「生鮮食料品流通改善対策要綱」

昭和38年7月9日 閣議決定

収載資料:農林行政史 第13巻 農林省大臣官房総務課編 1975 pp.1085-1086 当館請求記号:611.1-N955n4
 最近における消費者価格の上昇傾向の中で生鮮食料品の値上りが著しい。これは、国民経済の高度成長に伴い生鮮食料品の需要が著しく増加したにもかかわらず、需要の変化に対して農産物の生産の適応がおくれていることに主としてよるが、生産と消費とを結ぶ流通経路が不備であることによる面も大きいと考えられる。特に消費者価格の中で流通経費の占める割合がかなり高く、最近の労賃、輸送費、包装資材費等の上昇がその価格上昇の大きな原因となっていることも無視できない。
 このような動向からみて、これらの生鮮食料品の流通の合理化および流通経費の節減を図ることは、国民生活を安定し、農水産業の健全な発展を図るためにきわめて緊要と考えられるので、需要の変化に適合した生産の安定的拡大と農水産業の構造改善による生産性の向上を図るための各般の施策を推進しつつ、流通機構の合理化を中心として生産地から消費地にいたるつぎのような、生鮮食料品流通改善対策を総合的に実施するものとする。一、東京、大阪等六大都市中央卸売市場における流通改善
二、中央卸売市場の開設および施設の整備拡充
三、東京都食肉中央卸売市場の開設
四、小売段階の流通改善と消費普及
五、生鮮食料品行政の実施査察
六、野菜生産の安定的拡大
七、生鮮食料品価格安定のための輸入措置
八、生鮮食料品の輸送の円滑化
九、出荷の安定と計画化
十、包装の合理化
十一、生鮮食料品の統計調査の充実
 生鮮食料品の流通改善を推進するための基礎資料として、新たに出荷段階から小売段階までの取引段階ごとに生鮮食料品の流通構造、流通量、価格、流通減耗量、流通経費等の調査を行ない、生鮮食料品の流通統計の整備充実を図るものとする。