<朝鮮語>『東海名称の国際的拡散 : 現況と課題』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2022年10月公開)

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アジア情報室 作成

동해연구회 지음(東海研究会 著)『동해 명칭의 국제적 확산 : 현황과 과제(東海名称の国際的拡散 : 現況と課題)』ソウル : 경희대학교 출판문화원, 2021, 480 p【A171-K180

【キーワード】

韓国、日本海呼称問題

【著者情報】

東海研究会は、日本海(韓国側の呼称:東海)の名称に関して発表された学術団体・研究者等の研究成果を集約するとともに、海外との窓口を一元化することを目的として、1994年に設立された。同研究会には、地理学、歴史学、海洋学等、多分野の研究者、ジャーナリスト、公共機関所属の専門家等が参加しており、日本海の名称に関する調査研究や出版、国内・国際セミナーの開催、政府機関に対する諮問などを行っている。

【出版の背景・目的】

韓国政府は、1992 年の第 6 回国際連合地名標準化会議(UNCSGN)において、「日本海(Sea of Japan)」と呼称されている海域に「東海(East Sea)」の名称を用いるよう初めて主張し、その後も国際水路機関(IHO)の会議において日本海との併記を主張するなど、「東海」の名称の使用を推進してきた。本書は、1992年以降現在までの「東海」使用推進の経過やその問題点、今後の課題を整理することを目的として出版された。

【本書のポイント】

本書は東海研究会の約30年の研究成果を総括したもので、韓国が「東海」の名称の使用を推進してきた過程と現況、国際機関における議論の展開、海外における「東海」表記の現状、今後の課題などが、韓国側の立場から整理されている。各章は地理学、歴史学、国際法学、海洋学など、多様な観点から執筆されており、韓国の各分野の研究者等の見解を知るうえでも有用である。

【目次】

はじめに
第1部 東海名称紛争の本質
 第1章 国際水路機関(IHO)と未確立の海の名前「日本海」
 第2章 韓国人の東海認識
 第3章 紛争地名「東海」とデジタル時代
第2部 国際法、国際関係と東海
 第4章 海洋地形の名称と主権の問題
 第5章 日本の併記反対主張の論理に対する規範的対応
 第6章 東海併記のための韓国政府の対米政策推進の方向性:米国のバイデン政権及び日本の菅政権発足に伴って
第3部 国際機関と東海
 第7章 国際水路機関と東海の展開過程に関する研究
 第8章 国際機関における東海/日本海表記紛争及び今後の東海表記の課題
 第9章 水産関連国際機関とデジタル時代の東海表記問題
 第10章 21世紀の国際社会における東海の地名に関する議論
第4部 東海の名称拡散に関する多様な観点と今後の課題
 第11章 海洋学分野の国際学術誌における最近の東海の名称表記に関する現況
 第12章 新しい地名教育の方向と東海
 第13章 デジタル時代の地名データの特徴と展望
 第14章 韓国メディアにおける東海の表記に関する報道の推移
 第15章 地図製作会社、出版社を対象とした東海の名称・表記拡散交渉
 第16章 東海地名外交25年と東海研究会:私の体験から来る提言
補論 「通場(Trans-geo)」的地名に:「黄海・東海」地域、「ヒマラヤ圏」へ
著者紹介

【関連する国立国会図書館刊行物収載の文献】

藤原夏人「【韓国】[立法情報(日本関係)]東海表記を求める決議」『外国の立法』 No.249-1(2011.10)
https://dl.ndl.go.jp/pid/3050742
菊池勇次「【韓国】 国連に「東海」表記を求める決議の採択」『外国の立法』 No.260-1(2014.7)
https://dl.ndl.go.jp/pid/8702082

(アジア情報課 廣田美和)