<朝鮮語>『家族の多様性 : 一目で見る』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2022年2月公開)

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アジア情報室 作成

국회도서관(国会図書館)『가족의 다양성 : 한눈에 보기 (Fact book ; 통권 제90호 (2021-6호))(家族の多様性 : 一目で見る (Fact book ; 通巻第90号 (2021-6号)))』ソウル : 국회도서관(国会図書館), 2021.10, 193p.【EC84-K36

キーワード

韓国、家族政策

著者情報

韓国国会図書館は、国会議員及び国会関係職員に対し、国会の立法活動と国政審議に必要な各種情報を収集・整理・分析して提供している。その業務の一環として、時事性のあるテーマについて関連情報を集約した「Fact book」シリーズを不定期で刊行し、韓国の国会議員、常任委員会、行政部署等に配布している。

出版の背景・目的

韓国政府は、近年、単身世帯やひとり親家庭、国際結婚家庭の増加、非婚や事実婚等を容認する意見の増加など、家族の形や家族に関する価値観が多様化した韓国社会に対応し、適切な保護と支援を行うため、「第4次健康家庭基本計画(2021~2025)」(女性家族部, 2021年)[1]等の計画を策定し、関連制度の改善を進めている。本書は、国会や行政機関等における関連政策の検討に資することを目的として発行された。

なお、本書は韓国国会図書館ウェブサイトにて全文が公開されている[2]

本書のポイント

韓国の「家族」の現状と課題、関連法令、政策動向と今後の計画等を一覧できる資料である。Ⅲ-2で、単身世帯の孤立防止や女性単身世帯の安全な生活のための体制整備、子どもの姓の決定[3]や非嫡出子の出生届関連の制度改善、国際結婚家族の子女の教育格差の解消、事実婚家族の法・制度的保護などの課題が洗い出され、Ⅴ-7では第21代国会(2020年5月30日~)で審査・審議中の関連法改正案がまとめられている。

目次

はじめに
Ⅰ. 家族の理解
要約
1.家族の定義
2.現行法上の家族の概念と範囲
Ⅱ. 国内における家族の多様性の現況
要約
1.家族の多様化現象
2.多様な家族の現況及び問題点
Ⅲ. 国内の家族多様性政策
要約
1.基本計画
2.家族形態別の主な政策課題
Ⅳ. 主要国における家族の多様性の現況と政策
要約
1.米国
2.イギリス
3.ドイツ
4.フランス
5.日本
Ⅴ. 関連法令及び立法動向
要約
1.「民法」
2.「健康家庭基本法」
3.「家族関係の登録等に関する法律」
4.「ひとり親家族支援法」
5.「多文化家族支援法」
6.その他の法律及び法案論議
7.第21代国会で審査・審議中の議案
VI. 国会の議論及び専門家の見解
要約
1.国会の議論
2.専門家の見解
参考文献

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

小沢春希「国内外における夫婦の氏に関する制度と選択の状況」『レファレンス』848(2021.8)
https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F11713847&contentNo=1
泉眞樹子「ドイツ民法典における家族法―親子関係の変化を中心に―」『外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説』285(2020.9)
https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F11538862&contentNo=1
「家族のダイバーシティ : ヨーロッパの経験から考える」(調査資料 ; 2017-2. 国際政策セミナー報告書 ; 平成28年度)(国会図書館, 2017.10)
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10980299_po_201711.pdf?contentNo=1

(アジア情報課 廣田 美和)


[1] http://www.mogef.go.kr/mp/pcd/mp_pcd_s001d.do?mid=plc503&bbtSn=704886外部サイト

[2] https://dl.nanet.go.kr/search/searchInnerDetail.do?controlNo=MONO12021000044340外部サイト

[3] 韓国では結婚後も夫婦は別姓のままであり、子は原則として父の姓を名乗り、母の姓を名乗ることは例外的に認められている(民法第781条)。本書ではこれが「ひとり親家庭など多様な家族の子女に対する差別的認識に繋がる」としている。