<中国語>『中国海洋発展報告』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2021年6月公開)

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アジア情報室 作成

自然资源部海洋发展战略研究所课题组 [編著]『中国海洋发展报告 = China's ocean development report. 2020(中国海洋発展報告)』北京 : 海洋出版社, 2020.5, 2, 8, 4, 303 p 【A172-C2

【キーワード】

中国、海洋政策、海洋境界画定、海洋資源開発

【編集者・著者】

自然資源部海洋発展戦略研究所[1]は、海洋に関する戦略、政策及び法律問題を研究し、中国政府に提言を行う、自然資源部[2]直属の専門研究所である。

【出版の背景・目的】

本書は、2006年以降継続的に刊行されている、中国の海洋発展に関する年度報告の最新版である。今後の発展のための関連部門への提言と、社会一般における海洋に関する知識及び意識の向上を目的として刊行されている。

【本書のポイント】

本書は、2019年における中国の海洋事業を取り巻く国内外の状況を、政策、経済、環境保護、法治、国際関係の各視点から論じている。近年、海洋進出の活発化を巡って、中国と周辺諸国との軋轢が高まっているが、本書では、海洋油田開発、海洋境界画定、南極北極における事業展開など、国際的に関心の高い問題に対する中国の公的機関の認識を把握することができる。

【目次】

第一部分 中国の海洋発展におけるマクロ環境
 第一章 国際海洋業務の発展
 第二章 中国の海洋発展における周辺環境
 第三章 21世紀の海のシルクロード建設
第二部分 海洋政策と管理
 第四章 中国の海洋政策
 第五章 中国の海洋管理
 第六章 中国の海洋計画
第三部分 海洋経済と科学技術
 第七章 中国の海洋経済
 第八章 中国における海洋産業の発展
 第九章 中国の海洋科学技術の創出
第四部分 海洋における生態文明
 第十章 中国の海洋における生態文明の建設
 第十一章 中国における海洋資源の持続可能な利用
 第十二章 中国の海洋環境の保護
第五部分 法治に基づく海洋ガバナンス
 第十三章 中国の海洋に関する法律
 第十四章 海洋に関する地域的な法秩序
 第十五章 航行の自由と安全
第六部分 中国とグローバルな海洋ガバナンス
 第十六章 国家管轄権外区域[3]の海洋生物の多様性に関する国際協定についての議論と中国の対応
 第十七章 深海底[4]のガバナンスと中国の貢献
 第十八章 南極・北極のガバナンスと中国の参与

【関連する国立国会図書館刊行物収載の文献】

岡村志嘉子「南シナ海周辺国に対する中国の外交姿勢 : ベトナム・フィリピンとの関係(資料)」『レファレンス』No.796、2017.5.
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10356068_po_079606.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
岡村志嘉子「【中国】深海海底区域資源探査開発法の制定」『外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説』月刊版No.267-1、2016.4
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9929061_po_02670109.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

(アジア情報課 新谷 扶美子)


[1] http://www.cimamnr.org.cn/外部サイト

[2] 中国の行政府である国務院の一部門。「部」は日本における「省」に該当する。
http://www.mnr.gov.cn/外部サイト

[3] 国際法上、いずれの国家の権限も及んでいない区域のことであり、具体的には公海と深海底を指す。
坂巻静佳「国家管轄権外区域の海洋生物多様性」『Ocean Newsletter』第391号(2016.11.20)(公益財団法人笹川平和財団 海洋政策研究所)
https://www.spf.org/opri/newsletter/391_2.html外部サイト

[4] 国の管轄権の及ぶ区域の境界の外の海底及びその下をいう(「海洋法に関する国際連合条約」第1条第1項(1))。深海底とその資源は、同条約前文により、「人類の共同の財産」と規定されている。
海洋法に関する国際連合条約(外務省ウェブサイト)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/B-H8-1059_2.pdf外部サイト