江戸期の美術
【 】内は当館請求記号です。
1.東海道五拾三次
- 歌川広重『東海道五拾三次』
(天保頃 【寄別2-2-1-6】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
(他に解説あり)
※左上から右に「日本橋 朝之景」、「箱根 湖水図」、「蒲原 夜之雪」、「庄野 白雨」
本作は、江戸後期の浮世絵師である初代歌川広重(1797-1858)の代表作と言われています。
ただ、大変残念ながら、当館所蔵のものは、東海道13番目の宿場である原(現在の静岡県沼津市)を描いた「原 朝之富士」が欠けていますので、本来全55枚であるところ、見ることができるのは54枚です。
なお、「東海道五十三次」という名称は、この作品固有のタイトルではなく、東海道の53の宿場を指す言葉です。東海道五十三次を描いた作品としては、本作のほか、以下のような作品が挙げられます。
2.東海道分間絵図
- 遠近道印(菱川師宣画)『東海道分間絵図』
(板木屋七郎兵衛 元禄3(1690)年序 【寄別5-4-3-6イ】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
(他に解説あり)
※左上から右に表紙、序文、箱根、江戸・日本橋
江戸前期の浮世絵師である菱川師宣(1618-1694)が作画に関わったものです。東海道の旅行に利用する実用的な地図として作成されていますが、街道を旅する人々や田畑を耕す人々などが描かれ、見て楽しむこともできます。
3.東海道名所図会
- 秋里籬嶌(竹原春泉齋ほか画)『東海道名所圖會』
(小林新兵衛ほか 寛政9(1797)年 【839-82】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
(他に解説あり)
※左から表紙、京都・三条橋、江戸・日本橋、箱根
「名所図会」の代表的作者である秋里籬島(江戸後期)によるものです。
本書は、江戸から順に京都までを描くのではなく、京都から順に江戸までを描いていることに特徴があります。
4.東海道五十三次
- 葛飾北斎『東海道五十三次』
【へ-27】(国立国会図書館デジタルコレクション)
※左から表紙、序文、「品川/日本橋」、「三島/箱根」
「富嶽三十六景」の作者として有名な葛飾北斎(1760-1849)の手による作品です。『絵本駅路鈴』とも称します。北斎は、東海道五十三次を題材にした作品を7種作成しているとされており、本書は1ページに1宿場を描いた絵を収録しています。
なお、本書の表紙に名古屋の貸本屋「大野屋惣八(大惣)」の蔵書印があり、もとは貸本であったことをうかがわせます。そのためでしょうか、以下の後年の復刻本と比較してサイズが小さくなっており、絵も端が少々切れているのが分かります。貸本として利用している間にページの端が破損し、それをカットすることによって補修していたのかもしれません。また、箱根の絵の上部には、落書らしき墨の書込みが見られます。
- (参考)葛飾北斎(歴史画報社編)『東海道五十三次』
(歴史画報社 昭和6(1931)年 【234-116】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
※左から「日本橋」「品川」「三島」「箱根」
関連する当館ウェブページ
- 電子展示会 蔵書印の世界「大野屋惣八(大惣) 全国一の蔵書を誇った名古屋の貸本屋」
葛飾北斎『東海道五十三次』【へ-27】の、当館の前の所有者である大野屋惣八(大惣)の解説があります。