<中国語>『中国学位制度実施四十年』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2022年10月公開)

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アジア情報室 作成

王战军 著『中国学位制度实施四十年 = The implementation of China academic degree system in 40 years(中国学位制度実施四十年)』 北京 : 中国科学技术出版社, 2021.7, 350 p【FD41-C12

【キーワード】

中国 学位制度

【編集者・著者】

著者の王戦軍は、中国・教育部(部は日本の省に相当)の学位・研究生教育発展センターの副主任等を歴任し、現在は北京理工大学教授、中国学位・研究生教育学会副会長等を務める。高等教育管理・評価を主な研究対象とする[1]

【出版の背景・目的】[2]

本書は、清代末期から現在に至る中国の学位制度史をまとめた著作である。1981年の「中華人民共和国学位条例」(以下「学位条例」)施行から2021年で40周年を迎えることを契機とし、過去の政策文書・研究文献の調査、関係者へのインタビュー等を踏まえて執筆されたものであり、学位条例の施行以後に記述の重点が置かれている。出版の目的として、これまでの歴史をまとめ今後の学位制度改善に資すること、研究者らに資料を提供することを挙げている。

【本書のポイント】

近年、中国では学位条例を改正し「学位法」を制定するための取組が進んでいる[3]。学位条例改正は第13期全国人民代表大会(会期:2018年~2023年)常務委員会の立法企画に含まれており[4]、2021年には教育部により学位法草案への意見募集が行われた[5]。2022年には法案審議も予定されている[6]。本書では、学位条例の不備と学位法制定に向けた動きについても説明しており、中国で学位法が求められる背景を理解する上で有用な情報源と言える。また、統計データを整理した図表を多く掲載しているほか、「中国の学位制度実施 40 年間の重要事項年表」の付録も備えており、データ集としての参照価値も高い。

【目次】

第1章 わが国の学位制度実施体系の確立
第2章 わが国の学位制度実施制度の改善
第3章 わが国の学位制度実施体系の発展
第4章 わが国の学位制度実施体系の形成
第5章 わが国の学位制度実施体系の特色
第6章 将来に向けた中国の学位制度
付録
 1  中国の学位制度実施 40 年間の重要事項年表
 2  2018年の学位授与・人材養成学問分野目録
 3  40年間に中国で授与された博士号、修士号、学士号の数
 4  歴代の国務院学位委員会名簿

(アジア情報課 木下 雅弘)


注[1] 「王战军」北京理工大学人文与社会科学学院
https://rw.bit.edu.cn/szdw/jsjj/jyyjy/lj_20180831063219540353_20180910054542364332/index.htm外部サイト
[2]本書「後記」より
[3]「【ニュース・中国】公布間近の「学位法」、研究不正の抑制なるか?専門家は高等教育機関主体の学位授与推進を提案(1)」2021.6.18. JSPS海外学術動向ポータルサイト
https://www-overseas-news.jsps.go.jp/【ニュース・中国】公布間近の「学位法」、研究/外部サイト
[4]「十三届全国人大常委会立法规划」2018.9.10. 中国人大網
http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/201809/f9bff485a57f498e8d5e22e0b56740f6.shtml外部サイト
[5]「教育部关于《中华人民共和国学位法草案(征求意见稿)》公开征求意见的公告」2021.3.21. 中国政府网
http://www.gov.cn/xinwen/2021-03/21/content_5594238.htm外部サイト
[6]「全国人大常委会2022年度立法工作计划」2022.5.6. 中国人大網
http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202205/40310d18f30042d98e004c7a1916c16f.shtml外部サイト