姚洋, 杜大伟(David Dollar), 黄益平 主编『中国2049 : 走向世界经济强国 = China 2049 : Economic challenges of a rising global power (2049年の中国 : 世界的な経済大国への道)』 北京 : 北京大學出版社, 2020.8, 12, 5, 348 p【DC157-C732】

キーワード

中国経済、将来予測

編集者・著者

主編者の姚洋は北京大学の教授で北京大学国家発展研究院院長、北京大学中国経済研究センター主任などを務める。David Dollarは米国のブルッキングス研究所中国センターのシニア・フェロー。中国経済及び米中経済関係を専門とする。黄益平は、北京大学国家発展研究院教授で副院長の職にあると同時に、北京大学デジタル金融研究センター主任、国務院参事室公共政策研究センター副理事長などを務める。

出版の背景・目的

習近平国家主席は、2021年7月の中国共産党創立100周年大会での演説において、2つの100年目標の1つである小康社会の全面的な完成を宣言するとともに、第2の100年目標である、2049年までの社会主義現代化強国の完成について自信を示した[1]。本書は、今後30年の第2の100年目標の実現に向けた過程において、中国が直面するであろう新たな課題を分析することを目的として執筆された。

本書のポイント

本書は、中国経済の各分野について、過去40年の成功の要因、さらなる発展過程における課題、世界的な経済大国に向けた平穏な歩みを保障するために政府が取るべき政策、戦略を論じており、今後の中国経済を展望するのに参考になると思われる。
　各章は、北京大学国家発展研究院をはじめとする中国の研究機関に所属する研究者と、米国の大学、研究機関に所属する研究者によって分担執筆された。本書の英語版[2]も出版されている。

目次

第1章　中国の経済成長の回顧
第2章　成長の収斂と発展の見通し
第3章　高齢化と社会政策
第4章　グリーン経済への転換
第5章　現代的な金融システムの構築
第6章　公共財政改革
第7章　家計消費
第8章　国有企業の所有権、経営権改革
第9章　人工知能と労働市場
第10章　イノベーション能力
第11章　政府の役割と産業政策
第12章　対外開放
第13章　経済外交
第14章　国際技術競争
第15章　中国のグローバル金融システムにおける役割
第16章　中国の国際的な経済組織における役割

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

廣瀬淳哉「AI等の技術の雇用への影響をめぐる議論」『レファレンス』No.831, 2020.4.
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11486060_po_083103.pdf?contentNo=1
山本彩佳「国際機関に対する中国の影響力 : 国連専門機関のトップ獲得の動きを中心に」『調査と情報-Issue Brief-』No.1144, 2021. 3. 26.
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11651162_po_1144.pdf?contentNo=1

（アジア情報課　濱川　今日子）

注

[1] 「習国家主席、共産党創立100周年演説で小康社会の全面的完成をあらためて宣言」日本貿易振興機構（ジェトロ）ウェブサイト2021年7月8日
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/07/272c39bdd863549c.html（2022年4月19日最終アクセス）
なお、当該演説の全文訳が以下のページで公開されている。
「中国共産党創立100周年祝賀大会における 習近平総書記の演説全文」中華人民共和国駐日本大使館ウェブサイト2021年7月2日
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/zt/zggcdcl100zn/202107/t20210702_8934774.htm（2022年4月19日最終アクセス）

[2] David Dollar, Yiping Huang, Yang Yao, China 2049 : Economic challenges of a rising global power, Brookings Institution Press, [2020]（当館請求記号DC157-D9）