著作目録を作るには
明治期以降の日本人著者について、著作目録の作り方を紹介します。なお、作品の初出情報については調べ方案内「文学作品の初出を調べる」も参照してください。
書誌事項末尾の【 】内は当館請求記号です。
1. 概説
著作目録は、著作リスト・著者書誌とも呼ばれ、ある人物の著作情報を収録した目録です。(本人の著作だけでなく、他者による著作の批評や研究文献など本人に関する著作もあわせてまとめたものは個人書誌と呼ばれます。) 「著作」としては図書・雑誌記事が代表的ですが、その他にも単行書所収の論文や分担執筆、新聞への寄稿、図書の解説・解題などもあり、加えて近年ではウェブサイト上の文章も存在します。さらに、座談会記事やインタビューについて対象に含めるかどうかなど、調査・収録する対象を明らかにしておくことが必要です。図書・雑誌記事以外の著作については2. データベースを利用するより3. 著作目録を掲載した資料などを利用するに従って調べるほうが効率的な場合があります。また、再録時に改訂することの多い雑誌記事などは同一著作かどうか検討するために、初出記事や再録記事の本文の確認が必要となることも少なくありません。
以下の資料はインターネットの普及以前の記述ですが、pp.239-295で著者書誌(著作目録)作成について具体的事例を挙げながら基本的な考え方を示しています。
- 海野敏 [ほか]編『書誌をつくる 上巻』
(日外アソシエーツ 1997 【UL671-G2】)
2. データベースを利用する
2-1. 国立国会図書館オンライン
当館の蔵書検索・申込システム国立国会図書館オンラインの詳細検索画面で、著者・編者欄に人物名を入力して検索すると、その人物が書いた図書、雑誌記事を一覧表示できます。
(※同姓同名の他者が書いた文献もヒットしますが、図書については、調べたい人物の著書が一つでも見つかれば、そのタイトルをクリックして「書誌情報」を表示させ、「詳細な書誌情報を表示」をクリックした後、「著者標目」の右側にある虫めがねのアイコンをクリックすると、当該人物の著書のみ一覧表示させることができます。)
雑誌記事については戦後の記事のうち雑誌記事索引に採録されるものを上記の方法で検索できます。これ以外の記事や単行書所収論文・分担執筆のうち、目次データが収録されているものはキーワード欄に人物名を入力することで検索可能です。
後述の3. 著作目録を掲載した資料などを利用するにも、国立国会図書館オンラインの利用方法について説明がありますので、あわせて参照してください。
2-2. 国立国会図書館サーチ
国立国会図書館サーチでは詳細検索画面の「著者・編者」欄に人物名を入力して検索することで2-1. 国立国会図書館オンラインの情報のほか、学術機関リポジトリデータベース
(IRDB)などに収録された雑誌記事・論文の情報を調べることができます。
2-3. 雑誌記事のデータベースを調べる
当館の雑誌記事索引に採録されていない記事(戦前の記事、大衆誌や週刊誌の記事など。詳細は、雑誌記事索引採録誌一覧参照。)を調べるためのデータベースとして、以下のものがあります。
- 皓星社 雑誌記事索引集成データベース(ざっさくプラス)
(当館契約データベース:館内限定)
戦前の雑誌記事を検索できます。 - 大宅壮一文庫 雑誌記事索引(Web OYA-bunko)
(当館契約データベース:館内限定)
大衆誌、週刊誌など、学術雑誌以外の雑誌記事を検索できます。
あわせて、調べ方案内「雑誌記事索引」も参照してください。
2-4. 当館で所蔵していない資料を調べる
調べ方案内「さまざまな図書館の使い方」を参照してください。
3. 著作目録を掲載した資料などを利用する
3-1. 個人全集
個人全集が刊行されている著者は限られますが、『○○全集』、『○○著作集』などに収録された著作をもとに、著作目録を作成することができます。また、全集に収録された著作の一覧が、『個人全集・内容総覧』(日外アソシエーツ 【KG1-103ほか】)(※第3期(1998年刊行)以降は『全集 /個人全集内容総覧』)や、『個人著作集内容総覧』
(日外アソシエーツ 【UP52-G3ほか】)に掲載されている場合もあります。ただし、全集といってもすべての著作を収録しているとは限らない点に注意が必要です。複数の全集が刊行されている場合は、学術研究上の成果などが反映されていると考えて、基本的に、刊行年の最も新しい全集を確認すると良いでしょう。
また、一部の個人全集では、参考情報として著作目録が掲載されている場合があります。
3-2. 図書、雑誌記事として刊行された著作目録
著作目録が、図書または雑誌記事として刊行されている場合があります。国立国会図書館オンライン(簡易検索、詳細検索)の「キーワード」欄、または雑誌記事索引の「論題名」欄に、人物名と「文献目録」、「著作目録」、「著作一覧」、「業績一覧」などの語を入力して検索すると見つかる場合があります。
後述の3-3. 記念論文集、3-4. 人物文献もあわせて参照してください。
3-3. 記念論文集
大学教員だった人物の場合、退官記念、古稀記念などの論文集(例:「○○教授古稀記念論文集」)や大学紀要(例:「○○教授退官記念号」)に、著作目録(例:「○○教授略歴及び著作目録」)が掲載される場合があります。国立国会図書館オンラインで検索する際、著者名ではヒットしない場合があるため、「キーワード」欄に人物名を入力して検索してください。
3-4. 人物文献
伝記など、特定の人物について書かれた文献(「人物文献」)に、その人物の著作年譜が含まれている場合があります。人物文献の探し方については、調べ方案内「人物文献(伝記など)を探す」を参照してください。
特に年譜・年表を探すための資料として以下のものがあります。
- 『年譜年表総索引』
(日外アソシエーツ 1998-2006)
3-5. 主題書誌
特定のジャンルやトピックに関する文献リストである「主題書誌」に、調べている人物の著作が掲載されている場合があります。主題書誌の探し方については、調べ方案内「主題書誌(関連文献リスト)を探すには」や、各主題の調べ方案内を参照してください。
3-6. 『現代日本執筆者大事典』
現在、第5期まで刊行されている『現代日本執筆者大事典』(日外アソシエーツ)には、人物の略歴に加えて、主要著作一覧が掲載されています。ただし、各期の収録時期におけるすべての著作が網羅されているわけではありません。また、執筆時期が長い人物の場合は、複数の期に渡って確認する必要があります。
- 第1期(1965年~1976年):【GB13-76
】
- 第2期(1977年~1982年):【GB13-120
】
- 第3期(1983年~1992年):【GB13-E63
】
- 第4期(1992年~2002年):【YU7-H1442
】
- 第5期(2003年~2015年):【GB13-L221~L223
】
※第5期についてはWeb総索引があります。
現代日本執筆者大事典 第5期WEB総索引(日外アソシエーツ)