<中国語>『国防部門予算の非公式制度に関する研究』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2022年5月公開)

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アジア情報室 作成

王哲, 祁智宏 主编『国防部门预算的非正式制度研究 (国防部門予算の非公式制度に関する研究)』北京 : 中国财政经济出版社, 2020.12, 3, 4, 3, 224 p【AC9-331-C229

キーワード

中国、国防予算、予算制度

編集者・著者

著者の王哲は中国人民解放軍軍事科学院の助理研究員。国防費管理政策及び制度を主要な研究対象としている。祁智宏は、中国人民武装警察部隊兵站学院の副教授。軍隊財務管理を主要な研究対象としている。

出版の背景・目的

中国では、2001年に始まった制度改革により、国防予算の編成、執行、監督等に係る大量の公式制度が構築され、予算管理の科学化、正確化、規範化が進展した。

一方で、強制力が乏しく裁量の余地が大きい規則、明確な規定があっても結果の検証ができない規則が存在する。本書はそれらを国防予算の非公式制度と位置付けた上で、公式制度との不調和によって各種の弊害が生じる可能性を指摘している。

本書は、国防予算に関する非公式制度の内容及び公式制度との相互作用の分析を通じて、両者の関係を調和させる方法を検討し、国防予算のパフォーマンスを向上させることを目的として執筆された。

本書のポイント

中国の軍事予算制度、特に非公式制度の内容及び公式制度との関係性を論じた数少ない資料の一つである。たびたび不透明性が指摘される中国の軍事予算[1]の内実を明らかにするものではないが、同予算の複雑な編成、執行過程を理解する上で参考になる。

目次

第1章 国防予算非公式制度研究の理論的基礎
第2章 国防予算制度改革の発展の過程
第3章 国防予算非公式制度の理論分析
第4章 国防予算における権力構造と非公式制度
第5章 国防予算における予算「関係」と非公式制度
第6章 国防予算業績管理改革と非公式制度
第7章 国防予算制度システムの一般均衡分析
第8章 国防予算非公式制度の全体的な管理に関する構想
第9章 国防予算非公式制度の全体的な管理方策
総括と展望

(アジア情報課 濱川 今日子)


[1] 「[社説]中国全人代開幕 露に加担しては安定築けない」『読売新聞』2022.3.6, 朝刊, p.3. 「米、日本に防衛強化「期待」、中国の軍事費、20年で7倍に、予算増額、議論乏しく(衆院選2021)」『日本経済新聞』2021.10.24, 朝刊, p.5.