の数は、労使公益者側7名ないし3名とすること。
(ト) 不当労働行為の申立期間は、行為の時から1カ年とすること。
(チ) 不当労働行為の審査に際しては、証人の出頭を求めることができる旨を明らかにすること。
(リ) 不当労働行為の審査における証人に対して費用弁償すること。
2 労働関係調整法関係
(イ) 労働争議の調整を行わせるために労働委員会に特別調整委員を設けること。
(ロ) 労働委員会の委員と斡旋員候補者の兼職禁止の規定は削除すること。
(ハ) 労働委員会のする労働争議の仲裁は、仲裁委員会を設けてなすものとすること。
3 公共企業体労働関係法関係
(イ) 国鉄調停委員会及び専売調停委員会(中央、地方)は、これを統合して公共企業体等調停委員会(中央、地方)とすること。
(ロ) 現業国家公務員に本法を適用すること及び調停委員会を統合することに伴う調整措置等、技術的改正を行うこと。
(ハ) 公共企業体労働関係法の施行に関する法律の規定について、右に伴う所要の調整を行うこと。
附則において所要の経過措置等を規定すること。