模様が意味するもの

図案

洋服や和服に描かれた模様の中には意味を持っているものもあります。ここでは、図案化された文様の中から、その意味をされるものをご紹介したいと思います。

鶴の文様は数が多く、祝いごとの文様として知られています。古代中国の書『淮南子えなんじ』に「鶴と亀は千年、万年の寿命を保つ」と書かれていることに由来して、長寿に通じるとされています。また、鶴はつがいになると生涯添い遂げることから、夫婦円満や良縁祈願など、縁起がよい文様とされています。

雲は古今東西で神々が住まう場所とされてきました。中国の思想に「気運がみなぎるところ、運気が動く」とあり、運気が上昇する不思議な力があるとされ、縁起のよい吉祥の文様です。雲には色々な形があり、雲に尾があるように描いて飛ぶ「飛雲文」、霊芝れいしのように描く「霊芝雲文」、『源氏物語』で使われた「源氏雲文」等があります。

青海波せいがいは

青海波は波文の一種で、古代ペルシャでも同様の文様が知られています。日本には奈良時代頃に伝来したようですが、文様の名の由来は諸説があり定かではありません。扇のように末広がりな形は幸運に通じるとされ、無限に広がる波の文様が、未来永劫へと続く幸せを込めた縁起のよい文様とされています。

鳳凰

瑞鳥ずいちょうといわれる鳳凰は、中国で生まれた想像上の鳥です。鳳凰の体は、前はりん、後ろは鹿、首は蛇、尾は魚、背中は亀、あごはつばめ、くちばしは鶏に似ているといわれています。この鳥は桐の木に宿り、天下が泰平の折に天を舞うとされ、おめでたい文様とされています。

亀甲

亀甲は亀の甲羅のことで、古代の亀甲占いで使用されたことなどから神仏加護に通じるといわれています。古代中国神話等に登場する霊亀は、甲羅の上に不老不死の仙人が暮らす蓬莱山ほうらいさんを背負っているといわれ、そのため亀は不老長寿の象徴とされています。この亀の甲羅を図案化した亀甲文は、長寿にあやかる吉祥の文様です。

唐草

唐草の文様は風呂敷の柄としても知られています。この文様の起源は、ギリシャやローマの連続文様パルメットが、中国を経て古墳時代に日本に伝来したといわれています。地面を這うように伸びるつるの唐草は、強い生命力を発揮するとして好まれました。菊や松、梅等の植物と一緒にアレンジされることも多い文様です。

徳川家の家紋「三つ葉葵」としても知られている葵紋ですが、葵文様として図案化されたのは二葉葵文です。植物のフタバアオイを図案化したもので、賀茂別雷神が降臨した場所にフタバアオイが群生していたことから神紋として用いられました。フタバアオイは、根に薬効があり、不老長寿の仙薬になる霊薬として扱われてきました。また雷除けのまじないにも使われます。徳川家は葉を一枚追加した三つ葉葵を家紋とし、自由に使用することを禁止しました。幕末以降、文様は自由に使えるようになりました。

流水

古くから用いられている文様で、弥生時代の銅鐸どうたくにも見られます。水の流れを蛇行的に描いたもので、単独で描かれることもありますが、動植物や器物などと一緒になった文様がよく見受けられます。

参考文献

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