労働問題懇談会の答申について

昭和34年2月20日 閣議決定

収載資料:資料ILO条約批准闘争史 第1巻 全逓信労働組合 1960 pp.80-81 当館請求記号:328.366-Z244

一.ILO第八十七号条約は、自由にして民主的な労使団体の基本的在り方を定めたものであり、国際的にも極めて重要なものであるので、自由にして民主的労働組合の発展を期するという労働政策の基本的立場から、これを批准することとする。
二.右条約を批准するため、これと抵触する公労法第四条第三項及び地方公労法等第五条第三項は廃止することとするが、これを廃止するに当っては、公共企業体等の労使関係の現状からみて、その業務の正常な運営を確保するため、公労法及び地公法の関係部分について所要の改正を加えるとともに、事業法特に鉄道営業法の規定を整備することとし、これらの措置を講じた後、条約批准の手続をとるものとする。
三.右の法的措置のほか、この際、公共企業体等の労働組合が国内諸法規を誠実に守り、正常な労働慣行が確立されるよう、諸般の施策を講ずることとする。
 なお、本条約の批准が全逓労組の違法状態を正常化する趣旨のものでないことは当然であるので、条約批准の手続は、その労使関係が正常化されるまではとらないものとする。
 すなわち二と三の条件が可及的速かに措置された上、批准の手続をとるものとする。
四.なお、労働問題懇談会の答申にもあるとおり、ILO条約の趣旨とする労使団体の自主運営並びにその相互不介入という近代的労使関係の基本的精神が、わが国の労使関係にも十分とり入れられるよう諸般の施策を進めて参るとともに、労使関係法全般についても、かかる観点から検討を進めて参りたいと考えている。