上巳の節句

3月最初の巳の日は上巳じょうしと呼び、上巳の節句(節供)は江戸時代五節句の一つでした。上巳の節句は、桃の節句、雛祭りとも呼ばれています。江戸幕府の公式行事であり、女の子のいる家庭では雛人形を飾り、菱餅、霰、白酒を供えて娘の成長と幸福を願いました。

花見

この頃から江戸は花見の季節を迎えます。江戸後期には町内や長屋をあげて並木桜の花見にでかけるようになりました。人々は花見用の衣装をまとい、春の一日を飲んで歌って賑わいました。錦絵にも花見の様子はたくさん描かれています。

花見の三大名所

江戸の花見の三大名所は、上野東叡山・飛鳥山・墨堤ぼくていをさします。上野東叡山は寛永寺の敷地で、将軍家の菩提寺のため、花見見物には制約(飲酒不可・鳴り物禁止・夜桜禁止など)がありましたが、静かに風情を楽しむ人がたくさんいました。飛鳥山は8代将軍徳川吉宗が、庶民の遊楽のために桜を植えさせた場所で、王子権現参拝と飛鳥山の花見は日常を離れた花見遊楽を満喫できる場所でした。最後の墨堤とは、隅田川の土手のことです。4代将軍徳川家綱の頃に桜を植え、8代将軍吉宗が桜100本を増植させました。墨堤は飛鳥山ほど遠くなく、上野のように堅苦しくない場所のため、花見客でにぎわいました。船からの見物もあり、堤の土手には茶屋が並びました。

野遊び

気候が良くなる春の一日を、外に出て野や磯で遊ぶ「野遊び」が行われるのもこの時期です。ちょうど大潮になる時期で、品川・高輪・洲崎等には干潟ができ、人々は繰り出して潮干狩を楽しみました。
また春の野でよもぎせり土筆つくし等の摘草つみくさをする様子も錦絵に描かれています。

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