<朝鮮語>『2020性犯罪白書 : 身上情報登録対象者を中心に』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2021年10月公開)

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アジア情報室 作成

문희갑 [ほか] 기획 및 집필(ムン・ヒガプ [ほか] 企画及び執筆 )『2020 성범죄백서 : 신상정보 등록대상자를 중심으로(2020性犯罪白書 : 身上情報登録対象者を中心に)』과천 : 법무부 범죄예방정책국, 2020.2, 217p.【AK4-741-K20

【キーワード】

韓国、性犯罪、再犯防止

【著者情報】

ムン・ヒガプは、韓国の法務部特定犯罪者管理課長である。

【出版の背景・目的】

韓国では、「性暴力犯罪の処罰等に関する特例法」によって、性犯罪者の身上情報の登録が規定されている[1]。本書は、この規定に基づいて登録された身上情報を分析し、その結果を性犯罪者に対する教育プログラムの策定等に活用することを目的として出版された。

なお、本書は法務部ウェブサイトにて全文が公開されている[2]

【本書のポイント】

2008年から2018年までの間に登録された性犯罪者の身上情報74,956件と、同期間に再登録された性犯罪再犯者の身上情報2,901件のデータに基づき、性犯罪の特性と現況を詳細に分析している。さらに、第4編には2008年に開始された電子監督制度[3]や、2011年に開始された性衝動薬物治療等を含む性犯罪者に対する処遇の現況を掲載しており、各処遇の概要と運用状況を知ることができる。

【目次】

目次
第1編 序論
 第1節 発刊の目的
 第2節 白書の構成
 第3節 凡例
第2編 身上情報登録制度
 第1節 身上情報登録制度の概要
 第2節 業務手順及び内容
 第3節 外国の身上情報制度の運営事例
第3編 性犯罪の動向分析(身上情報登録対象者を中心に)
 第1節 性犯罪の現況
 第2節 性犯罪者の特性
 第3節 性犯罪の罪名別特性
 第4節 性犯罪の再犯現況
 第5節 性犯罪再犯者の特性
 第6節 性犯罪再犯の罪名別特性
 第7節 分析の要約及び主要な動向
第4編 性犯罪者の社会内処遇の現況
 第1節 保護観察の現況
 第2節 社会奉仕命令の現況
 第3節 受講命令(履修命令)の現況
 第4節 電子監督の現況
 第5節 性衝動薬物治療の現況
 第6節 請求前調査等の現況
付録
参考文献

【関連する国立国会図書館刊行物収載の文献】

白井京「韓国における性犯罪者の再犯防止対策:情報公開と位置追跡電子装置」『外国の立法』No.234(2007.12)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1000290
藤原夏人「【韓国】 性暴力犯罪者性衝動薬物治療法の成立」『外国の立法』月刊版No.244-1・2(2010.7/8)
https://dl.ndl.go.jp/pid/3050525
中村穂佳「【韓国】デジタル性犯罪に関する法改正」『外国の立法』月刊版No.285-1(2020.10)
https://dl.ndl.go.jp/pid/11553732

(アジア情報課 廣田 美和)


[1] なお、登録された情報の公開・告知に関しては「児童・青少年の性保護に関する法律」(以下「性保護法」)に規定されている。韓国の性犯罪者の身上情報の公開は、2000年に制定された「青少年の性保護に関する法律」(現・性保護法)において青少年に対する性犯罪を対象として初めて規定され、2006年の同法改正により身上情報の登録・閲覧制度が導入された。2010年の「性暴力犯罪の処罰等に関する特例法」制定によって成人に対する性犯罪も対象となった。2012年の両法律の改正(2013年施行)によって、情報の登録が法務部の、公開・告知が女性家族部の所管となったため、それぞれの法律に関連条項が規定されている。

[2] 「2020 성범죄백서」법무부ウェブサイト
http://www.moj.go.kr/bbs/moj/160/520445/artclView.do外部サイト

[3] 特定の犯罪者の身体に電子装置を装着して位置や移動経路を把握し、保護観察官の密接な指導や監督を介して再犯を抑制する制度。