<朝鮮語>『ジェンダーと法』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2023年2月公開)

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アジア情報室 作成

사단법인 올 엮음(社団法人オル 編)『젠더와 법(ジェンダーと法)』ソウル : 박영사(博英社), 2022【EF73-K130

キーワード

韓国、法女性学、ジェンダー法学

著者情報

編者の社団法人オルは、平等の理念と人権の観点からの法研究や法教育を目的として2018年に設立された非営利団体で、ロースクール教授などの法学者や弁護士などの法実務家を中心に構成されている。主な事業として、ジェンダーと法に関する研究、出版、教育等を行っている。

出版の背景・目的

同法人は、近年の韓国国内におけるジェンダー摩擦の深刻化や、韓国のジェンダー平等の水準が諸外国より低いまま改善されない現状等を踏まえ、法律家及び一般市民を対象として、ジェンダー平等や人権に対する関心を高めることなどを目的とした「ジェンダーと法アカデミー」を2019年から年2回開催してきた。本書は同アカデミーや大学で行われた講義の原稿等をもとに書籍化したものである。

本書のポイント

第1章では韓国における法女性学及びジェンダー法学の発展過程と現況・課題等が示され、更に日本における法女性学及びジェンダー法学との違いも論じられている。第2章以降は憲法、家族法、刑事法、労働法の各分野のジェンダーに関する法制度や判例、韓国内で問題となっている事案等を解説し、分析したうえで課題を提示している。

各項の執筆は、法学者及び法実務家13人が担当しており、韓国のジェンダーと法に関する現況や課題等について多様な視点から知ることができる。

目次

第1章 総論
 法女性学とジェンダー法学の意義と動向
 再び書く女性の「声」方法論:フェミニズム法理論の観点から
第2章 憲法と人権
 ジェンダー平等と平等憲法
 憲法判例とジェンダー
 嫌悪・差別の法政策とジェンダー問題
 人工知能時代のジェンダー問題
 人権とジェンダー―国際社会の観点
第3章 家族法
 家族法の変化と今後の課題
 家族法とジェンダー
第4章 刑事法
 ジェンダー暴力に対する刑法的課題
 新しいタイプのデジタル性犯罪と被害者の保護
第5章 労働法
 雇用上の性差別救済制度と事例
 職場内セクシャルハラスメントの判断と救済
索引

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

石渡裕子「我が国におけるジェンダー平等教育の現状と課題」『レファレンス』850(2021.10)
https://dl.ndl.go.jp/pid/11821747
中村穂佳「【韓国】デジタル性犯罪に関する法改正」『外国の立法』月刊版No.285-1(2020.10)
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/11553732
藤原夏人「韓国の女性暴力防止基本法」『外国の立法』No.281(2019.9)
https://dl.ndl.go.jp/pid/11345899
藤原夏人「【韓国】人工妊娠中絶に関する憲法不合致決定」『外国の立法』月刊版No.280-2(2019.8)
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/11338358
藤原夏人「韓国の両性平等基本法」『外国の立法』No.264(2015.6)
https://dl.ndl.go.jp/pid/9381681
白井京「韓国の女性関連法制―男女平等の実現に向けて―」『外国の立法』No.226(2005.11)
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/1000387

(アジア情報課 廣田美和)