<朝鮮語>『核心イシューで見るメディアとジェンダー』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2021年3月公開)

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アジア情報室 作成

朝鮮語

김명혜[ほか]지음(キム・ミョンヘ[ほか]著)『핵심이슈로보는미디어와젠더 (여성커뮤니케이션연구총서 ; 15)(核心イシューで見るメディアとジェンダー(女性コミュニケーション研究叢書 ; 15))』ソウル :이화여자대학교출판문화원, 2019.11, 322 p【EF73-K104

【キーワード】

ジェンダー、フェミニズム、メディア表象

【著者情報】

キム・ミョンヘは、東義大学校メディア・広告学部教授である。また、その他の著者も、韓国内の大学のメディア関連学部の教授等を中心に構成されている。

【出版の背景・目的】

近年、韓国では、女性の権利等に関する運動が活発化している。2016年にソウル市江南駅近くで起きた女性殺人事件をきっかけとして、女性に対する暴力の根絶を目指す運動が広がり、2018年には「女性暴力防止基本法」が制定された。また、同じく2018年には女性検察官が実名でセクシャルハラスメントを告発したことをきっかけに、#Me Too運動が活発になった。2019年には、繰り返し議論されてきた刑法の堕胎罪関連規定に対して、憲法裁判所が憲法不合致決定を下している。

本書は大学の教材として使用することを前提に企画されたもので、メディアとの接点を通じてジェンダー問題にアプローチすることを試みている。

【本書のポイント】

韓国のジェンダーに関する問題のうち、特に女性を巡る問題を中心に扱っている。テレビ(ドラマ、ニュース、バラエティ)、ゲーム、ウェブサイト等の多様な媒体におけるジェンダー表象やフェミニズム運動を扱い、報道機関内の労働環境、多文化社会の表象といった切り口からもジェンダー問題を取り上げている点が特徴的である。

【目次】

序文:遠い道のりを来たが、それでもまだ行く道は遠い
1部 フェミニズムとジェンダー:歴史と概念
1章 韓国女性運動の歴史とジェンダーの現実
2章 クィア[1]理論とインターセクショナリティ
3章 男性性理論と韓国の男性性
2部メディアとフェミニズムの問題
4章 放送社の組織文化、労働、そしてジェンダー
5章 メディアと性暴力
6章 メディアの多文化表象とジェンダー
7章 メディアが表象する女性と男性
8章 体とジェンダー政治、そして抵抗
9章 テレビの娯楽番組とジェンダー
10章 ゲーム文化とジェンダー政治
11章 デジタルメディア時代の女性主義運動
参考文献

【関連する国立国会図書館刊行物収載の文献】

藤原夏人「韓国の女性暴力防止基本法」『外国の立法』No.281(2019. 9)
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11345899_po_02810003.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

藤原夏人「【韓国】人工妊娠中絶に関する憲法不合致決定」『外国の立法』No. 280-2(2019.8)
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11338358_po_02800212.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

(アジア情報課 廣田 美和)


[1]本書では、クィアを「ただ性的少数者集団のみを意味する概念ではなく、同一の言語で定義することができない存在、正常と非正常の境界を揺るがす存在、規範と規定を解体する存在であり、そのような実践を意味する概念」としている。