全国総合開発計画について

昭和37年10月5日 閣議決定

収載資料:内閣制度百年史 下 内閣制度百年史編纂委員会 内閣官房 1985.12 p.366 当館請求記号:AZ-332-17

まえがき
国土総合開発の究極の目標は、資源の開発、利用とその合理的かつ適切な地域配分を通じて、わが国経済の均衡ある安定的発展と民生の向上、福利の増進をはかり、もつて、全地域、全国民がひとしく豊かな生活に安住し、近代的便益を享受しうるような福祉国家を建設することにある。
この目標を達成するための施策はつぎの観点から推進されなければならない。
(1)住宅、上下水道、交通、文教および保健衛生施設等の国民生活に直接関連する公共施設については、たんに経済効果等にとらわれることなく、地域間の格差是正に重点をおいて、その整備拡充をはかること。
(2)道路、港湾、鉄道、用水等産業発展のための公共的基礎施設についても地域間格差是正の見地から整備をはかる必要があるが、他方当面する貿易自由化等の趨勢に対処し、国民経済的視野にたつて適切な産業立地体制を整えることをあわせ考慮すること。
この計画は、上記の観点に即し、一応十ヵ年にわたる基本的方策を明らかにしたものであるが、今後経済情勢の推移に対処して、それに即応し得るよう本計画の内容をさらに充実し、発展せしめるとともに、十ヵ年をこえる長期の構想についても、引き続き検討を進め、とくに地域開発施策の体系化と総合的整備改善をはかるものとする。
(以下項目のみ掲載)
I 総説
II 産業の配置と発展の方向
III 都市発展の方向
IV 産業基盤の整備
V 国土保全施設の整備
VI 住宅および生活環境の整備
VII 観光開発の方向
VIII 労働力の確保
IX 人間能力の開発