<中国語>『「剰男」「剰女」 : 結婚適齢期人口の初婚の困難性』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2023年2月公開)

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アジア情報室 作成

孙炜红 著『"剩男" "剩女" : 适婚人口的初婚风险(「剰男」「剰女」 : 結婚適齢期人口の初婚の困難性』北京 : 社会科学文献出版社, 2022.3, 9, 3, 195 p【EC91-C47

キーワード

中国、結婚難、未婚化

著者情報[1]

著者の孫煒紅は、人口学博士。西南財経大学社会発展研究院において教育及び研究を行っている。婚姻、家庭及び貧困問題を専門とする。

出版の背景・目的[2]

「剰男」「剰女」とは、いわゆる結婚適齢期を過ぎた独身の男女を指す中国語の単語である[3]。中国では、伝統的な男児偏重の価値観や一人っ子政策による男女比の不均衡、配偶者選択のミスマッチ[4]などを背景に、農村部の独身男性及び都市部の独身女性が増加している。このような現象は、個人の幸福に関係するだけではなく、社会の安定に影響を及ぼす可能性がある。本書は、結婚の困難性に関連する要素を系統的に分析し、男女の平均初婚年齢が上昇した理由を検討するために執筆された。

本書のポイント

本書は、中国における初婚の男女を分析対象としている。2020年に実施された第6次全国人口調査や追跡調査のデータに基づき、結婚難の度合い、要因とそのレベルなどを検討するとともに、特に農村部における男性の結婚難を解決するための政策を提言している。日本も同様に、未婚化が進んでおり、海外の事情を知る上で参考となる資料の一つである。

目次

第1章 緒論
第2章 理論的基礎及び既存文献の概要
第3章 研究デザイン
第4章 初婚市場における結婚適齢人口の主な特徴
第5章 初婚市場における結婚適齢人口に結婚難[5]は存在するか
第6章 結婚適齢人口の結婚難のレベル
第7章 研究の結論、対策の提案及び研究の展望

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

桐原康栄「少子化の現状と対策」『調査と情報』No.1163, 2021.12.7
https://dl.ndl.go.jp/pid/11911775
北島顕正「地方における少子高齢化・人口減少への取組―富山県・石川県の自治体・民間団体による先行事例―(現地調査報告)」『レファレンス』791号, 2016.12
https://dl.ndl.go.jp/pid/10229023

(アジア情報課 濱川 今日子)


[1] 本書表紙裏の説明による。

[2] 本書第1章による。

[3] 「剩女/剩男」People's China
http://www.peoplechina.com.cn/home/second/2008-01/02/content_93980.htm外部サイト

[4] 具体的には、配偶者の選択において、女性は自身よりも社会的経済的地位の高い男性を、男性は自身よりも社会的経済的地位の低い女性を望む傾向があることから、その地位が高い女性、及び低い男性の結婚が難しくなっている。

[5] 婚姻挤压(marriage squeeze)