＜英語＞『官民パートナーシップ契約：中東及び北アフリカ』：アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介（2022年6月公開）

2023年2月9日更新
アジア情報室作成

Mohamed A.M. Ismail, Public private partnership contracts : the Middle East and North Africa （官民パートナーシップ契約：中東及び北アフリカ）, Abingdon, Oxon ; New York, NY : Routledge, 2020, xv, 254 pages ; 24 cm.【A411-P38】

キーワード

官民連携、中東、北アフリカ

編集者・著者

著者のMohamed A.M. Ismailは、エジプト国務院副院長であり、最高行政裁判所の裁判官である。

出版の背景・目的

官民パートナーシップ（Public private partnership : PPP）とは、公有財産や公的サービスを提供するための、民間団体と政府機関との間の長期契約を指す[1]。中東及び北アフリカ（MENA）諸国では、人口増加や急速な都市化を背景としたインフラ需要の高まりに対応するため、民間投資の促進が必要となり、近年の法制度改革の一環としてPPP法が整備されてきた。長らく石油収入によってインフラ案件の財源を賄ってきた湾岸諸国においても、2010年代半ば以降の石油価格の低迷を契機にPPPへの関心が高まった。本書は、現在のMENA諸国におけるPPP法規制に関する基本情報を提供するとともに、MENA諸国のPPP契約の手法についての分析・評価を試みるものである。

本書のポイント

MENA諸国のPPP法規制の概要を提供する資料である。エジプト、クウェート、ヨルダン、モロッコ、チュニジア、アルジェリアのPPP法と規制の枠組みを解説し、エジプト、クウェート、ドバイ、モロッコについては、PPP法に基づく調達手続きを透明性、説明責任、客観性等の観点から分析・評価している。　また、MENA諸国のPPP法規制が、国連国際商取引法委員会（UNCITRAL）の「官民パートナーシップモデル法[2]」、OECDの公共調達システム評価ツール「OECD MAPS[3]」や「公共調達に関する勧告[4]」、世界銀行の「官民パートナーシップ調達ベンチマーク[5]」等の国際的な基準と適合しているかどうかや、持続可能な開発目標（SDGs）の観点からの評価も行っている。