<朝鮮語>『デジタル時代の政策と通商戦略』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2022年10月公開)

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アジア情報室 作成

최지은(チェ・ジウン)ほか10名『디지털시대의 정책과 통상전략(국정과제협의회 정책기획시리즈 ; 16)(デジタル時代の政策と通商戦略(国政課題協議会政策企画シリーズ ; 16))』ソウル : 대통령직속 정책기획위원회, 2022【DH3-K7

【キーワード】

韓国、デジタル、貿易

【著者情報】

著者の一人であるチェ・ジウン氏は、文在寅前政権下で大統領直属の政策企画委員会国民成長分科デジタル通商対策委員会のトップを務めた人物で、ソウル大学校国際大学院兼任教授、前世界銀行シニアエコノミストである。

本書の発行者であり、本シリーズの発起者でもある政策企画委員会は、文在寅前政権下で大統領直属の諮問機関として活動し、他の大統領所属委員会とともに国政課題協議会を構成した。

【出版の背景・目的】

本書が含まれる国政課題協議会政策企画シリーズ(全21巻)は、政策企画委員会等の委員会が、それらの活動の結果として生まれた多様な政策議論を国民に広く共有するという趣旨のもとで企画・刊行された。なお、掲載された内容は政府や政策企画委員会の公式的立場を示すものではなく、各委員の多様な議論を編纂したものである。

【本書のポイント】

シリーズ第16巻の本書では、政策企画委員会デジタル通商対策委員会で議論した内容をもとに、韓国に必要なデジタル通商戦略と、今後韓国が世界をリードできる分野としてデジタル通商分野での国際ルール整備を取り上げている。

また、学術研究というよりは、政府の戦略と具体的な政策を提案することに焦点を当てたもので、個人情報保護やデジタルプラットフォーム規制に関する韓国国内の立法動向や課題点などが論じられている。日本においてもデジタルプラットフォーム取引透明化法制定、個人情報保護法改正など、デジタル市場のルール整備[1]が進められているところであり、韓国におけるこの分野の動向を知るのに有用である。

【目次】

国政課題協議会政策企画シリーズ刊行に当たって
序論 デジタル時代の通商戦略と国内外の政策
第1部 デジタル時代の国内政策の整備戦略
第1章 デジタル社会のための法制度戦略
第2章 データと人工知能に基づく知能型政府の積極行政戦略
第3章 データ税(Digital Data Tax)の概念と国内立法のための方策
第2部 デジタル時代の海外での政策に対する理解
第4章 国内データ3法とEUのGDPRの比較及び改善策
第5章 デジタル税の国際的議論と展望
第6章 市場支配的オンラインプラットフォーム事業者に対する海外の立法動向と示唆
第3部 デジタル時代の標準化政策と通商戦略の策定
第7章 米中のデータ標準化政策とグローバル協定に関する方策
第8章 デジタル貿易ルールを通じた海外デジタル分野主導のための戦略-デジタル貿易協定を中心に-
第9章 メタバース通商分野での主導戦略
結論 デジタル時代の通商戦略と政策提言

【関連する国立国会図書館刊行物収載の文献】

佐藤良「経済のデジタル化に伴う国際課税ルール見直しの動向―デジタル課税とグローバル・ミニマム課税の新たな枠組み―」『レファレンス』No. 859 (2022.7.20)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12308599
濱野恵「【EU】デジタルサービス法案及びデジタル市場法案の公表」『外国の立法』 No.287-2(2021.5)
https://dl.ndl.go.jp/pid/11668881
泉眞樹子「【ドイツ】GWB(競争制限禁止法)デジタル化法―デジタル・プラットフォーム企業への競争法上の規制強化等―」『外国の立法』 No.287-1(2021.4)
https://dl.ndl.go.jp/pid/11659064
鈴木絢子「デジタル・プラットフォーマーと競争政策」『調査と情報』No. 1088(2020.2.25)
https://dl.ndl.go.jp/pid/11451855

(アジア情報課 河村真澄)


[1] 成長戦略ポータルサイト「デジタル市場への対応」首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/portal/digital_rule/index.html外部サイト