<中国語>『食料安全保障における中露協力の問題研究』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2022年4月公開)

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アジア情報室 作成

姜振军 著『中俄共同保障粮食安全问题研究(食料安全保障における中露協力の問題研究) = Study on the issue of food security jointly guaranteed by China and Russia (教育部人文社会科学重点研究基地黑龙江大学俄罗斯语言文学与文化研究中心学术丛书(教育部人文社会科学重要研究基地黒龍江大学ロシア語学文学・文化研究センター学術叢書))』 北京 : 社会科学文献出版社, 2021.3, 4, 2, 188 p【DM171-C54

キーワード

中国、ロシア、食料安全保障

著者情報

著者の姜振軍は、黒龍江大学ロシア語学文学・文化研究センターの副主任と同大学中露人文交流研究センターの主任を務めており、中国ロシア東欧中亜学会の理事も兼任している。

出版の背景・目的[1]

人口増加や、異常気象などの影響により、世界の食料供給事情が一層厳しくなり、生産国による輸出禁止や食料不足による人道危機が多く発生している。中国とロシアの食料安全の事情は比較的に良好と言えるが、依然として内部と外部の両方からの影響と脅威を受けている。アメリカをはじめとする西側諸国との貿易摩擦の背景下で、中露両国は戦略的パートナーシップという緊密な関係を築き、食料生産分野でも協力が進んでいる。本書は、この中露両国間の協力について分析、紹介する。

本書のポイント

中国は食料の生産大国であると同時に、14億の国民を抱える消費大国でもある。そのため、国際食料市場における中国の動きは世界各国に大きな影響を与える。一方、ロシアも小麦をはじめとする食料の輸出大国である。昨今ウクライナ侵略[2]によりロシアが西側諸国から経済制裁を受け、自国の食料安全保障のため小麦の海外輸出を制限している[3]。輸出量世界1位のロシアと5位のウクライナからの食料供給が滞ることにより、世界規模の食料不足が懸念されている[4]。本書は侵略前に出版されたものであるが、中露両国間の食料事情について知ることができ、国際食料市場の動向分析や日本の食料調達にも参考になりうる。

目次

まえがき
第一章 食料安全保障の実態と中露両国の食料安全の現状
第二章 中露両国が食料安全分野で直面する脅威
第三章 食料安全保障における中露協力の現状
第四章 食料安全保障における中露協力の主な任務
第五章 食料安全保障における中露協力に影響を与える要素
第六章 食料安全保障における中露協力の方向と提言
結論
附録  ロシア極東地域における中露協力発展プログラム(2018~2024)

関連する局刊行物収載の文献

森田倫子「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下の食料供給―令和2(2020)年6 月までを中心に―」『レファレンス』No.838, pp.1-30, 2020.11.20
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11573533_po_083801.pdf?contentNo=1
森田倫子「食料自給率と新たな指標―平成19 年以降の動向と食料自給力の指標化―」『調査と情報―ISSUE BRIEF―』No. 864, 2015.4.14
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9222298_po_0864.pdf?contentNo=1
矢口克也「TPP と日本農業・農政の論点―貿易自由化・食料自給率・農業構造・制度設計―」『調査と情報―ISSUE BRIEF―』No. 703, 2011.2.24
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3050431_po_0703.pdf?contentNo=1

(アジア情報課 中山 正義)


[1] 本書まえがきより

[2]「侵略」の表現は、首相官邸特設ページ「ロシアによるウクライナ侵略を踏まえた対応について」に準拠するものである。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ukraine2022/index.html外部サイト (2022年4月18日最終アクセス)

[3]「ロシア、小麦輸出を制限 ベラルーシなど近隣向け」日本経済新聞Web版2022年3月15日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB151QM0V10C22A3000000/外部サイト (2022年4月18日最終アクセス)

[4]「食料不足、世界が懸念 ロシア侵攻で価格高騰」時事通信2022年04月17日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022041600223&g=int外部サイト (2022年4月18日最終アクセス)