農山漁村建設総合対策要綱

昭和31年4月6日 閣議決定

収載資料:林道事業のあゆみ 日本林道協会 1964 pp.445-448 当館請求記号:AZ-431-102

第一 方針
農山漁民の自主的な総意に基く適地適産を基調とした農山漁村の振興に関する計画の樹立及び事業の実施を総合的に推進することにより、農林漁業経営の安定と農山漁民の生活水準の向上を図ることは、現下の急務であると認められる。これがため、政府は、差し当り昭和三十一年度を初年度とし、概ね五箇年を目途として、次により、新農山漁村建設総合対策を講ずるものとする。

第二 措置
1 新農山漁村の建設は、農林漁業上の条件その他自然的、社会的、経済的諸条件を共通にする農林漁業地域ごとに、農山漁民の経済的発展を目途として樹立される総合的な農山漁村振興計画(以下「振興計画」という。)に基いて実施するものとする。
農林漁業地域は、都県府県知事が、都道府県農山漁村振興対策審議会の意見を聞いて定めるものとする。
振興計画は、当該農林漁業地域内の農山漁民の自主的な総意を尊重して農山漁村振興協議会(以下「協議会」という。)が樹立し、都道府県知事の承認を受けるものとする。
2 協議会は、農林漁業地域ごとに設置するものとし、当該地域の実情に応じ、関係市町村長、農業委員会の代表者、農業協同組合、土地改良区、森林組合、漁業協同組合等の農林漁業団体及び青年婦人組織の代表者並びに学識経験者をもつて組織する。
この場合、振興計画の樹立及び事業の実施につき中堅青年の活発な推進力を期待し、特にその参加、協力を求めるものとする。
3 振興計画は、農林漁業に関する生産施設の整備、農林漁業の経営の改善及び技術の改良、農山漁民の生活の改善並びに農林水産物の生産及び販売の調整等について、これらが相互に有機的関連を保ちつつ総合的効果をあげうるよう樹立するものとする。
4 振興計画に基く事業は、その種類に応じ、原則として市町村、農業協同組合、土地改良区、農業委員会、森林組合、漁業協同組合、部落団体、青年婦人組織等がそれぞれ実施し、協議会は、その調整及び推進に当るものとする。
5 農林大臣及び都道府県知事は、振興計画の樹立及び実施を促進するため、必要な指導及び監督を行うものとする。
都道府県に若干人の農山漁村振興顧問を置き、改良普及員等関係機関とともに、振興計画の樹立及び事業の実施について協力させるものとする。
国は、振興計画の樹立及び実施を促進するため、従来主として市町村段階を対象として交付している補助金の交付のほか、新たに特別助成の措置を講ずるものとする。
特別助成の措置は、補助金の交付及び農林漁業金融公庫資金の方法により、毎年度一定数の農林漁業地域を対象とし同一地域につき原則として二箇年継続して行い、概ね五箇年を目途として、必要度に応じ、これを全農林漁業地域に及ぼすものとする。
6 振興計画の樹立及び実施に関する重要事項を調査審議するため、国及び都道府県に関係行政庁の職員、地方公共団体の長、農林漁業団体等の役職員、青年婦人組織の代表者その他学識経験者をもって組織する農山漁村振興対策審議会を設置するものとする。
7 振興計画の樹立及び実施に当っては、現行の各種農業振興計画その他既存の開発計画及び関連事業並びに新市町村建設計画等との調整を図るものとする。