<朝鮮語>『大韓民国の海洋法実行.2 海洋法主要イシューの現況と課題』:アジア情報室の社会科学分野の新着資料紹介(2023年4月公開)

更新
アジア情報室 作成

박영길 외 저(パク・ヨンギル 他 著)『대한민국의 해양법 실행. 2해양법 주요 이슈의 현황과 과제(大韓民国の海洋法実行.2 海洋法主要イシューの現況と課題)』서울, 일조각, 2022.10【A172-K14

キーワード

韓国、海洋法、海洋政策

著者情報

本叢書を刊行している韓国海洋水産開発院は、韓国海運技術院(1984年設立)等5機関が統合して1997年に発足した政府出資機関で、水産・海運・海事・港湾・国際物流等の海洋水産分野の調査研究を担っている。

本書の著者の一人であるパク・ヨンギルは、同院独島・海洋法研究室室長を務める。

出版の背景・目的

本書は、国際的な海洋法と韓国の実行について扱った『大韓民国の海洋法実行』叢書の第2巻である。2017年刊行の第1巻では国連海洋法条約の基礎概念等に重心を置いたのに対して、本書では海洋管轄権、海洋環境、漁業問題等、韓国が抱える具体的な海洋法関連のトピックを取り上げている。

本叢書は、韓国が直面している海洋法関連の懸案事項について、実務者等がそれぞれの事案のポイントを容易に把握できるようにするため企画された。

本書のポイント

本書には、日韓双方で主張が異なる排他的経済水域・大陸棚の境界問題、東シナ海の大陸棚共同開発協定をめぐる動向など、日本と直接関連するトピックが含まれている。そのほか、海洋ごみ・北極政策・海賊対策といった、日韓両国にとって利害関心のあるグローバルな問題を扱った章もある。

これら本書が取り上げるトピックは、日本政府が策定を進めている第4期海洋基本計画[1]の対象と重なる部分も多い。韓国国内の立法措置、国家実行の現状等が整理された本書を通じて、この分野における韓国側の動向を理解することができる。

目次

刊行の辞
第1章 境界未画定水域での管轄権行使
第2章 北方限界線
第3章 韓日大陸棚共同開発協定
第4章 排他的経済水域内での外国の軍事活動
第5章 海賊行為
第6章 違法・無報告・無規制漁業に対応する海洋法制度の分析
第7章 船舶排出による大気汚染の規制
第8章 海洋ごみ
第9章 北極をめぐる規範の現状と今後の展望
第10章 南極条約体制と大韓民国
第11章 海洋紛争解決
索引

関連する国立国会図書館刊行物収載の文献

藤原夏人「韓国 海洋における権益保護及び安全に係る法整備」『外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説』(月刊版. 272-1), 2017.7.
https://dl.ndl.go.jp/pid/10375752/1/1

中村穂佳「韓国 海洋廃棄物及び海洋汚染堆積物の管理に関する法律の制定」『外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説』(月刊版. 283-1), 2020.4.
https://dl.ndl.go.jp/pid/11480105/1/1

(アジア情報課 河村 真澄)


[1] 海洋基本法に基づき、おおむね5年ごとに海洋基本計画の見直しを行い、必要な変更を加えることとされており、令和5年に第4期海洋基本計画が閣議決定される予定となっている。計画案は政府パブリック・コメントのページで確認できる。
「新たな海洋基本計画の策定に関する意見募集について」e-Govパブリック・コメント
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095230260&Mode=0外部サイト