<中国語>『中国オープンデータ発展報告.2022』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2023年4月公開)

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アジア情報室 作成

郑磊, 刘新萍 主编『中国公共数据开放发展报告 = Annual report on open public data in China. 2022 / (公共数据开放蓝皮书 = Blue book of open public data ; no.1)(「中国オープンデータ発展報告.2022(オープンデータ白書))』 北京 : 社会科学文献出版社, 2022.9, 2, 2, 2, 342 p【AC9-311-C381

キーワード

中国、オープンデータ、情報公開

著者情報[1]

本書編者の鄭磊は復旦大学国際関係・公共事務学院教授であり、同大学DMG(Digital & Mobile Governance)ラボ[2]の主任も兼任している。研究分野はデジタルガバナンス、政府のオープンデータ、統治のデジタル化である。劉新萍は上海理工大学管理学院の准教授であり、復旦大学DMGラボの執行副主任も務めている。研究分野はデジタルガバナンス、オープンデータ、部署間データ共有・協力である。

出版の背景・目的[3]

中国の地方政府によるオープンデータプラットフォームの公開は、2012年の上海と北京をその嚆矢とするが、2021年10月の時点で既に193の地方政府がオープンデータプラットフォームを運営している。この間、国務院と各省庁も複数の発展綱要と意見書[4]を発表し、公共データのオープン化を公的サービスの一部と位置付け推進している。本書の目的は、公共データのオープン化について有効な評価基準を作り、各地のオープンデータの現状と効果を総合的に評価するとともに、オープンデータの推進時に得られた有益な経験を紹介することである。

本書のポイント

本書はオープンデータに関する研究報告シリーズの第1冊目である。政府情報のオープンデータ化は、近年の中国において幅広く推進されている。浙江省[5]を例に挙げると、同省のオープンデータポータルには各部門の1301件のデータが公開され、その内容は公共工事入札企業の情報や市民信用記録のブラックリストなど、多種にわたる。情報のオープンデータ化は情報公開の視点からはもちろん、電子政府を推進する面においても重要な要素である。中国におけるオープンデータの推進方法や各地方政府間の政策の違い等について述べられた本書の事例分析と、それをもとにした政策提言は、日本における電子政府構築に参考になりうる。

目次

全体報告
B.1 中国公共データオープン化省別報告(2022)
B.2 中国公共データオープン化都市別報告(2022)

個別報告
B.3 公共データオープン化の準備状況に関する報告
B.4 公共データオープン化のプラットフォーム面における報告
B.5 公共データオープン化のデータ面における報告
B.6 公共データオープン化の利用面における報告

地域と業界編
B.7 長江デルタ地域における政府のオープンデータ一体化報告
B.8 粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)における政府のオープンデータ報告
B.9 中国交通運輸業界における公共データオープン化報告

事例共有編
B.10 浙江省におけるオープンデータの応用的イノベーションの実践と思考
B.11 山東省における公共データオープン化の実践と示唆
B.12 青島市における公共データオープン化と活用の深化の経験と示唆
B.13 温州市における公共データオープン化のイノベーション的応用事例

ホットイシュー編
B.14 公共データオープン化の視点から見るデータコンプライアンスとプライバシーテックの発展動向
B.15 中国における省級政府のオープンデータ利用政策の現状と最適化の提言
B.16 公共データセキュリティとデータ流通の実践的思考
B.17 公共データオープン化に基づくセキュリティ・プライバシー保護技術の分析

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

岡村志嘉子「中国における政府情報公開条例の改正」『外国の立法』No.281, 2019.9.
https://dl.ndl.go.jp/pid/11345900/1/1

(アジア情報課 中山 正義)


[1] 本書「主要编撰者简介」より

[2] 数字与移动治理实验室

[3] 本書「前言」より

[4] 例えば、2015年に国務院は『ビッグデータの発展促進の行動綱要』を発表した。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2015-09/05/content_10137.htm外部サイト

[5] 浙江-数据开放
http://data.zj.gov.cn/外部サイト