江戸期の農業

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1.農業全書

※左上から右に見返し、米の収穫後の作業、茶、葡萄

本書は、元福岡藩士で農学者である宮崎安貞(1623-1697)の手による10巻と、儒学者で本草学者でもあった貝原益軒(1630-1714)の兄である貝原楽軒(1625-1702)の手による第11巻の計11巻から構成される農書です。第1巻は、農業技術一般について述べ、第2巻から第10巻までが各種農産物の説明や栽培方法等をまとめています。

本書は、それまでの農書と比較して2つの大きな特徴があります。1つ目が、特定地域を念頭に置いた内容ではなく、地域を問わず全国で活用できる体系的な内容であるという点です。2つ目が、それまでの農書が写本によって流通したのに対し、本書は木版本として印刷されて流通した点です。このような特徴から、本書は元禄10(1697)年の初版以来明治に至るまで出版されて広く流布するとともに、その後の農書にも大きな影響を与えたと言われています。

ここに紹介するものは、残念ながら初版のものではありませんが、文化12(1815)年に出版されたものであることが、第11巻末尾の奥付で分かります。

2.広益国産考

※左上から右に見返し、土人形づくり、茶葉の釜炒り、葡萄の収穫

本書は、江戸時代後期の農学者である大蔵永常(1768-1860)のそれまでの研究の集大成となる農書全8巻で、宮崎安貞の『農業全書』とともに江戸時代を代表する農書と言われています。

本書と『農業全書』を比較すると、『農業全書』が小農経営の維持と安定が念頭に置かれているのに対して、本書は農業経営の改善を通じた国の繁栄が念頭に置かれているという特色が見られます。当時の商品経済の発展に対応して特産品の生産を強調し、加工原料作物の栽培やその加工、商品の流通過程などを説明しています。農産物に限らず、土人形制作にまで言及している点もユニークです。ふんだんな挿絵を見ているだけでも楽しめる資料です。

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