美術文芸雑誌『方寸』
『方寸』は明治末期に刊行された美術文芸雑誌です。西洋で流通しているような洗練されたイラスト入り雑誌を日本でも発刊することを志した青年画家、石井柏亭、森田恒友、山本鼎の三人によって明治40(1907)年に立ち上げられました。その後、倉田白羊、織田一磨、小杉未醒らを同人に加え、明治44(1911)年に廃刊となるまでに全35号が発行されました。
本誌は自画自刷の木版や石版の表紙画、挿画を多く掲載し、「創作版画」運動を先導したことで知られます。「創作版画」運動とは作家自らが下絵を描き、作家自らが版を彫り、作家自らが摺るという「自画・自刻・自摺」によって版画を作成しようというものです。
また文芸雑誌『スバル』との結びつきが強く、北原白秋や木下杢太郎、高村光太郎ら柏亭と交友のあった文人の文章や詩歌の寄稿も掲載されました。