<中国語>『"十四五"大戦略と2035年の未来像』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2021年11月公開)

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アジア情報室 作成

胡鞍钢, 周绍杰, 鄢一龙 等 著『"十四五"大战略与2035远景 ("十四五"大戦略と2035年の未来像)』北京 : 东方出版社, 2020.10, 3, 326 p【GE341-C700

キーワード

中国、第14次5カ年計画、将来予測

編集者・著者

著者の胡鞍鋼は、清華大学国情研究院院長。習近平政権のブレーンであり、中国の政策決定に影響力を持つとされる[1]。周紹傑は、清華大学公共管理学院副教授で国際発展及びグローバルガバナンス研究所副所長。鄢一竜は清華大学公共管理学院副教授で清華大学国情研究院副院長。

出版の背景・目的

本書は、中国における現在及び今後15年の経済、社会、環境分野の発展動向、発展目標及び発展構想を予測、分析することにより、2021年から2025年までの第14次5カ年計画及び2035年までの長期目標[2]を制定するために重要な情報を提供することを目的として出版された。

本書のポイント

第14次5か年計画及び2035年までの長期目標の制定に前後して、関連する書籍が多数出版されている。その中でも、本書は政府や国際機関等が発表した統計や目標数値の他、著者自身による推計をもとに、具体的な数値を挙げて中国における社会経済の現状を分析し、2025年まで(第1~4編)及び2035年まで(第5編)の予測を示している点に特徴がある。中国の社会経済の現状を把握し、今後の見通しをさぐる上で、参考となる資料の一つといえる。

目次

第1編 全体編 二つ目の100年奮闘目標の始まり
 第1章 序論 : 小康社会の全面的な完成の重大な指標
 第2章 "十三五[3]"時期における経済社会発展の評価
 第3章 "十四五[4]"時期に直面する国内外の環境
 第4章 "十四五"時期の基本的な構想
 第5章 "十四五"時期の主要目標
第2編 経済発展編 現代化した経済システムの全面的な建設
 第6章 経済成長と構造分析
 第7章 現代化した経済システムの建設と完備
 第8章 イノベーション発展駆動戦略の実施
 第9章 世界的な製造強国の建設
 第10章 都市と農村の協調的発展の推進
 第11章 経済発展空間構造の向上
 第12章 高水準な開放経済の建設
第3編 社会発展編 全体的な人民福祉の推進
 第13章 就職優先政策の堅持
 第14章 健康中国戦略の全面的な推進
 第15章 高品質な教育システムの構築
 第16章 社会保障体系の完全化の加速
 第17章 発展的な公共サービス保障メカニズムの構築
 第18章 相対的な貧困保障メカニズム解決策の確立
第4編 生態文明建設編 人と自然生命の共同体の建設
 第19章 資源節約型社会の全面的な建設
 第20章 エコフレンドリー型社会の全面的な建設
 第21章 気候適応型、低災害リスク型社会の建設
 第22章 海洋生態文明の建設の全面的な推進
 第23章 生態文明制度システムの完全化
第5編 2035年の展望編 社会主義の現代化の基本的な実現
 第24章 経済の現代化の基本的な実現
 第25章 全人民による共同富裕獲得の明確かつ実質的な進展
 第26章 緑色現代化の基本的な実現

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

青井佳恵「「ポストコロナ」時代の国際秩序と日本」『調査と情報 = Issue brief』1120号, 2020.10.29.
https://dl.ndl.go.jp/pid/11561442

(アジア情報課 濱川 今日子)


[1] 「米中「新型大国関係」に、世界の安定に欠かせず、習政権ブレーン、胡鞍鋼・清華大教授」『日本経済新聞』2017.11.9

[2] 正式名称は「国民経済・社会発展第14次5カ年計画及び2035年までの長期目標綱要」。2021年3月に全国人民代表大会において採択された。

[3] 第13次5カ年計画の略。同計画の対象期間は、2016年から2020年まで。

[4] 第14次5カ年計画の略。