日本-旧外地官庁資料の調べ方:樺太庁

第二次世界大戦の終戦まで日本が統治していた外地のうち、北緯50度以南の樺太(サハリン島)は、昭和16(1941)年時点での人口約40万人のうち38万人以上を内地からの移住者が占め、内地とほぼ同等の法令が施行されるなど、他の外地と異なった扱いを受けました。ここでは南樺太の統治機関であった樺太庁の主要資料を紹介し、出版物や公文書等の関係資料の調べ方をご案内します。【 】内は当館請求記号、インターネットの最終アクセス日は2016年3月25日です。

1. 統治機構の沿革

日本は明治38(1905)年、日露講和条約(ポーツマス条約)によって樺太のうち北緯50度以南を領有しました。当初、日露戦争中の占領時から軍政が行われていましたが、明治40(1907)年、樺太庁が設置されて軍政下の樺太民政署から行政を継承しました。

樺太の法制は「樺太ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律」(明治40年法律第25号)により規定され、他の新規獲得領地である台湾・朝鮮と異なって、内地の法律が勅令に基づいて施行されることとされました。外地における法令の適用関係を定めることを目的とした「共通法」(大正7年法律第39号)においても樺太は同法の規定上「内地」の法域内として扱われ、最終的に第二次世界大戦中の昭和18(1943)年、正式に内地に編入されて内務省の管轄になりましたが、昭和20(1945)年にソ連軍によって占領され、事実上解消しました。

2. 国立国会図書館所蔵の主要資料

公報・法規集

日本-旧外地法令の調べ方」を参照してください。

年史

機関誌

  • 『樺太時報』(樺太庁 1937-1942 【YA-1291】)
    『樺太庁報』 (1号-20号)およびその継続後誌である『樺太時報』(21号-58号)のうち当館所蔵分を撮影したマイクロフィルムです。なお、『樺太庁報』の全文および『樺太時報』の総目次、総索引および抄録を収録した複製版『樺太庁報』(クレス出版 1992 【Z8-3752】)も所蔵しています。

年報・要覧

職員録

統計

人口

大正9(1920)年から昭和10(1935)年までの国勢調査報告書を所蔵しています(国立国会図書館サーチ)(国立国会図書館デジタルコレクション)。
樺太庁の国勢調査資料の複製版である『樺太庁国勢調査報告』(文生書院 2000 【DT231-R5-G1】)も所蔵しています。この複製版は、当館未所蔵の昭和14(1939)年の臨時国勢調査結果表も収録しています。

3. 出版物目録

樺太における官営図書館である樺太庁図書館は、昭和12(1937)年、昭和7(1932)年に樺太庁の所在地豊原に開館した樺太教育会附属図書館を引き継いで開館しました。ソ連占領下の昭和20(1945)年に南樺太日本人図書館となりましたが、昭和22(1947)年に司書が内地に引き揚げて以降の蔵書の所在については不明です。

4. 公文書

樺太庁の公文書は、ソ連による占領時に日本に引き揚げられたものは外務省を経て北海道立文書館に、ソ連軍に接収されたものはロシアのサハリン州公文書館にまとまって所蔵されています。

5. その他のデータベース